超準解析
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微分積分学の歴史(英語版)は、流率法(英語版)あるいは無限小数の意味および論理的妥当性に関する哲学的論争を孕んでいる。これらの論争の標準的な解決策は、微分積分学における操作を無限小ではなくイプシロン-デルタ論法によって定義することである。超準解析(英: nonstandard analysis)[1][2][3]は代わりに論理的に厳格な無限小数の概念を用いて微分積分学を定式化する。Nonstandard Analysisは直訳すれば非標準解析学となるが、齋藤正彦が超準解析という訳語を使い始めたため、そのように呼ばれるようになった[4][5]。無限小解析(infinitesimal analysis)という言葉で超準解析を意味することもある。
超準解析は1960年代に数学者アブラハム・ロビンソンによって創始された。[6][7] 彼は次のように記述している:
[...] 無限に小さいあるいは無限小の量という概念は我々の直観に自然に訴えかけるように見える。何れにせよ、無限小の使用は、微分学・積分学の黎明期において、広く普及した。相異なる2つの実数の差が無限に小さくなることはないという [...] 異論に対して、ゴットフリート・ライプニッツは、無限小の理論は理想的数――それは実数と比較して無限に小さかったり無限に大きかったりするものであるが、後者(訳注:実数)と同じ性質を有する――の導入を含意するものであると主張した。
ロビンソンはこのライプニッツの連続性の原理(英語版)は移行原理(英語版)の先駆けであるとしている。ロビンソンは次のように続ける:
しかしながら、彼も、彼の弟子たちや後継者たちも、このようなシステムに繋がる合理的な進展(訳注:そのような原理を合理化するもの)を得なかった。その結果、無限小の理論は徐々に評判を落としてゆき、最終的には古典的な極限の理論に取って代わられた。[8]
ロビンソンはさらに次のように続ける:
本書では、ライプニッツのアイデアが完全に正当なものであり、古典解析やその他の多くの数学の分科に対する新奇で実りあるアプローチに繋がることを示す。我々の方法の鍵は、現代モデル理論の基盤にある、数学の言語と数学的構造との間の関係の詳細な分析によって齎される。
1973年、直観主義者アレン・ハイティングは超準解析を「重要な数学的研究の標準モデル」だと賞賛した。[9]