大村智
日本の天然物有機化学者 (1935 - ) / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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大村 智(おおむら さとし、1935年(昭和10年)7月12日[1] - )は、日本の化学者(天然物化学)。北里大学特別栄誉教授、東京理科大学特別栄誉博士、薬学博士(東京大学)、理学博士(東京理科大学)。2015年ノーベル生理学・医学賞受賞。
2015年 | |
生誕 |
(1935-07-12) 1935年7月12日(88歳) 日本 山梨県北巨摩郡神山村 (現:韮崎市) |
居住 | 日本 |
国籍 | 日本 |
研究分野 | 化学 |
研究機関 |
山梨大学 北里大学 東京理科大学 |
出身校 |
山梨大学学芸学部 東京理科大学大学院理学研究科修士課程 |
指導教員 |
丸田銓二朗 中西香爾 都築洋次郎 |
主な業績 |
ロイコマイシンの構造を解明 ストレプトマイセス・アベルミティリスの発見 アベルメクチンとイベルメクチンの開発に貢献 |
影響を 受けた人物 |
加賀美元男 マックス・ティシュラー 秦藤樹 |
主な受賞歴 |
日本学士院賞(1990年) コッホ・ゴールドメダル(1997年) アーネスト・ガンサー賞(2005年) テトラヘドロン賞(2010年) ガードナー国際保健賞(2014年) 朝日賞(2015年) ノーベル生理学・医学賞(2015年) |
プロジェクト:人物伝 | |
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土壌に生息する微生物がつくる化学物質の中から役に立つものを探し出す研究を45年以上行い、微生物の大規模な培養や有機化合物の特性評価を行う独自の方法を確立した[2]。これまでに大村の研究グループは微生物が作る500近い新しい化合物を発見し、そのうち20種以上が医薬、動物薬、農薬、研究用の試薬として実用化されている[3][4]。1974年、静岡県の土壌から新種の放線菌を発見し[5]、この放線菌が作り出す成分を元に米製薬メルクがアベルメクチンとその化合物イベルメクチンを開発した[6][7]。抗寄生虫薬イベルメクチンは、熱帯地方の寄生虫感染症の治療薬として無償提供され、現在も多くの人を熱帯病による失明から救っている[8][9]。2015年には、ノーベル生理学・医学賞の半分が、アベルメクチンの発見を含む寄生虫感染症治療法の開発を評してウイリアム・キャンベルと大村智に共同で贈られ、残る半分はアルテミシニン発見を含むマラリアの治療法に関する発見をした屠呦呦に贈られた[2]。
日本の産学連携の先駆者でもあり、海外の製薬会社などとのライセンス契約から得られたロイヤリティ収入を、研究助成や研究所運営、北里大学メディカルセンターの開設などに役立てた[10][11]。人材育成にも力を注ぎ、自身の研究室から多くの研究者を輩出し[12]、女子美術大学の理事長や開智学園の名誉学園長なども歴任した[13]。
2019年 - 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行時、「イベルメクチンは新型コロナの特効薬[14][15][16][17]」「安価なイベルメクチンの効果を認めると、新薬を開発する製薬会社の利益を損なうので政府や国際機関は承認しない[18][19][20]」とコメントをした[21][22]。2021年12月には、大村が編著した書籍『イベルメクチン : 新型コロナ治療の救世主になり得るのか』が出版されるなど、大村のノーベル賞はイベルメクチンに関する誤った熱狂に信用を与えた[23][24][25][26][27][28][29][30]。大村の働きかけで公費を得て、北里大学と興和が臨床試験を行ったが、COVID-19に対するイベルメクチンの有効性は示されなかった[31][18][17][32][33][34][35][36][37][38]。海外におけるCOVID-19による死亡を防いだとする小規模研究においても、「明らかな捏造の兆候、あるいは研究を無効にするほどの重大な誤り」を含まないものは1つもなく[39][40][41][42][43][44]、その後行われた大規模治験でも、有効性を示した研究はない[45][46][47][48][49][50][51][52]。