スターシャは、アニメ「宇宙戦艦ヤマトシリーズ」の登場人物。イスカンダル星を統治していた王家の末裔で最後の女王。
なお、作品によって「スターシア」や「スターシャ」と表記・発音が異なる(#名前表記の変遷を参照)。
声優は、『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』までは平井道子、『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』以降は上田みゆき。リメイクアニメシリーズでは井上喜久子。
『SPACE BATTLESHIP ヤマト』での俳優は、森雪に憑依したという設定で黒木メイサが演じ、上田が声を重ねている。
松本零士は、スターシャのモデルとしてフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトの孫にあたる楠本高子の名を挙げている[1][2]。
- 宇宙戦艦ヤマト
- ガミラスの遊星爆弾による放射能汚染で滅亡寸前となった地球へ、妹のサーシアを向かわせ、超光速外宇宙航行が可能になる波動エンジンの設計図と、放射能の除去が可能になるコスモクリーナーDをイスカンダルまで取りに来るようにというメッセージを送った。サーシアは火星への不時着により死亡したため、スターシアはイスカンダルの最後の住民となる。
- 序盤では、このメッセージ以外での出番はなかったが、第15話でヤマトが異次元断層へ落ち込んで窮地に陥った時に、直接ヤマトへ語り掛け、脱出を支援する。第23話で本人が直接登場し、第25話でイスカンダルへ到着したヤマトに当初の約束通りコスモクリーナーDの部品を渡した。なお、それに先んじてガミラスによってガミラス本星へ移送される途中に遭難した古代守をイスカンダルへ保護しており、リハビリテーションを務めさせるうちに恋に落ちた結果、ヤマト到着時点では娘のサーシャをもうけている[3]。
- なお、劇場版『宇宙戦艦ヤマト』の初回上映バージョン(後の映像媒体で「スターシャ死亡編」と題される)ではヤマトがイスカンダルへ到着した時には既に死亡しており、コンピュータに残された映像でヤマトの乗組員達の前に現れ、コスモクリーナーDの部品を渡している。そのため、守も登場しない。
- 宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち
- 特殊資源物質イスカンダリウムを星間戦争のエネルギー源にしようとする暗黒星団帝国から守るため、守と娘のサーシャをヤマトへ避難させるがスターシャ自身はイスカンダルへ残り、降下してきた自動惑星ゴルバを道連れにイスカンダルと共に自爆する。
- ヤマトよ永遠に
- 意識体として娘のサーシャの前へ現れ、古代に対して「さよなら」と言うことを促し、彼女の決意を後押しした。その後、スカルダートに射殺されて意識体となったサーシャの彼方へ現れ、彼女を優しく迎える姿を古代たちが目撃している。
- 宇宙戦艦ヤマトIII
- スターシャ本人は登場しないが、第20話でファンタムへ降り立った真田志郎の前に、守と共に幻影として登場するシーンがある。
- また、第16話において、二重惑星のガルマン・ガミラス帝国本星と対になっている惑星(外見はイスカンダル星に似ている)の名称を、彼女にちなんで「スターシャ」と命名したことがデスラーによって語られている。
本シリーズではスターシャ・イスカンダルというフルネームが設定されている。イスカンダル王星の女王。年齢は地球換算で27歳相当[4](『2199』時点)。
本作でのイスカンダルはガミラス人から信仰の対象となっているため、彼女も「ルード・イスカンダル(イスカンダル猊下)」の敬称で呼ばれており、デスラーにホットラインを入れたときもデスラー親衛隊員から「スターシャ猊下」と呼ばれている。デスラーと知人であるのは旧作と同様で、公的な会話以外ではデスラーをファーストネームの「アベルト」で呼んでいる。
また、イスカンダルが歩んだ歴史の関係から波動エネルギーを武器として使うことには拒否反応を示す。
劇中での行動
- 宇宙戦艦ヤマト2199
- 2198年に地球へ救いの手を差し伸べるべく、末妹のユリーシャを向かわせ、その1年後の2199年に波動コアを持たせたサーシャを向かわせる。
- 古代守がガミラスの捕虜(生体サンプル)としてガミラス星に移送される途中、ガミラス艦が事故に遭ってイスカンダルに不時着したところを救助したが、看護の甲斐もなく守は死亡。その後、守の記憶を保存した光の玉と共に過ごしていた。
- ヤマトが波動エネルギーを波動砲という兵器に転用したことを知り、一時はコスモリバースシステムの譲渡に難色を示したが、妹ユリーシャやガミラスの副総統ヒスの説得を受け翻意。そして、イスカンダルがかつて波動砲の強大な力に物を言わせて覇権主義の道を進んだ歴史を持つということを語り、その愚行を地球が繰り返さないようにと沖田十三に約束させ、コスモリバースシステムを譲渡した。
- なお、イスカンダルを出発するヤマトを見送る際、腹を擦る描写がある。
- サイドストーリーである『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』においても、冒頭にて登場する予定だった[5]が、上映時間や製作期間の都合から省略されており、オープニング映像への登場のみとなっている。
- 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち
- ストーリーには直接関わってこないが、前作で沖田と交わした約束の言葉が何度か流されるほか、第16話ではデスラーが彼女の顔を思い浮かべている。本人は最終話にて1カットのみ小さく登場している。
- 宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち
- ガミラス星がデザリアムに襲撃されて破壊されたために、ガミラス星からガルマン星への移民船団がイスカンダル星に不時着した。イスカンダル星を運び去ろうとしているデザリアムに対して、およそ10万人の移民の生き残りとイスカンダルを守ろうとデスラー艦隊が奮戦する。そこに宇宙戦艦ヤマトも援軍に駆け付けた。その様子を見ながら、イスカンダルの罪がさらなる争いを招いていると、悲しみのうちにスターシャは傍観していた。デスラー艦隊とヤマトを含む第65護衛隊が移民船団とイスカンダルを守るために奮戦する中、スターシャはイスカンダルとそこに眠る情報資産と引き換えにデザリアムに停戦を呼び掛けた。デスラーと古代進に、スターシャはイスカンダルが他の星の文明を虐殺して情報として収集してきたことを告げる。イスカンダルの人民が情報体として生きるようになって人手不足になると、ガルマン星から強制連行した奴隷にイスカンダルの伴星をコスモリバースシステムでガルマン星と同じ環境に改造して与え、ガミラスの名を与えて道具として使ってきたことをスターシャは懺悔した。スターシャはイスカンダル星もろとも自爆することをデスラーと古代進に伝えた。停戦し移民船団がイスカンダル星から脱出していく中、デスラーは、己のプライドとスターシャへの愛情から、デザリアムの自動惑星ゴルバにデスラー砲を放ち防御が緩んだ隙に特攻をかけて、ヤマトにデウスーラIII世ごと波動砲で撃つことでイスカンダルを救うことを要求する。古代進らはスターシャとユリーシャを説得してコスモハウンドでイスカンダルから連れ出した。デザリアムはコスモハウンドを捕獲しようとするが、辛くも逃げ切った。コスモハウンドの置き土産の波動掘削弾で内部から破壊されつつある自動惑星ゴルバはイスカンダルの自爆に巻き込まれて消え去った。しかし、スターシャとユリーシャはイスカンダル星なしには生命を維持できなかった。スターシャとユリーシャは古代守の因子により生き残ることとなったサーシャを古代進に託し、スターシャはデスラーの腕に抱かれたまま消失していった。デスラーはスターシャへの想いを内に、ガミラス民族の復興とガルマン星の再興を決意するのだった。
漫画
- 宇宙戦艦ヤマト(松本版漫画)
- アニメで設定デザイン・監督を担当した松本零士による『冒険王』連載の漫画。連載時には、ヤマトがイスカンダルに到着したところまででイスカンダルの描写は終わっている。連載終了後に出された単行本では、イスカンダルからの帰路に就いた後、守とおぼしき宇宙海賊の乗った宇宙船を追って外宇宙へと旅立ったことが古代の回想の形で加筆されている。
- 宇宙戦艦ヤマト(ひおあきら版漫画)
- 藤川桂介作、ひおあきら画による描き下ろし単行本の漫画では、ガミラスの攻撃によりイスカンダル最後の生き残りという設定。コスモクリーナーDの設計図を渡してヤマトが旅立った後、惑星破壊装置によりガミラスを道連れにイスカンダルを自爆させて果てる。裸が透けて見える服を着ている。
- 宇宙戦艦ヤマト 永遠のジュラ編
- 直接の登場はないが、デスラーが内心ではスターシャに惹かれていたことが、デスラー夫妻が別居に到った夫婦喧嘩の原因となったことが語られている。
- 新宇宙戦艦ヤマト
- この作品では、かつてのスターシャと守の間に生まれた娘の名。シリーズ第1作から1000年の時が経過し、古代たちが世代を経た子孫となっているのと対照的(宇宙船で長年超光速航行を繰り返したことによる、一種のウラシマ効果的なものによると語られている)である。グレートヤマトへ乗り込み、羽黒妖(漫画『超時空戦艦まほろば』の登場人物)と共に第3艦橋の乗員となる。
小説
- 宇宙戦艦ヤマト 地球復活編(石津版小説)
- この作品では、スターシアは人間ではなくイスカンダルへ張り巡らされたネットワーク型コンピュータとして描かれている。スターシアは自らを防衛するため、イメージライフ(仮生命体)であるデスラーを創造した。デスラーを滅ぼすには、スターシアそのもの(≒イスカンダル)を破壊するしか方法がない(創造主を破壊すれば仮生命体であるデスラーは消滅する)ことをヤマトの残存クルーへ啓示し、自己矛盾により機能を停止した。
- 沖田十三と彼の実子である守=キャプテン・ハーロックはヤマトでイスカンダルへ特別攻撃を行い、スターシアを破壊。古代と森雪は、スターシアから受領していた放射能下でも生存できるための生体改造の設計図を携え、宇宙船ファントム号で地球へ帰還する。
シリーズ第1作では「スターシア」と表記され、劇中でもそのように発音された。原案では「スターシァ」と設定されていたが、放送当時は小書きの「ァ」を用いた表現が稀であったために、「ア」に置き換えられた。その後、小書き「ャ」に変更されたものが定着した。
PlayStationゲームシリーズおよび『松本零士999』内での表記は全て「スターシア」で統一されている。
なお、PlayStation 2ゲームソフト『暗黒星団帝国の逆襲』でのサーシア(真田澪)の説明によると、「スターシア」の名は代々のイスカンダル女王が受け継ぐ名であり、サーシアは次期女王になる者に与えられる名前と定められている。従ってスターシアの母も祖母も、名前は全てスターシアということになる。
厳密にはモデルではなく、後年知人から見せられた写真の姿が自分の描いてきた理想の女性そのものだったということである。
『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』で新たに作られた設定で、『宇宙戦艦ヤマト』では子を宿した設定はない。