IARC発がん性リスク一覧
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IARC発がん性リスク一覧(IARCはつがんせいリスクいちらん)、またはIARC発がん性分類とは、物質や作業環境などの様々な要因の発がん性について、国際がん研究機関(IARC)がグループ1、2A、2B、3の4段階に分類したものである[1][2][3]。この分類は、がんを引き起こす可能性に関する「科学的根拠の強さ」を示したものであり、発がん性の強さや暴露量による影響が考慮されていないことから、ヒトにおける実際の発がんの確率や重篤性を示すものではない[1][2][3]。
これまで、IARCは合計で1042の要因を評価し、そのうち126要因について、ヒトにおける発がん性を示す有力な根拠があると判断し、グループ1に分類している[1][2][3]。2A、2B、3となるにつれて、ヒトにおける発がん性の根拠は弱くなる[1][2][3]。グループ3は、必ずしも発がん性がないことを示すわけではなく、主に、発がん性の有無を判断するためのデータが不足しているものが該当する[1][2][3]。2019年1月まではグループ4(恐らく発がん性はない)の分類があったが、潜在的なハザードがないという決定的な証拠を得ることはほとんど不可能なため、グループ3に統合された[4]。
同じグループのものは、「リスクが同程度」なのではなく、「発がん性を示す根拠の強さが同程度」という意味である[1][2][3]。同一グループ内のある要因と別の要因とでは、発がんの可能性や程度は異なるため、両者を比較することはできない[1][2][3]。
IARCは、多数の毒性がある中で「発がん性」に注目し、最初の基本的な段階である「ハザード特定(危険要因となりうるかどうかを見る)」を行うが、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)や食品安全委員会が行う「ハザード特性評価(発がん性の強さの評価)」や「ばく露評価(実際の摂取量の把握)」を合わせた「リスク評価」はしていない[1][3][5]。「リスク評価」は、その物質が実際の生活環境下においてヒトに対して健康への悪影響を及ぼすかについて評価するものである[1][3][5]。評価の際は、発がん性だけではなく、消化吸収代謝への影響や生殖毒性など、さまざまな角度から調べて「ハザード特性評価」を行い、さらにその物質の摂取量を把握する「ばく露評価」を実施し、これらを総合して「リスクの推定」を行う[1][3][5]。
詳細は、IARCモノグラフの前文やQ&Aに記載されている。