長垂の含紅雲母ペグマタイト岩脈
ウィキペディア フリーな encyclopedia
長垂の含紅雲母ペグマタイト岩脈(ながたれのがんこううんもペグマタイトがんみゃく[† 1])は、福岡県福岡市西区今宿青木にある、国の天然記念物に指定された紅雲母(リチア雲母)を含んだペグマタイトの岩脈である[1][2]。
博多湾に面して海に突き出した岬にあり、博多から海沿いに西へ向かう交通の要所として古来より人の往来が盛んな場所であったことから、この岬の一帯に露出する岩石や鉱物は古くから知られ、中でも美しい淡紫紅色をした雲母で出来た巨大な結晶は「キララ」という呼称で江戸時代中頃にはすでに知られており[3]、明治期から昭和初期の日本の鉱物学黎明期に多くの学者が長垂を訪れて鉱物採集を行い、その分析や生成過程の調査が行われるなど、日本国内の鉱物学者や地質学者の間では著名なポイントであり、学術的な価値が高いことから[4]、1934年(昭和9年)1月22日に国の天然記念物に指定された[1][5]。
紅雲母(リチア雲母)に含まれるリチウムは日本国内では希少な元素であるため、紅雲母を含む長垂の鉱石類は太平洋戦争戦時下の軍事利用を目的に大量に採掘された経緯があり、今日では地表面での紅雲母(リチア雲母)を現地で確認することは難しくなっているが、石英や長石などの鱗片状の結晶の集合体は観察することが可能である[1]。