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アブラハムとイサクのいる森林風景

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アブラハムとイサクのいる森林風景
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アブラハムとイサクのいる森林風景』(アブラハムとイサクのいるしんりんふうけい、: Boslandschap met Abraham en Isaac: Wooded Landscape with Abraham and Isaac)は、17世紀フランドルバロック期の画家ヤン・ブリューゲル (父) が1599年に板上に油彩で制作した絵画である。ヤン・ブリューゲルがイタリアから戻り、画家としての活動を始めたころの初期の作品で、画面左下に「I, BRVGHEL 1599」という署名と年記が記されている[1][2]。作品は2002年以来、東京国立西洋美術館に所蔵されている[1][2]

概要 作者, 製作年 ...
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主題

旧約聖書』中の「創世記」(17章-18章15,21-22節) によれば、イスラエル人の偉大なる始祖アブラハムが99歳の時、神が現れ、翌年、彼と妻サラに息子が生まれると告げた[3]。はたして、翌年アブラハムには息子が生まれ、彼は神の命に従い、イサクと名づけた。それから数年後、神はアブラハムに「イサクを犠牲として私に捧げよ」と命じた[1][3]。アブラハムの悲しみと葛藤は想像を絶するものであったが、彼は神に従い、翌朝にはイサクを連れ、モリヤの山に向かう[3]

山頂に着いたアブラハムは祭壇を築き、薪を並べると愛する息子を縛り上げた[3]。そして、イサクを殺そうと刀を振り上げた時、天使がやってきて、彼を制した[2][3]。神はアブラハムの信仰を試したのであり、その信仰の深さが十分に確認できたからである。神はアブラハムとイサクが繁栄することを言明し、祝福した[3]

作品

本作は、鬱蒼と木々が茂る森の中を舞台に、イサクを連れ、モリヤの山へ向かうアブラハムの姿を描いている[1][2]。ほの暗い小道を行くアブラハムはロバの背に乗り、何も知らないイサクは自らを焼くためのを抱えて、そばを歩いている。周囲では5人のたちが忙しく立ち働き、木立の間に鹿やたくさんの鳥たちの姿も見える[1]

ヤン・ブリューゲルは緑の色調を変化させることで、森の奥行き感を演出している[1]。画面は、近景の暗い森と小川を挟んだ明るい中景、樹間から望まれる遠景と3つに分割されている[2]。中景の白く光る水が流れる小川は、画面に新鮮さを付与している。画面左側は木々の茂りにより視界が閉ざされているが、右側ではところどころで木々が途切れ、大河が流れる平原や青くかすむ山々の連なりを見通すことができる[1]。緻密で現実的に表わされたこの森林風景は、フランドル絵画の伝統的な世界風景よりも、より写実的な17世紀のオランダ風景画を思わせる[2]。なお、本作品の森林モティーフは、ヤン・ブリューゲルが1607年に描いた『エジプト逃避途上の休息』(エルミタージュ美術館サンクトペテルブルク)にも用いられている[2][4]

本作のように森林を描いた風景画は、ヤン・ブリューゲルやヒリス・ファン・コーニンクスローらの登場によって16世紀末から17世紀初頭にかけて大きな発展を遂げた。そして、以降のネーデルラントの風景画において主要な地位を占めることとなる[1]

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脚注

参考文献

外部リンク

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