核融合炉
核融合反応を利用した原子炉 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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核融合炉(かくゆうごうろ)は、原子核融合反応を利用した、原子炉の一種。発電の手段として2024年時点では開発段階であり、21世紀前半における実用化が期待される未来技術の一つである。
重い原子であるウランやプルトニウムの原子核分裂反応を利用する核分裂炉に対して、軽い原子である水素やヘリウムによる核融合反応を利用してエネルギーを発生させる装置が核融合炉である。2023年現在、2025年の運転開始を目指し、日本を含む各国が協力して、核融合実験炉イーター(ITER)をフランスに建設中である[1][2][3]。ITERのように、核融合技術研究の主流であるトカマク型の反応炉が、高温を利用したものであるので、特に熱核融合炉とも呼ばれることがある。
太陽をはじめとする恒星が輝きを放っているのは、全て核融合反応により発生するエネルギーによるものとされている。このため核融合炉は「人工太陽[4]」「地上の太陽」に喩えられる。太陽の場合は1600万℃・2400億気圧という高温高圧の状態で核融合反応が発生している[5]。
地球上で核融合反応を発生させるためには、人工的に極めて高温か、あるいは極めて高圧の環境を作り出す必要がある。
これまでに、さまざまな炉の方式が研究されてきた。初期には、Zピンチ、ステラレータ、磁気ミラーの3つに重点が置かれていた。現在主流の方式は、トカマクとレーザーによる慣性閉じ込め(ICF)である。どちらも、フランスのITERトカマクや米国の国立点火施設(NIF)レーザーを筆頭に、大規模な研究が進められている。最近は、より安価な核融合炉の実現を目指して他の方式も研究されている。それらの中で、磁化標的核融合、慣性静電閉じ込め、そしてステラレータといった新しい方式への関心が高まっている。
核融合反応の過程で高速中性子をはじめ様々な高エネルギー粒子の放射が発生するため、その影響を最小限に留める必要がある。そういった安全に反応を継続する技術、プラズマの安定的なコントロールの技術、超伝導電磁石の技術、遠隔操作保守技術、リチウムや重水素、三重水素を扱う技術、プラズマ加熱技術、これらを支える材料や部品、支えるコンピュータ・シミュレーション技術などが必要とされ、それぞれに開発が進められている。
現在、国際共同研究のITER、中国科学院のような国家プロジェクト[4]に加えて、アメリカ合衆国やカナダ、日本など世界で数十の企業が核融合炉やその部品などの開発に取り組んでいる[6]。