緊急列車防護装置
ウィキペディア フリーな encyclopedia
緊急列車防護装置(きんきゅうれっしゃぼうごそうち:One Touch Operative Emergency Device)とは、列車に踏切事故など非常事態が発生またはその恐れがある場合に、運転士が行う必要がある一連の列車防護操作を、1つのボタンで迅速かつ自動的に行う装置である[1][2][3]。「ワンタッチ装置」[1]、「TE装置」とも呼ばれている。主に国鉄の電気機関車やディーゼル機関車に装備されていた装置(1972年以降)だが[2][3]、近年は電車(1985年以降)[3]や気動車にも装備されはじめている。また、私鉄でも普及しはじめている。
通常TE装置を動作させるボタンは赤い大きなボタンで、運転席の操作しやすい位置に配置されている。ボタンによっては「緊急」と表記されている場合もある。ただし誤操作を防止するため、クラッカープレートなどで覆いを被せている場合がある。
このボタンを操作すると、主回路遮断(ディーゼル機関車、気動車の場合はエンジンのキルストップ)・非常ブレーキ作動・パンタグラフ降下(電気機関車・電車)・汽笛吹鳴60秒・防護無線発報・信号炎管点火・滑走防止の砂撒き・暖房のための蒸気発生装置(SG)の停止など、一連の列車防護操作が自動的に行われる[2]。ただし、圧縮空気の抑制のため、汽笛吹鳴と砂撒きは押下後60秒間だけ行われる[2]。
西日本旅客鉄道(JR西日本)では521系3次車から脱線などの異常事態を検知し、TE装置を自動的に作動させる「車両異常挙動検知システム」を搭載し、既存車輌についても207系体質改善車から順次搭載している。