絵本小夜時雨
速水春暁斎の絵本 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
絵本小夜時雨(えほんさよしぐれ)は、江戸時代に出版された絵本読本(えほんよみほん)[1]。作・画ともに作者は速水春暁斎。1801年(享和元年)に刊行された。全5巻。
『太平記』、『平家物語』、『武将感状記』といった軍記物語や武士の行状記、『今昔物語集』、『翁草』などの説話集に取材した話を収録しており、それぞれの話に絵をつけている。神仏の霊験、武士による妖怪退治、亡霊との遭遇、不思議な仙人や幻術使いや忍者、各地の奇談などが主な題材として採られている。ただし昔の説話集だけでなく、1798年(寛政10年)に発生した方広寺大仏(京の大仏)の落雷による焼失にまつわる話である「樹木仏像に見ゆ」のように、同時代の話もある。
『今昔物語集』から採られている話の多くは、時代設定を移して(室町時代など)いる点に特徴がある。『今昔物語集』巻27「東人宿川原院被取妻語」が題材であると見られる「山室氏鬼の為に妾を拘」(巻二)は、説話の主人公が赤松則祐の家臣・山室鬼八郎と設定されているなどの改編・翻案がみられる[2]。