水晶幻想
川端康成による短編小説 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
『水晶幻想』(すいしょうげんそう)は、川端康成の短編小説。時間や空間を限定しない多元的な表現が駆使され、本格的な文学活動の始動以来、さまざまなモダニズム的な方法を試みてきた川端の最も挑戦的な実験作品である[1][2][3]。ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』の「意識の流れ」の手法を取り入れた作品で、未完の状態で終ったものの、当時の西欧の新心理主義の影響をうけた日本文学の代表作とみなされている[1][4]。
概要 水晶幻想, 作者 ...
水晶幻想 | |
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作者 | 川端康成 |
国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
ジャンル | 短編小説 |
発表形態 | 雑誌掲載 |
初出情報 | |
初出 |
「水晶幻想」 - 『改造』1931年1月号(第13巻第1号) 「鏡」 - 『改造』1931年7月号(第13巻第7号) |
刊本情報 | |
出版元 | 改造社 |
出版年月日 | 1934年4月19日 |
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不妊の夫人の性をめぐる幻想のイメージの連鎖が、華麗に流動する語彙で表現されているこの実験作には、川端の芸術的・知的な技巧があふれていると同時に、生物の発生学の追及の果てにある「死」の概念への反転に、川端独自の特質が垣間見られる作品となっている[5]。
なお、「水晶幻想」というタイトルは、作中の連想部中の〈東方の予言者。水晶の玉のなかに小さな模型のやうに過去と未来との姿が浮かび上つた、活動写真の画面、水晶幻想〉から来たものである[2][6]。