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ナムコの3Dレーシングゲーム ウィキペディアから
『リッジレーサー』(Ridge Racer)は、ナムコ(後のバンダイナムコエンターテインメント)が1993年に稼働開始したアーケード用レースゲームである。後にコンシューマーゲームや携帯電話ゲームにも移植された。
ジャンル | 3Dレーシングゲーム |
---|---|
対応機種 |
アーケード [AC] PlayStation [PS] iアプリ [i] EZアプリ (BREW) [EZ] S!アプリ [S] |
開発元 | ナムコ |
発売元 | ナムコ |
ディレクター | 横山茂 |
プログラマー | 柿沢高弘 |
音楽 |
細江慎治 佐宗綾子 佐野信義 |
美術 | 佐々木建仁 |
シリーズ | リッジレーサーシリーズ |
人数 | 1人 |
メディア |
PS:CD-ROM i・EZ・S:ダウンロード販売 |
発売日 |
AC: 1993年 PS: 1994年12月3日 1995年9月9日 1995年9月29日 PS(廉価版): 1996年7月12日 EZ: 2005年8月11日 |
デバイス | PS:ネジコン対応 |
アスペクト比 | 4:3 |
筐体 | コクピット筐体 |
システム基板 | SYSTEM22 |
コーナーで減速せず派手なドリフト走行で高速のまま曲がり切ったり、高低差により大きくジャンプしたりと、挙動や運転感覚のリアルさを度外視した爽快感重視のゲーム性が特徴のレースゲームである。キャッチコピーは「フルカウンターで駆け抜けろ」、広告のイメージキャラクターは山本ともあ[1]。
アーケード版の筐体のシートはプラスチックの成型品ではなくビニールレザーを採用している。この決定にコスト上昇と耐久性のふたつの理由から社内で反対の声が上がった。ステアリングも従来の品を使用せず、本作専用の大きなものを開発した。既存の26センチ径のものでは小さく、スポーツカーで逆ハンドルを切る感覚が味わえないと判断されたためでもある[2]。
F1ブームの真っ只中にあった1990年代前半、箱車と呼ばれるスポーツカーを題材にした本作の開発は、それほど世間の注目を集めることのないプロジェクトだった。本来のゲームの目的は勝つこと。レースゲームで主眼を置くところも同じだった。SYSTEM22の描画能力の影響もあり、ナムコはあえて王道を選ばず、爽快感や車を速く走らせることへの充足に主眼を置いた[3]。
1994年に発表されたセガの『デイトナUSA』とともに、テクスチャマッピングを導入した最初期の3Dレースゲームである。
アーケード版からほぼ1年後に登場したPlayStation(以下PS)版は、同ハードのローンチタイトルとして発売された。コンシューマー用のオリジナル要素として、ライバルカーの使用や、高い性能を持つデビルカーの出現、逆走モードなど、様々な追加要素が導入された。ゲーム起動時の読み込み中に『ギャラクシアン』で遊ぶことができ、以降のシリーズでも起動時にミニゲームで遊べるのが定番となった。
以下のような方法でドリフト走行をすることができる。
マシン横滑りが始まったらアクセルを踏みつつ、逆にステアリングを切り(カウンターステア)走行ラインを調節する、という操作でドリフトが収束する。ドリフト時はマシンの挙動に補正がかかり、きっかけの作り方さえわかれば簡単にドリフトが可能である。
また、カーブと反対方向にドリフトをすることで一回転してドリフトができる、逆ドリフトというものも可能である。
シリーズ中で比較的ドリフト走行への補正が少ないAC版では、ドリフト中はそれなりのペースで減速していく。ドリフト中にシフトをニュートラルに入れてエンジン回転数を上げることにより、ドリフト終了後の速度回復を速くするという、熟練者でも成功率が8割を超えない非常に難易度が高い技が存在する(SD筐体を除く)。このため、ドリフトで抜けた方が速いカーブとグリップで抜けた方が速いカーブとの見極めが難しく、究極的なタイムを目指す場合の攻略難易度は非常に高かった。なお『リッジレーサー2』以降においてはドリフト中の減速自体が抑えられたため、この技を行う意味は失われた。
PS版はオリジナル要素として、路面とほぼ並行にドリフトする「サイレントドリフト」と呼ばれる半バグ技が存在する。成功するとグリップ走行と同じように無音で曲がり始めるが、旋回性能はドリフト時のものとなり、それに加え本来の最高速度以上に加速し始める。この技を利用すると残り時間が99秒以上になり、カウンターストップしてしまう(カウンターストップ中は残り時間の表示色が銀色になり、100秒以上残っていることを示す)。
スタート後、コース上のフィニッシュラインを通過すると、そこからタイム計測が開始される。ただし制限時間はスタート直後から減り続ける。このため、スタート後一定距離を逆走し、スタートライン通過時の速度を稼いでタイムを伸ばすテクニックも存在した。ただし、本作以降のタイム制限が存在しなくなった作品では、タイムアタックモードでこの動作を行うと失格となる。
(規定周回数はアーケード版デフォルト設定のもの)
コースは2種類あり、初級と中級、上級とT.T.でそれぞれ同じルートを走行する。双方がルートの一部を共用しており、前半は同一ルートを走行するが、後半に分岐がある。初級と中級では分岐を直進した後、最終カーブを曲がってホームストレートに戻ってくるが、上級とT.T.では曲がりくねった上に幅が狭い上級者向けコースを走行する。
PS版では全モードを1位でゴールすると、コースの逆走版であるエクストラコースが使用可能になる。単に逆走になるだけではなく、チェックポイント数の減少や、走行中に真夜中になることによる視程の悪化などの効果も合わさるため、順走に比べて難易度は高くなっている。
マシンの名称やステッカーなどには、ナムコが開発した過去のゲームが引用されている。
次の4車種が最初から使用可能。これらの4車両は2016年6月9日に日本で発売されたPROJECT CARS PERFECT EDITIONの初回封入特典で封入されたプロダクトコードを入力すると、PROJECT CARS PERFECT EDITIONでリッジレーサーのデザインカーが登場する。なお一部ステッカーが差し替えられている。
また、ゲーム起動時にプレイすることができる『ギャラクシアン』でパーフェクトを達成すると、敵車として登場している以下の8台を使用できるようになる。
ノーマルカーを遙かに上回る性能を持っている。一定条件を満たした後、T.T.に登場するデビルカーに勝利することで使用可能となる。
AC版では全登場車種および使用可能なマシンがPS版と大きく異なる。また、後にPS版に収録されたマシンについても、カーナンバーや貼られているステッカーがAC版とPS版で一部異なる。
設定で規定周回数を増やすとアザーカーの登場台数も増えるが、この際、台数が全ての車種より多くなった場合は、一部の車種が重複してレースに登場する。
作曲は細江慎治(megaten)、佐宗綾子(AYA)、佐野信義(sanodg)の3名で、ゲーム中に使用できるBGMは6曲。同社同音楽スタッフによる『F/A』や『ニューマンアスレチックス』などの音楽路線を継承し、サンプリングを多用したテクノミュージックを採用している。本作を皮切りとして、『リッジレーサー』シリーズでは従来のゲーム音楽とは一線を画す多彩な音楽性の提示を続けており、リッジサウンドなどと呼ばれることもある。
ナムコの重役相手のお披露目時にランダムで選曲されるBGMに、最も異彩を放っていた『ROTTERDAM NATION』がかかってしまい、ディレクターが頭を抱えたことがある[7]。他にも『リッジレーサー』のイントロで、基板に実装されていた32和音中20和音(12和音はシステム音に利用)を使い切るなど、エピソードは非常に多い。
PS版ではサウンドテストを選択すると、BGMと共にアザーカーのフリーランのライブ映像が流される。コンシューマーでは以降のシリーズにも同様のモードが実装されるようになる。
また、『ハイスペックVer.』では収録曲が異なり、上記『RIDGE RACER / 細江慎治』と、AC版『リッジレーサー2』およびPS版『リッジレーサーレボリューション』に収録された『GRIP / 佐野信義』の2曲のみが収録されている。
曲名は全て当時ダンスミュージックにハマっていたプログラマによって付けられた。
『R4 -RIDGE RACER TYPE 4-』に同梱されたボーナスディスク。2002年にPS one Booksとして発売された廉価版には付属していない。
30FPSであったPS版『リッジレーサー』(以下、オリジナル版)を60FPS化し、より滑らかな動きとしたものである。オリジナル版の60FPS化はソニーがPS用の「ランタイムライブラリVer.3」を発表した際、そのデモンストレーションとして既に実現していた。
モードはプレイヤー1人で走る「T.A.」と、プレイヤーとライバルカーの2台で走る「T.T.」の2種類で、オリジナル版に存在したライバルカーを含む12台でのレースは存在しない。コースはオリジナル版で収録されていた2種類(SHORT→初級・中級、LONG→上級・T.T。右側がオリジナル版での名称)が用意されている。
起動中のロード画面で『ギャラクシアン』を遊ぶことができ、パーフェクトを達成すると使用可能車種が4台から12台に増加する要素もオリジナル版から継承されている。
T.T.の2コースを1位でゴール、T.A.の2コースのトータルタイム記録で1位を獲得するとエンディングが流れ、オリジナル版と同様に各コースおよびモードの逆走版であるEXTRAが登場する。また、一度エンディングを迎えるとLONGコースのT.T.に、オリジナル版と同様に隠し車種のデビルカー「13th RACING」が出現する。
海外版は『Ridge Racer Turbo』(リッジレーサー・ターボ)というタイトルになっている。
リッジレーサーのコースをデザインするにあたり、開発者の佐々木建仁が以前携わっていた大手ゼネコンでのシミュレーションCG作成のノウハウが大いに役立ったという逸話が残っている[9]。また、リッジレーサーのプログラマーが「リッジレーサーが売れたら結婚してあげる」という約束を相手に取り付け、実際大当たりしたが、酒の席での話だったので、結局反故にされてしまったという悲惨な逸話も残っている[7]。
コースを峠(Ridge)にしたのは、山間にすることでコース遠景の描画を省いてポリゴン数を減らすため。またSYSTEM22のグーローシェーディングは処理が重いため、ゲーム中では使用されておらず(車体の流線型などは、あらかじめ陰影を付けたテクスチャによるもの)、唯一タイトル画面の旗のゆらめきで使用された[10]。一方で開発過程では、『ファイナルラップ』『ウイニングラン』の流れから「F1のゲームにしろ」という指示も上層部から出されていたが、「テクスチャマッピングを活かすには、フィールドは広大なサーキットではなく峠が望ましい」として現場が押し切ったという話もある[11]。なお同社の3DのF1レースゲーム新作は、約1年後に『エースドライバー』が発売された(本作と同じくSYSTEM22基板を採用)。
PlayStation版リッジレーサーで、Car No.2, 5, 6, 7, 8の数字が右寄りになっているのは、Car No.12, 15, 16, 17, 18と同じテクスチャをパレットチェンジだけで使い回しているため(10の位の「1」だけ白に変えて文字を消している)。また、Car No.2, 7, 12, 17のテクスチャが、他の車と比べて荒いのは、元のテクスチャのサイズが1⁄4しかないのを拡大して使用しているため。
理由は不明だが、PlayStation版はマスターアップ直前で車のテクスチャデザインが刷新されている(「RAVEWAR」→「NAVIWAY」など)。そのため、出荷直前の雑誌の紹介記事では古いテクスチャと新しいテクスチャの画面写真が混在して使われている。また、付属のマニュアルではテクスチャの部分が塗りつぶされて使用されている。店頭展示用の体験版CD-ROM集『Demo Demoプレイステーション』に収録された体験版は、変更前のテクスチャが使用されている。
PlayStation 2版『ナムコレクション』に収録されたPS版リッジレーサーはアナログスティックに対応している、またBGMが演奏音源が変更された別バージョンになっているが変更の理由は不明。
2021年のNetflix配信ドラマ『全裸監督 シーズン2』第1話「宇宙からエロが降る」にフルスケール筐体を基にした『RIDGE RACER FULL SCALE PLUS+』が登場する[12]。ロードスターの色が紺色に変更されている[12]。
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