慢性疲労症候群
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筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(きんつうせいのうせきずいえん、myalgic encephalomyelitis(略称ME)/まんせいひろうしょうこうぐん、chronic fatigue syndrome(略称CFS))は、免疫系、神経系、内分泌系の多系統の病態が関与する疾患。患者が訴える主な症状は、身体及び思考力両方の激しい疲労と、それに伴い、日常生活が著しく阻害されることである。慢性疲労症候群の診断基準は、慢性疲労をきたす障害や状態、服薬状況などを除外する必要があり、仕事や生活習慣が原因でなく、十分に休養をとっても回復しないことを必要とする。貧血、甲状腺疾患、糖尿病、多発性硬化症などが症状の原因であれば除外される[1]。
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慢性疲労症候群 | |
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概要 | |
診療科 | 神経学, リウマチ学 |
分類および外部参照情報 | |
ICD-10 | G93.3 |
ICD-9-CM | 780.71 |
DiseasesDB | 1645 |
MedlinePlus | 001244 |
eMedicine | med/3392 ped/2795 |
Patient UK | 慢性疲労症候群 |
MeSH | D015673 |
国際的合意に基づく診断基準によれば A. 労作後の神経免疫系の極度の消耗、B. 神経系機能障害、C. 免疫系・胃腸器系・泌尿生殖器系の機能障害、D. エネルギー産生/輸送の機能障害が長期間(一般的に6か月以上)におよび継続する病気である (B, C, Dについてはカテゴリーのうち少なくとも一つ)[2][3]。ICD10対応標準病名マスターでは、神経系の疾患としてG93.3に分類されている(病名は、ウイルス感染後疲労症候群、慢性疲労症候群、良性筋痛性脳脊髄炎の3つを列挙)[4]。ただし、本疾患は現在もまだ病理学的に完全には定義されておらず、日々最新の研究が報告され情報が蓄積されている[5][6][7]。
病態機序の一つとして、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群患者における長鎖脂肪酸欠乏が関与していることが示唆され、特にアシルカルニチンの血中低値[8]、脳内の特定部位におけるアセチルカルニチン取り込み低下が報告されている。日本医療研究開発機構(AMED)、障害者対策総合研究開発事業、神経・筋疾患分野の研究班長による2013年の和文レビューには「CFS患者では自律神経系の調節や情動などに深く関連している前帯状皮質24野と意欲やコミュニケーションにおいて重要な前頭皮質9野において有意に取り込みが低下していることが判明し,この部位ではアセチルカルニチンを介した神経伝達物質の合成が低下していることが明らかになった」と記載されている[9]。また、脳内血流量の低下も同レビューに報告されている。
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群患者の脳の海馬、視床、扁桃体を含む複数の領域でミクログリアの活性を伴う神経炎症が存在していることが2014年に報告されており、器質的病変を伴う疾患であることが報告された。短期記憶の喪失と海馬の炎症など神経炎症部位と症状には関連性が認められた[10][注 1]。脳におけるミクログリアの活性化にはサイトカインの関与が報告されている[13][14]。
重篤度が伝わらない・慢性疲労と区別がつきにくいということから、Chronic Fatigue and Immune Dysfunction Syndrome(慢性疲労免疫不全症候群、CFIDS)という呼称をアメリカ患者団体が利用してもいる。#病名呼称も参照のこと。