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スターリニズムとナチズムの被害者記念の欧州の日
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スターリニズムとナチズムの犠牲者のためのヨーロッパの日(英語: European Day of Remembrance for Victims of Stalinism and Nazism)および、ブラックリボンデー(Black Ribbon Day)は、毎年8月23日に定められた国際的な記念日である [1] [2]。 また、「すべての全体主義と権威主義体制の犠牲者のための全ヨーロッパの追悼記念日」(Europe-wide Day of Remembrance for the victims of all totalitarian and authoritarian regimes)とも呼ばれている。
全体主義体制、特にスターリニズム、共産主義、ナチズム、ファシズムの犠牲者を追悼する日であり[3]、 欧州連合によると「過激思想、不寛容、抑圧」の拒否を象徴する日でもある[4]。
この記念日は、大規模な国外追放や虐殺の犠牲者を記憶するとともに、民主主義的価値観を促進し、ヨーロッパの平和と安定の強化を目的としている[5]。
欧州連合、欧州安全保障協力機構(OSCE)、およびその他のいくつかの国々によって公式に認められており、毎年8月23日に記念されている。欧州連合では、2009年に欧州議会によって公式に定められ、ヨーロッパの日と並ぶEUの公式記念日とされている。また、カナダでは「ブラックリボンデー」の名称で公式の追悼日とされており[6]、欧州連合でも「ブラックリボンデー」と「スターリニズムとナチズムの犠牲者のためのヨーロッパの日」の両方の名称が併用されている[7]。
8月23日という日付は、ソビエト連邦とナチス・ドイツが独ソ不可侵条約(モロトフ=リッベントロップ条約)を調印した1939年8月23日に由来している。 この条約には秘密議定書が付されており、ルーマニア、ポーランド、リトアニア、ラトビア、エストニア、フィンランドなど東ヨーロッパ諸国の勢力圏をソビエト連邦とナチス・ドイツの間で分割することが合意されていた。
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概要
この記念日は、冷戦時代の西側諸国におけるソ連に対する抗議行動に起源を持つ。この抗議行動は、1989年革命に先立つ数年間に注目を集め、バルト諸国占領の終結を求めて200万人が手を繋いだ1989年の大規模デモ「バルトの道」にも影響を与えた。カナダやその他西側諸国に在住するソ連難民コミュニティは、1986年にこの記念日を制定する上で重要な役割を果たした。
その後、チェコ政府主催の会議においてヴァーツラフ・ハヴェルやヨアヒム・ガウク、そして中央・東ヨーロッパの人権活動家や元政治犯のグループによって、この日を欧州公式記念日とすることが提案された。
2008年から2009年にかけて、欧州議会によって正式に「すべての権威主義・全体主義体制の犠牲者を尊厳と公平性をもって追悼する、全ヨーロッパの追悼記念日」として指定され[2][3]、2009年以降は欧州連合の各機関によって毎年記念されている[8] [9] [10]。
欧州議会は2009年に「欧州の良心と全体主義に関する決議」を採択した。この決議は、欧州人民党グループ、欧州自由民主同盟、欧州緑グループ・欧州自由連盟、欧州諸国連合(UEN)が共同で提案し、欧州全域における実施を求めた。 8月23日を全体主義の犠牲者のための国際的な記念日と制定することは、2009年の欧州安全保障協力機構議員会議で行われた「ヴィルニュス宣言」でも支持された [11]。
8月23日という日付の由来となった独ソ不可侵条約と秘密議定書について、2010年、欧州議会のイェジ・ブゼク議長は「人類史上最悪の二つの全体主義体制の共謀」と評した[8]。
この記念日は、ソビエト連邦による戦争犯罪や残虐行為を否定し、ソ連による侵略と占領を正当化しようとするロシアの偽情報工作(参考:ロシアのサイバー部隊)に対する、ヨーロッパ共通の対抗策の一環となっている。 ウラジーミル・プーチン政権下のロシアは、この記念日がスターリニズムを非難しているとして、激しい反発を示している[12]。 欧州の未来に向けた重要な欧州の記憶に関する2019年9月19日の欧州議会決議にて、欧州議会は8月23日という日が、ロシアによる『民主主義のヨーロッパに対して仕掛ける情報戦』に対抗する上で重要な日であると述べた[13]。 2022年には、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、この記念日が「ロシアによるウクライナへの不法かつ不当な戦争」に立ち向かう上で重要であると強調した[14]。
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歴史
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1989年の革命
欧州議会による宣言、OSCEの支持、および各国の国内法での採択
2020年の記念とベラルーシの民主化を支持する「自由の道」抗議デモ
ブラックリボンデーとロシア
EUにおける記念
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EU全体
この記念日は2009年以降、欧州連合の各機関、特に欧州議会、欧州委員会、欧州連合理事会によって公式に追悼されている。
国家単位
いくつかの国では、この記念日は国内法として正式に採用されている(名称が多少異なる場合も含む)。一方、EUの宣言に基づいて追悼が行われている国もある。
ブルガリア
2009年11月19日、中道右派政党「青い連合」の提案に基づき、ブルガリア議会は8月23日を「共産主義およびその他の全体主義体制による犯罪の犠牲者を追悼する日」と正式に宣言し、2010年に初めて公式に記念日が祝われた。
クロアチア
チェコ
チェコ共和国政府は、この記念日を公式に追悼しており、同国政府はこの記念日の制定も主導した。
エストニア
フィンランド
ドイツ
ハンガリー
ラトビア
リトアニア
ポーランド

2011年、ポーランドはEU議長国在任中、自由保守主義政党「市民プラットフォーム」政権が初めて、スターリニズムとナチズムの犠牲者を追悼する「ヨーロッパの日」を公式に追悼した。以来、ポーランド政府によって、ポーランドの重要な公式追悼日として毎年遵守されている。
ルーマニア
スロベニア
2012年8月8日、スロベニア政府は、8月23日を「すべての全体主義と権威主義体制の犠牲者のためのヨーロッパの日」と宣言する決議を採択した。
スウェーデン
スウェーデンでは、2008年から政府関係者の参加のもと、スターリニズムとナチズムの被害者記念の欧州の日が祝われている。スウェーデンは、この記念日を公式に祝った最初の国である。
EU外圏外における記念
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アルバニア
アルバニアは2019年に、スターリニズムとナチズムの被害者記念の欧州の日を公式に祝った。イリル・メタ大統領は、スターリニズムとナチズムが「我々の国で何千人もの罪のない犠牲者を出した、前世紀の二つの破壊的なイデオロギー」であると述べ、「45年間、アルバニアはヨーロッパの北朝鮮と化した。何千人ものアルバニア人が殺され、投獄され、追放された。自由、人権、民主主義、多元論は、彼らが信じ、命を捧げた価値観であった。若い世代に過去の真実を教え、それが二度と繰り返されないようにするのは、我々の義務である」と語った[15]。
カナダ
ジョージア
ノルウェー
ウクライナ
イギリス
アメリカ合衆国
他の組織による記念
2011年8月8日、クリミア・タタール人民会議(メジリス)は「スターリニズムとナチズムの被害者記念の欧州の日」を承認し、「クリミア・タタール人民は、20世紀のソビエト連邦の共産主義体制による、ジェノサイドとして認められた犯罪に苦しんだ」と述べた [16]。
世界ユダヤ人会議は、ブラックリボンデーを毎年記念している。同会議は2019年に「全体主義体制による何千万もの犠牲者の記憶」へと敬意を表し、「この日はナチスドイツとソ連間で1939年に結ばれた、東ヨーロッパを分割し、残虐行為が支配することとなった協定の調印日と一致している」と述べた[17]。
関連項目
- 全体主義
- 独ソ不可侵条約
- ナチズムとスターリニズムの比較
- ホロコースト犠牲者を想起する国際デー
- 共産主義の犯罪に関する宣言
- ヴィルニュス宣言
- 欧州評議会決議1481号
- 全体主義体制による犯罪に関する欧州公聴会
- 欧州の記憶と良心のプラットフォーム
- 欧州歴史和解グループ
脚注
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