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ルシードが販売する高級EV ウィキペディアから
ルシード・エアは、ルシード・モータースが販売する高級EVである。
2016年10月にコードネーム「Atvus」のティーザーイメージが公開された。同年12月、フリーモントで開催された発表会においてプロトタイプが公開された [2] [3]。
量産モデルは2020年9月のウェブ発表会で初公開され、2021年9月からアリゾナ州のカサ・グランデ工場にて量産が開始された。同年10月末に北米、2022年12月に欧州で、初回限定グレードである「ドリームエディション」の第1号車が納車された [4] [5] [6] [7]。
2022年4月に「グランドツーリング」グレード、同年11月に「ピュア」「ツーリング」グレードの追加がそれぞれ発表された [8] [9]。
エアは5人乗りの大型高級EVサルーンで、ルシードにとっては初の量産モデルである。
エアに採用される新開発のプラットフォーム「LEAP(Lucid Electric Advanced Platform)」では、モータを含む各コンポーネントを小型化し、プラットフォームの省スペース化を実現した。これにより、メルセデス・ベンツ・EクラスなどのEセグメントセダンと同等の全長で、フルサイズセダンと同等の室内スペースを確保した。加えて、フロントボンネット内に283.4L、リヤに627Lのラゲッジスペースがそれぞれ備わる [11] [12]。
エクステリアは2ボックスのハッチバックセダンのようなデザインだが、実際には独立したトランクルームを備える3ボックスセダンである。デザインは空力的に最適化され、Cd値は0.197と、量産車の中では最高クラスの空力性能を実現した [13]。
ヘッドライトには自社開発の技術である「Lucid Vision」が採用される。これはハエの複眼からインスピレーションを受けた技術で、各ライトには個別に焦点を調節できる4,870個のマイクロレンズが取り付けられ、各レンズを制御することでヘッドライトの照射範囲を調整できる [14]。
インテリアデザインは、サンタモニカ、モハーヴェ、サンタクルーズ、タホといったカリフォルニアの景観からインスピレーションを受けた。素材にはカーボンニュートラルなナッパレザー、リサイクル繊維など、サスティナブルな原料が使われる [13]。
サスペンションにはビルシュタイン製の減衰力電子制御式ダンパー(ダンプトロニック)が搭載される。ブレーキキャリパーは曙ブレーキ製。また、ピレリが新開発した高荷重車両向けタイヤのP Zero HLを装着する [15] [16]。
エアにはADASである「ドリームドライブ(DreamDrive)」が導入される。カメラやレーダー、LIDARなど合計32個のセンサーが搭載され、将来のソフトウェアアップデートによりレベル3の自動運転機能を実現できる [1][11]。
2021年の販売時点では、サラウンドビューモニター、衝突被害軽減ブレーキ、アダプティブ・クルーズ・コントロール、車線逸脱防止支援システムなどが利用可能である [17]。
2022年8月、ハイパフォーマンスグレードである「サファイア」が発表され、2023年9月から生産が開始された。 [18] [19]
サファイアにはフロントに1基、リヤに2基のモーターが搭載され、四輪を駆動する。システム全体の最高出力は1,234 hp(1,251 ps)、最大トルクは1,430 lb-ft(1939 Nm)に達する。0マイル~60マイル/h加速は1.89秒。トルクベクタリングシステムにより、路面状況に応じて各駆動輪へのトルクを配分する [20]。
エクステリアには専用のエアロホイールと、軽量なアルミルーフ、空力的に改良されたエクステリアデザイン、専用のサファイアブルーのカラーなどが適用される。足回りには専用のカーボンブレーキディスク、サファイア専用に開発されたミシュラン・パイロットスポーツ4S、サスペンションの再セッティングなどが適用される [20]。
エアのドライブシステムには新開発の900ボルト+アーキテクチャーと、複数の機能をパッケージ化した車載充電ユニット「Wunderbox」が採用された。これにより充電速度が向上し、Electrify Americaの350kW急速充電器を利用した場合、最大で毎分20マイル(32.2 km)、20分の充電で300マイル(482.8 km)を走行できる電力を充電できる。このWunderboxは車両-電力網間(V2G)や車両間(V2V)などの電力供給機能も備えている [21] [22]。
2022年にカー・アンド・ドライバー誌が実施したテストでは、エア・ドリームエディション・パフォーマンスが「最も充電速度の速い量産EV」と評価された [23]。
モーターは自社開発で、シミュレーションにより性能と効率を最適化する開発を進めてきた。モーターユニットには変速機・ディファレンシャル・SiCインバータなどが統合され、パワートレインの省スペース化を実現した。モーターユニット全体の重量は74 kgで、機内持込用のキャリーバッグに収まるほどコンパクトである。搭載されるSiCパワーデバイスはWolfspeed製 [22] [24] [25]。
エアにはフロントとリヤに1基ずつの同期モーターが搭載され、サファイアにはフロントに1基、リヤに2基のモーターが搭載される。
リチウムイオンバッテリーの総容量は、グレードに応じて88~118 kWhの範囲から選択される。バッテリーはLG化学製。加えて、2022年末にはパナソニックエナジーと複数年に渡るバッテリー供給契約を締結し、2023年からエアを含む全モデルにパナソニックエナジー製のバッテリーが順次搭載される [26] [27] [28]。
EPA航続距離はエア・グランドツーリングで最大516マイル(830 km)である。複数のメディアにおいて、エアは「最も航続距離の長い量産EV」と評価された [29] [30] [31]。
モデル | 駆動方式 | 最高出力 | 最大トルク | バッテリー容量 | EPA航続距離 |
---|---|---|---|---|---|
ピュア | 4WD | 480 hp (487 ps/358 kW) | 600 Nm | 88 kWh | 410 mi (660 km) |
ツーリング | 620 hp (629 ps/462 kW) | 1,000 Nm | 93 kWh | 425 mi (684 km) | |
グランドツーリング | 819 hp (830 ps/611 kW) | 1,200 Nm | 112 kWh | 469~516 mi (755~830 km) | |
グランドツーリング・パフォーマンス | 1,050 hp (1,065 ps/783 kW) | 1,300 Nm | 446 mi (718 km) | ||
ドリームエディション・レンジ | 932 hp (945 ps/695 kW) | 1,390 Nm | 118 kWh | 520 mi (837 km) | |
ドリームエディション・パフォーマンス | 1,050 hp (1,065 ps/783 kW) | 1,390 Nm | 471 mi (458 km) | ||
サファイア | 1,234 hp (1,251 ps/920 kW) | 1,939 Nm | 427 mi (687 km) | ||
発表以来、エアは各種メディアから以下の評価を受けた。
年 | 団体 | 評価内容 |
---|---|---|
2018年 | IEEE | 2018’s Top 10 Tech Cars[34] |
2022年 | ||
WARDSAUTO | 2022 10 Best Engines & Propulsion Systems[35] 2022 10 Best Interiors & UX[36] | |
ニューズウィーク | AUTO AWARDS 2022 Best Super Luxury Car[37] | |
Green Car Report | Best Car To Buy 2022[38] | |
Cars.com | 2022 Top EV Pick for Luxury[39] | |
USニューズ&ワールド・レポート | Best Luxury Electric Cars for 2022[40] | |
MOTOR TREND | 2022 MotorTrend Car of the Year[41] | |
MotorWeek | 2022 Drivers’ Choice Award, Best EV[42] | |
2023年 | 世界・カー・オブ・ザ・イヤー | 2023 World Luxury Car[43] |
USニューズ&ワールド・レポート | Best Luxury Electric Cars for 2023[44] | |
ニューズウィーク | Disruptor Powertrain of the Year 2023[45] | |
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