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アメリカのソーシャル・ネットワーキング・サービス ウィキペディアから
X(エックス)は、アメリカ合衆国のX社が運営するソーシャルメディア、ソーシャル・ネットワーキング・サービス[3][4][5]。2023年7月24日に「Twitter」から名称を変更した。投稿は「ポスト」と呼ばれ、Twitterと同様に限られた文字数だけで投稿できる。また、投稿データはxAIおよびGrok、テスラのLLM用データセットとして利用されている[6][7][8][9]。
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URL |
x |
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言語 | 多言語 |
タイプ | ソーシャル・ネットワーキング・サービス |
設立 | 2006年3月21日 、 アメリカ合衆国サンフランシスコにて |
事業地域 | 世界中( 一部ブロックされている国を除く) |
運営者 | X Corp. |
設立者 | |
CEO | リンダ・ヤッカリーノ |
株主 | イーロン・マスク |
登録 | 必要 |
ユーザー数 | 4.50億人 MAU[1](2023年3月)[2] |
開始 | 2006年7月15日 |
現在の状態 | 運営中 |
対応プラットフォーム | |
プログラミング言語 |
2022年4月初旬、個人筆頭株主になったイーロン・マスク(テスラCEO、スペースX創設者兼CEO)の取締役就任が発表された。4月9日に一度は辞退したものの[10]、同年4月25日、Twitterはマスクによる株式の100%を取得する買収提案を受け入れた。買収総額は440億ドル、日本円でおよそ5兆6000億円であった[11]。買収提案を受け入れた背景には、主要株主からの売却圧力の高まりがあったと見られている[12]。
しかし、マスクは2022年6月6日、偽アカウントやスパムアカウントに関する必要な情報をTwitterが提供しなければ、買収破棄もあり得るとの考えをTwitter社宛ての書簡で明らかにした[13]。同年7月9日、重大な契約違反があったとしてTwitterの買収撤回が報じられた[14]。結局、2022年10月27日にマスクはTwitter社を買収したが、同社がスパムアカウントの数について誤解を招く情報を提供してきたことを理由に、CEOのパラグ・アグラワルやCFOのネッド・シーガル、法務ポリシー担当のビジャヤ・ガッデを含む取締役9名全員が即時解任された[15][16]。
マスクによる買収後に大量解雇が進められ、2023年1月には従業員が約1300人となり買収前の7500人の5分の1以下となった[17]。大量解雇を受け、元従業員100人以上が仲裁を申し立てたり、集団訴訟に乗り出したりしている[18]。このほかにも主な収入源としている広告も激減し、2022年12月には大手広告主100社のうち72社が出稿を取り止めた[18]。
同サービスのロゴは長年に渡って青い鳥が使用されてきたが、2023年4月4日早朝(日本時間)に日本の柴犬「かぼす」に由来するインターネットミームである「ドージ」のものに差し替えられた[19][20]。その後同月7日までに元のロゴに戻った[21][22]。
同年5月12日、マスクは後任のCEOにNBCユニバーサル広告責任者のリンダ・ヤッカリーノが就任すると発表した[23][24]。
2023年7月23日、マスクは「そして間もなく、私たちはTwitterブランドに別れを告げ、徐々にすべての鳥とも別れを告げるでしょう」とツイートを投稿[25]し、翌日にはWebアプリのロゴが「X」に変更された[26]。サービス名としてのTwitterも「X」に切り替えられた[27]。各メッセージを意味する「ツイート」について、マスクは当初「X's」(「エックセズ」)という呼称に変更するとしていたが[28][29]、7月31日のiOS版アプリのアップデートでは「ポスト」(Post)に、「ツイート」ボタンは「投稿する」(その後は「ポストする」)に変更された[30]。また、マスクがかつて設立したオンライン銀行であったX.com(2017年にマスクがPayPalから買い戻し)のドメインがtwitter.comへのリダイレクトに変更された[31]。
2024年1月10日、同年内にXにて個人間の送金決済サービスを開始すると発表した[32]。
2024年5月17日、正式にURLがtwitter.comからx.comに変更された(twitter.comはx.comへのリダイレクトに変更された)[33]。
2024年9月、テレビアプリ「X TV」(Android TVやAmazon Fire TV、WebOSなど)のベータ版を公開した[34]。
基本的な使用方法や特性、インターフェースはTwitterと同じであるが、後述する有料会員サービスを通して認証を受けているアカウントの場合投稿時の文字数制限が緩和され、10,000文字以内の投稿が可能となる。また、Twitterには無かった通話機能や「Grok(グロック)」なるAIでの会話機能等も追加されている。
デジタルマーケティングに関する市場調査会社・Pathmaticsの分析によると、マスクによる買収以前にTwitterに広告を出していた上位100社の広告主のうち70%が、2022年12月18日までの1週間に広告を出していないとされた。Twitterの収益のうち約89%は広告費であるため、この状況はマスクにとって看過できるものではないとWall Street Journalは指摘している[55]。
さらに年が明けても広告減少の傾向が続いており、ニューヨーク・タイムズが入手した内部資料によると、2023年4月〜5月第1週の5週間余りのアメリカにおけるTwitterの広告収入は8800万ドル(約127億円)で、前年同期比59%減少したとされる。
一連の原因として、マスクの買収以降、主要な営業幹部の解雇や、以前に凍結されていた一部ユーザ(「永久凍結」となっていたドナルド・トランプなど)アカウントの凍結解除などを行ったことや、コンテンツモデレーション(不適切な投稿の監視・削除)を担当する安全管理責任者などが退職した影響もあり、ヘイトスピーチやフェイクニュース、ポルノグラフィーといったコンテンツが増えており、オンラインギャンブルやマリファナ関連の広告も増加しているという。これらのことが広告主から嫌悪され、Twitterからの離反を招いているとされる。大手広告主ではゼネラル・モーターズやフォルクスワーゲンなどの大手メーカーがTwitterからの広告を一時撤退したとされており、アップルやアマゾン・ドット・コム、ウォルト・ディズニーといった大手企業もTwitterでの広告掲出の減少の動きがみられる。マスクのCEO退任に伴い、2023年6月にNBCユニバーサル(NBCU)の広告部門トップであったリンダ・ヤッカリーノが後任のCEOに着任し、事態の打開を目指している[56]。
マスクは自分のツイートの表示を最優先するようにアルゴリズムを変更したり、自社に批判的なメディアのアカウントを凍結したりと、言論の自由を無視した行為を多数実行。さらには自社のサービスのライバルとなり得るサービスへのリンクを遮断しようと試みたりと、言論の自由どころか自分に都合の良い変更ばかりをしているのが目立つ。また、買収直後に75%の人員削減計画があることがリークされた際、マスクはそんな計画はないと直後に否定していた。ただ、こちらも最近のBBCのインタビューで、過去に8000人いたTwitter社の従業員が、現在は1500人まで減っていることが判明し、実は80%を超える従業員が退職していることが分かった。また、直近のマスクの行動で非常に象徴的なのが、生成AIの話題である。マスクは生成AIの進化の早さに対して、開発を6か月止めるべきだという署名運動を先頭にたって行っていた。しかし、自らは他社からAI開発者を引き抜き、「X AI」という会社を設立し、ライバルに追いつくためのAI開発の準備を着々と行っていることが報道されている。もちろん、経営者が事業の状況をみながら判断を変えるのは当然であるから、発言が二転三転するのは必ずしも不思議なことではない。しかし、通常の経営者と比較すると、激しく二転三転することは明白になっていると言える[57]。
Twitterの経営において、マスクの発言だけを聞いていると、まるでTwitterはマスクの買収前から大赤字だったような印象を持つ方も少なくない印象を持たせる。しかし、実はTwitter社はマスクが買収する前は、従業員が5000人近くいた2019年のタイミングでは黒字を出せていた。それが、8割以上の従業員をリストラした現在の1500人体制でも、まだ収支が黒字になっていないというのは、マスクの方針転換を嫌った広告主がTwitterを離れたために売上が減少したことだけが原因では無い。マスクがTwitterを買収した際に行った巨額の借入の負債を、Twitter社に負担させたことによりTwitterの収益構造が大幅に悪化した結果であり、借入の利子の支払いだけでも年間15億ドルと言われている。マスクの買収前のTwitter社の売上が51億ドルなので、その利払い負担がいかに巨額かが分かる[57]。
なりすましに加えてデマや誹謗中傷が急増している。前述のようにお金を払えば認証バッジをつけられるようにしたり、社員を大量に解雇したりしたことの影響が出ている。買収後、ドラァグクイーンのことを「グルーマー(性犯罪などの目的で子どもや若者を手なずける人物)」と呼びアカウントを停止させられていた格闘家のジェイク・シールズが、買収後に「これがグルーマーだ」とコメントを付けた写真を投稿。「まったく同じツイートをして1カ月前にアカウント停止された。Twitterが自由になったか試してみよう」とコメントした。この投稿は今は見えないが、アカウントは残ったままである[58]。
出所の不確かな情報を流したり、なりすましのユーザーが故意にデマを流したり、エイプリルフールなどのネタのポストを真に受けたユーザーがポスト・リポストしたりすることによって、チェーンメールと同様に誤った情報が拡散するケースがある。
XではTwitterとして運営されていた時代から攻撃的な行為を禁止しており[60]、そのような行為を繰り返すアカウントを凍結させることがある。
しかし、2023年7月には当時大雨警報が発令されていた岩手県花巻市において、同市の公式アカウントにおいて、避難情報を断続的に投稿していたが、警報発令中にも関わらず、アカウントが一時凍結され、災害情報が発信できなくなる事態が発生した。Twitter社は花巻市に対して、「プラットフォームの悪用とスパムを禁止するルールに違反したため」とコメントしているが、どの投稿がルールに違反しているかなどについては回答していない[61][62][63]。
マスクの買収以降、Twitter社の人員削減が継続的に行われており、マスクが買収する前の従業員数は7,500人とされていたが、2023年2月末にニューヨーク・タイムズの取材で2,000人を切っていることが明らかになっている[64]。この人員削減はエンジニアなども含まれており、アメリカCNBCテレビは同年1月の報道で常勤で働くエンジニアの数は550人未満と伝えている。また、マスクの買収以降、頻繁にTwitterの仕様変更が行われている影響で、2023年以降のTwitterの不具合が続出している。2023年3月に発生した不具合では外部アプリとデータ連携するためのAPIの機能の変更が障害の原因とされている。
2023年7月1日21時頃(日本時間)より全世界のユーザで「API呼び出しの回数制限を超えました」というメッセージが現出し、新規のツイートを取得できない事例が続出している。この件に関し、マスクは同月2日(日本時間)未明の自身のTwitter投稿で「極端なレベルのデータスクレイピングとシステム操作に対応するため」として、認証済みの利用者は閲覧を1日当たり6,000件、認証していない利用者300〜600件に制限したと明らかにした。その後、制限は認証利用者は10,000件、非認証利用者は500〜1,000件に緩和されているものの、継続して規制が続いており、唐突かつ不明瞭な制限に全世界のユーザからの批判を浴びている[65][66][67]。
マスクが主張する「スクレイピング増加」の背景として、マスクがAPIへのアクセスを有料化し、取得データ数を制限する方針を打ち出していることから、その結果APIを使わずに利用規約に違反してスクレイピングの増加を招いている可能性を指摘されている[68]。また、一部の技術者は異常なトラフィックの原因として、TwitterのWebアプリのバグにより、無限ループ状態でTwitterにリクエストが送信されていることを発見し、TwitterがTwitter自身に対し、1秒当たり約10件のリクエストを送っていることから「最も壮大な自己DDoSを発生させた」事が原因と指摘する意見も見られる[69]。これに加え、マスクの就任以降に行われているエンジニアを含めた大規模な人員削減の影響で、障害に対処できていない点も指摘されている[70]。さらに経営的な問題として、以前よりサービスの一部をGoogle Cloudプラットフォームに依存していたが、Googleへの支払いを停止して契約条件について交渉していたものの合意に至らず、このままでは6月30日をもってGoogleのサーバを利用できなくなる見込みとの報道も出ていた(その後、X社はGoogleへの支払いを再開したとの報道あり)[71]。
規制の予兆として、規制前となる2023年6月30日頃よりTwitterの閲覧についてログインが必須となる変更(「ログインウォール」)が加えられている。マスクの投稿によれば「データの強奪があまりに多く、サービスの質が低下した。一時的な緊急措置だ」としており、外部からのデータ取得への対策とみられていた[72][73]。
マスクはこの事態について自身のTwitterで「深いトランス状態から目を覚まして、友人や家族に会うために携帯電話から離れよう」とSNSから離れることを促す煽動的な投稿や、「さらに皮肉なことに、この投稿(制限内容の報告)は、記録的な閲覧数を達成している」と、制限中にも関わらず、多くのユーザーがツイートを見ていたことを指摘し、皮肉ともとれる投稿を行っているが、事態への謝罪や真摯な対応を行おうとしないマスクの姿勢に対し、全世界のユーザから強い反発を招いている[74]。
制限発生から3日後の同月4日にようやく、マスクに代わってX社のCEOに2023年6月に就任したリンダ・ヤッカリーノがこの制限について釈明し「Twitterのような使命がある場合、プラットフォームを強化し続けるために大きな行動が必要だ」と制限を正当化したが、見解表明が規制導入から3日も後だった理由については回答していない。また、X社によるビジネス向けリリースでは「私たちのユーザーベースの信頼性を確保すべく、プラットフォームからspamやbotを除去する必要がある。そのためには大変厳しい措置を講じる場合がある」としたうえで、事前に予告なく規制に至った事態に関しては「あらかじめ告知することで、悪質業者が行動を変え、Twitterによる検知を逃れるため」と釈明し、「この一時的な閲覧制限はプラットフォームを使用している人々のごく一部に影響を及ぼしており、作業が完了次第、最新情報を提供する予定だ。広告への影響も最小限にとどめた」と表明しているが、具体的な規制解除や解除後も再び閲覧規制を実施するかどうかなどは言及していない[75]。このようなX社、マスク、ヤッカリーノらの一連の姿勢についても、全世界から厳しい批判が集まっている[76]。
Twitterは政府、官公庁や企業がプロモーションツールや連携機能で利用しているケースが多くみられる。特に日本においては防災情報の発信にTwitterを活用している自治体も多く「Twitterは現場の状況がリアルタイムで入ってくる。閲覧制限が続くと、災害の発生自体の情報が得にくくなる」と自治体の災害状況の把握確認に影響を懸念する意見も見られる[77]。また、諸外国でもドイツ政府は広報手段としてTwitterの活用を見直す可能性を示唆している[78]。企業についても、この制限による混乱から一部のゲームパブリッシャー(ゲーム会社)ではソーシャルゲームのTwitter連携機能を段階的に終了させる動きがある[79]など、Twitterに対する官公庁や企業からのさらなる信用失墜も避けられない情勢になりつつある。ヤッカリーノは、マスクの方針に反発してTwitterから離反した企業との関係改善を模索するなど広告事業立て直しを急いでいるが、この閲覧制限による混乱が加わったことで、識者からは閲覧数制限が広告事業に「壊滅的」影響を与える可能性を指摘している[80]。
混乱を受けて、代替のSNSへの移転を模索するユーザが増加しており、SNSのMastodonの投稿はTwitterの制限による混乱が起きた週末に3倍に増加[81]し、Misskeyを使用したSNSサーバーの一つであるMisskey.ioでは2月時点で3万人だった登録者数が7月2日に20万人を突破し、新規登録者の増加から一時登録制限を行う[82]などの変動が見られた。Twitter創業者で元CEOのジャック・ドーシーが支援する分散型SNSのBlueskyもベータテスト中であるが、Twitterの制限以降、記録的なトラフィックが集中しており、新規ユーザー登録を一時的に停止する事態となっている[83]。また、FacebookやInstagramなどを運営するMetaは、当初は7月中旬にリリースを予定していた競合のSNSとなる「Threads(スレッズ)」を前倒しする形で7月6日にリリースした[注釈 1]。Twitterの混乱を受けての代替ユーザ獲得を目論んでの動きとみられている[84][85]。
MetaはThreadsがスタートした同月6日の時点で3000万人以上が新規登録したとしている。一方、X社の弁護士はMetaに対し「Threadsを開発するためにTwitterの営業秘密など知的財産を、体系的かつ意図的に、ならびに違法に不正流用している」「Threads開発のために数十人のTwitterの元社員を採用した」などと主張したうえで、「Twitterは自らの知的所有権を厳密に履行する方針で、Twitterの営業秘密や機密性の高い情報の使用を、Metaがただちに中止することを要求する」、「Twitterはすべての権利を留保する。これには、今後通告なく民事上の救済措置と差し止め命令を請求する権利も含まれる」として、Metaを提訴する構えを見せている。X社のマスク、ヤッカリーノもTwitterでMetaの姿勢を批判している[86]。
2023年7月13日以降、X Premium(旧:Twitter Blue)に加入し、所定の条件を満たしたアカウントは広告収入の一部の分配を得られるようになった(広告収益分配プログラム)[43][44]。しかし、Twitterでの収益化が可能になったことにより、リプライ欄に関係のない投稿を行う、他人のツイートをそのままコピーして投稿する(いわゆるパクツイ)、悪質なデマを含んだ投稿をする、などの問題行為を収益目的で機械的に繰り返すアカウントが急増した[46]。
こうしたアカウントは俗に「インプレゾンビ」と呼ばれ、日本においては2024年に発生した能登半島地震や羽田空港地上衝突事故に関連する虚偽の情報が拡散されるなど、大きな問題となっている[87][88]。
イーロン・マスクはChatGPTの安全性を危惧し、XはChatGPTに代わるGrokをリリースした[89]。また一部のApple製品にOSレベルでChatGPTが組み込まれることをうけてX社内でApple製品を使用禁止するとしている[90][91]。訪問者はApple製品を預けファラデーケージに入れるとしている[92]。
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