棍棒外交
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棍棒外交(こんぼうがいこう、英語: Big Stick Diplomacy または Big Stick Policy)は、第26代アメリカ合衆国大統領セオドア・ルーズベルトの外交政策を表した用語。自国の武力を背景にして外交交渉で要求を飲ませるというもので、ルーズベルトが特にカリブ海地域で用いた手法を指す。由来は彼自身の発言「穏やかに語り、太い杖(棍棒)をたずさえて進む。なれば遠くに行ける(Speak softly and carry a big stick; you will go far.)」にちなむ。当時のアメリカのメディアは、ルーズベルトの外交政策を表す用語として「棍棒」(big stick、太い杖)を用い、これは現代の歴史家も用いるものとなっている。「モンロー主義に基づくローズヴェルトの系論」と呼ばれる外交政策の主幹を成す。 棍棒外交を成立させるには5つの要素が必要とされる。それは「敵に警戒を抱かせる軍事能力」「他国に公正な態度」「はったりを用いない」「強行措置が取れる準備が整った場合にのみ攻撃を行うこと」「破れた敵が面目を保つことを進んで認めてやること」である。特に軍事力は重要な要素であり、具体的には世界トップクラスの海軍を指したが、実のところルーズベルトが自由に動かせる大規模な軍隊はなかった[1]。
この考えは平和裏に交渉する一方で、それが破綻した場合に備えて力を持つことを意味する。同時に「棍棒」すなわち軍事力で脅すことは、マキャベリストが説くリアルポリティックス(現実政治)の考えにも大きく通じている[2]。