建安文学
ウィキペディア フリーな encyclopedia
建安文学(けんあんぶんがく)は、中国後漢末期の建安年間(196年 - 220年)、実質的な最高権力者となっていた曹氏一族の曹操を擁護者として、多くの優れた文人たちによって築き上げられた、五言詩・楽府を中心とする詩文学[1]。
それまで文学の中心とされていた辞賦に代わり、五言詩・楽府と呼ばれる歌謡を文学形式へと昇華させ、儒家的・礼楽的な型に囚われない、自由闊達な文調を生み出した。激情的で、反骨に富んだ力強い作風の物も多く、戦乱の悲劇から生じた不遇や悲哀、社会や民衆の混乱に対する想い、未来への不安等をより強く表現した作品が、数多く残されている。
五言詩には古詩十九首と称される一群の作品がある。古詩十九首は前漢ごろに制作されたと推定されている。男女別離の情を歌うもの、苦難の生活への怨憤、刹那的快楽の心情を歌う作品などが収められており、もとは民間の歌謡であったものが文人によって表現を整えられた形として残されている[2][3]。