原産地名称保護制度
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この項目では、欧州連合における原産地名称の保護制度について説明しています。
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原産地名称保護制度(げんさんちめいしょうほうごせいど)とは、農業に関するヨーロッパの制度の一つで、農産物や食品の原産地名そのものを独占的・排他的に利用できる権利を保護する制度である。この様に用いられる生産品の名前は『地理的表示』と呼ばれ、知的財産権の一つ。
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ヨーロッパにおける地理的表示の保護制度は、2020年現在「農産物および食品の品質制度に関する欧州議会および欧州理事会の2012年11月21日の欧州規則No1151/2012 」で規定されている[注釈 1]。原産地名称 (Designation of origin) は、日本語では原産地呼称とも呼ばれ、地理的表示の一種である。本稿では原産地呼称保護そのものだけでなく、同じ規則で定められている地理的表示保護[注釈 2]、伝統的特産品保護や任意的品質用語についても述べる。
なお、地理的表示保護のテーマで「品質 (quality)」という単語が用いられるが、この文脈で使われる品質の語は、その製品の持つ好ましい特質や性質を指し、ISO9000:2015「品質マネジメントシステム-基本及び用語」 で定義される「品質」とは異なる。ISO9000で定義される品質は、顧客の期待や要求を満たす度合いを言う。一般に「あの肉屋の肉の品質はいい」「あのメーカーのカメラの品質はいい」などという場合の品質は、普通は「購入者の期待に応えている」という意味であり、これはISO9000で定義されるところの品質である。その製品の持つ好ましい特質や性質、例えば独特の風味や独創的な機能そのものを指して「肉の品質」とか「カメラの品質」と言っているわけではない。本稿では「品質」という単語を、ISO9000で定義される「品質」の意味以外には、なるべく用いないようにした。