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対称グラフ
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数学のグラフ理論の分野において、あるグラフ G が対称グラフ(たいしょうぐらふ、英: symmetric graph)あるいは弧推移グラフであるとは、G に含まれる任意の与えられた隣接する頂点同士からなるペア u1—v1 および u2—v2 に対して、
- f(u1) = u2 and f(v1) = v2 [1]
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であるような自己同型(英語版)
- f : V(G) → V(G)
が存在することを言う。言い換えると、グラフが対称的であるとは、その自己同型群が、向き付けられた隣接する頂点同士のペアの上(すなわち、方向を持つと考えられる辺の上)で推移的に作用することを言う[2]。 そのようなグラフはしばしば1-弧推移的[2](1-arc-transitive)あるいは旗推移的[3](flag-transitive)とも呼ばれる。
定義に従い(u1 と u2 を無視することで)、孤立頂点を含まない対称グラフは必ず頂点推移的でなければならないことが分かる[1]。また、上述の定義では、一つの辺を別のものへと写しているため、対称グラフは辺推移的でなければならないことも分かる。しかしながら、辺推移グラフは必ずしも対称グラフではない。なぜならば、a—b が d—c ではなく c—d へと写されることも考えられるからである。また、例えば、半対称グラフは辺推移的かつ正則であるが、頂点推移的ではない。
したがって、全ての連結対称グラフは頂点推移的かつ辺推移的であり、次数が奇数であるようなグラフに対してはその逆も成立する[3]。しかしながら、次数が偶数である場合は、頂点推移的かつ辺推移的であるが、対称でないような連結グラフも存在する[4]。そのようなグラフは半推移的(英語版)(half-transitive)であると呼ばれる[5]。最小の連結半推移グラフは、次数4で頂点数27のホルトグラフ(英語版)である[1][6]。厄介なことに、学者の中には対称グラフという語を、弧推移グラフではなく、頂点推移的かつ辺推移的であるようなグラフに対して用いる人もいる。そのような定義では、上述の定義では除外されている半推移グラフを含むことになる。
距離推移グラフでは、隣接している頂点同士のペア(すなわち、距離が1だけ離れている頂点のペア)を考える代わりに、各々が同じ距離だけ離れているペアを考える。そのようなグラフは、定義より、自然に対称グラフとなる[1]。
t-弧という語が、「t + 1 個の頂点からなる列で、その列において連続するどの二つの頂点も必ずグラフ上で隣接し、かつ繰り返し現れる頂点については必ず二段階以上離れているもの」に対して定義される。t-推移グラフとは、その自己同型群がt-弧の上では推移的に作用するが (t+1)-弧の上ではそのように作用しないグラフのことを言う。1-弧は単純に辺であるため、次数が3以上であるような全ての対称グラフには、t-推移的となるような t が必ず存在し、そのような t の値は対称グラフを分類する際に用いられる。例えば、立方体は2-推移的である[1]。