ミサ曲
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ミサ曲(ミサきょく)は、カトリック教会のミサ(感謝の祭儀)に伴う声楽曲。
カトリック教会においては、聖体拝領を伴うミサは、教会の典礼儀式の中で最も重要なものである。典礼文の歌唱は、東西分裂前に発する伝統を有する(ただし、こんにちの東方教会の奉神礼で用いられる形式・祈祷文は、西方教会各教派のものとは大きく異なる)。正教会の聖体礼儀に対して「ミサ」の語が誤用される場合があるが、正教会自身が「ミサ」との呼称を聖体礼儀に対して用いる事はない[1]。
ミサの典礼文には、固有文(proprium)と通常文(ordinarium)があり、固有文はミサの行われる日によって扱われる文が異なるが、ミサ曲は基本的に通常文をテキストとしているため、作曲された時代背景が異なっても、歌詞そのものは一定である。 西方教会においてはグレゴリウス1世の頃より典礼の形式が整備され、最初期のミサにおいては、典礼文はグレゴリオ聖歌や単声による朗唱方式によって歌われた。
これらが音楽的な基盤となり、多声によるミサ曲が書かれるようになった。複数の音楽家がミサの各章ごとに付曲していたが、のちに一人の音楽家が全曲を扱うようになった。全曲を通じて一人の音楽家によって作曲されたミサ曲は、14世紀、ギヨーム・ド・マショーの『ノートルダム・ミサ曲』が最初のものといわれる。さらに、声楽に加えて器楽も付加されるようになり、大規模化された。19世紀、ベートーヴェンの頃には、宗教音楽の域を超えた演奏会用の作品としての位置づけも持つようになった。
現代では、ルネサンス期のものとして、ギヨーム・デュファイ、ヨハネス・オケゲム、ジョスカン・デ・プレ、ジョヴァンニ・ダ・パレストリーナなど、バロック期では、マルカントワーヌ・シャルパンティエの作品や、ヨハン・ゼバスティアン・バッハのロ短調のミサ曲、古典派では、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの作品やルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンのミサ・ソレムニス、ロマン派ではルイジ・ケルビーニ、ジョアキーノ・ロッシーニ、フランツ・シューベルト、アントン・ブルックナーの作品などが有名である。また、日本の作曲家の作品としては、三枝成彰や佐藤賢太郎のものが挙げられる。