主系列星
水素を燃焼して核融合を起こす、安定した段階にある恒星 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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主系列星[1] (しゅけいれつせい、英: main sequence star[1]) とは、恒星の有効温度と明るさを示した図であるヘルツシュプルング・ラッセル図 (HR図) 上で、左上(明るく高温)から図の右下(暗く低温)に延びる線である主系列 (英: main sequence) に位置する恒星をいう[2]。矮星ともいう[3]。
星間物質が集まって形成された恒星では、高密度の核で水素からヘリウムを合成する核融合が始まり、熱エネルギーが生成される。恒星の一生におけるこの段階では、恒星はHR図上の主系列に位置することになる。主系列内での位置は主に恒星の質量で決まるが、化学組成と年齢にも依存する。主系列星の核は静水圧平衡の状態にあり、高温の核による外向きの熱的な圧力 (正確には圧力勾配力) と、外層の内向きの重力が釣り合っている。核融合によるエネルギー生成率は温度と圧力に強く依存しており、これがこの釣り合いを維持するのを助けている。核で生成されたエネルギーは表面へと伝達し、光球から放射される。主系列星内部でのエネルギーは放射もしくは対流によって伝達され、後者は温度勾配が急な領域か不透明度が高い領域、もしくはその両方が満たされている領域で発生する。
主系列は、恒星がエネルギーを生成する主要な過程の違いに基づいて上部と下部に分けられることもある。太陽質量の1.5倍 (1.5 M☉) より軽い恒星の中心部では、水素からヘリウムが合成される過程は主に陽子-陽子連鎖反応が占めている。この質量を超えると、水素からヘリウムを合成する過程の中間に炭素、窒素、酸素原子が関与するCNOサイクルが主となる。2太陽質量より重い主系列星では核で対流が発生し、生成されたヘリウムを撹拌し、水素核融合が発生するために必要な燃料を供給する働きを果たす。これよりも軽い主系列星では、核の外側には放射でエネルギーが運ばれる放射層が広がり、表面付近に対流層が発達する。恒星の質量が小さくなるにつれ、対流エンベロープを形成する恒星の割合は着実に増加する。0.4 M☉ 未満の主系列星は、内部全体が対流領域となる。核での対流が発生しない場合、水素の外層に囲まれたヘリウム豊富な核が発達することになる。
一般に、重い恒星ほど主系列に留まる時間は短くなる。つまり主系列星としての寿命が短くなる。恒星の核における核融合に使用可能な水素が枯渇した後、恒星はHR図上で主系列から離れ、超巨星や赤色巨星へ、あるいは直接白色矮星へと進化する。