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害獣(がいじゅう)とは、人間活動に害をもたらす(獣害を引き起こす)哺乳類に属する動物一般(獣=けもの)を指す言葉である。人間の多い地域では、家畜などの飼育動物以外はほとんどがこれに含まれる可能性がある。
哺乳類から受ける人間の被害には、下記のように様々なものがある。そのため、場合によっては地域のあらゆる哺乳類はその名を挙げられる可能性がある。
害獣とされる動物も一方で、イタチは糞尿の悪臭や農業被害を出してしまう反面、家屋に被害を引き起こすネズミの天敵でもあり、ネズミを駆除してくれる益獣という側面も併せ持ち[6]、イタチがやって来るとネズミによる被害は途端に止む。コウモリも糞尿で迷惑を掛ける反面、一晩で多数の虫、特に蚊やゴキブリを好んで捕食してくれるという側面があり[7]、鳥獣保護法でも益獣に指定され保護されている。他にもアイルランド以外のヨーロッパ全域に生息しているヨーロッパモグラのように、地下に穴を掘って土壌に酸素を供給したり害虫を抑制する働きが認められていながら、害獣として常に駆除の対象となってきた動物もいる[8]。
このように、生物は捕食関係などを通じて相互に生態系のバランスを取っており、全体で地域の自然環境を形成している。「害獣」と称して特定の生物の数を極端に減らしたりすれば、必ず生態系のバランスが崩れる。日本国の事例として、人間がニホンオオカミを害獣として絶滅させた結果、天敵がいなくなった山林でシカが増え続け、ついに令和3年度には森林被害の約70%を占めるに至り、被害額は毎年56億円に上る深刻な状況となっている[9]。本質的には人間が「害獣」「益獣」と単純にレッテルを貼ることができるような話ではなく、むしろ地域の様々な生物が緊密に繋がり合って構成されている生態系という大きな視点で見た場合には、地域の自然環境を形成する生物たちを人間側の都合だけで勝手に分類する極めて自己中心的な物の考え方だとする見かたもできる。
基本的に獣の側が人間の生息域に出現することで被害が顕在化することが多いが、そもそも人間側が原因である環境破壊により生息地の餌資源不足、生息地そのものを失ったことで人間の住む地域に野生動物が現れるようになったといった事実[10]や、アライグマ、マングース、チョウセンイタチ、キョン、ヌートリア等のように本来の生態系には存在しないはずの動物(外来生物)を人間が持ち込んだことが要因である場合もあり、それらの場合は鳥獣害などではなく、もはや人災であるともいえる。また、人間の側も山村の過疎により、獣を撃退する猟師不足の為に充分な対処ができずに状況が悪化することも多い。
日本では、害獣の肉を動物園の大型肉食獣の餌として与える「屠体給餌」が模索されている[11][12][13]。飼育動物にとっては環境が自然界に近くなるメリット、人間側にとっては害獣の遺体を焼却や埋没処分する倫理面、そしてハンターの心理的負担面を改善できるメリットがある[14]。
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