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天皇および皇族の身分に関する事項を記載する帳簿 ウィキペディアから
皇統譜(こうとうふ)とは、天皇および皇族の身分に関する事項を記載する帳簿。形式等は、皇室典範および皇統譜令(昭和22年政令第1号[1])に定められる。
天皇・皇后に関する事項を扱う大統譜(たいとうふ)、その他の皇族に関する事項を扱う皇族譜(こうぞくふ)の2種があり、皇室の身分関係(家族関係)、そして、皇統を公証する。
なお、皇統とは、皇位継承が代々なされてきた系統のことである。いずれの天皇・皇族(臣籍や民間から入内した后妃を除く)も、系図の上で父系(男系)を辿れば、初代天皇である神武天皇へ必ず辿り着く。
皇統譜は、皇室の身分関係(家族関係)を公証し、皇位継承の順位を定める基礎となる。1889年(明治22年)に定められた旧皇室典範には、「皇統譜…ハ図書寮ニ於テ尚藏ス」(34条)と規定されるのみで、明治初年から宮中で行われた皇室系図の取調べにおける内規によって運用された。1926年(大正15年)に至り、皇統譜令(大正15年皇室令第6号、旧皇統譜令)を定めた。第二次世界大戦の後、日本国憲法の施行にあたり、法律たる皇室典範(昭和22年法律第3号)、そして、政令たる皇統譜令(昭和22年5月3日政令第1号)が、新たに制定された。
皇統譜には、原本と副本とがあり、原本が宮内庁に、副本が法務省に、それぞれ保管されることが皇統譜令で定められている。現行の皇室典範および皇統譜令には、「皇統譜」との文言しかない。大統譜に歴代の天皇が、首部に天照皇大神に至る神代の系譜も、それぞれ記載される。また、皇族譜は、所出天皇(直接の先祖にあたる天皇)ごとに簿冊を区分して編纂される。皇統譜の全文は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づき、宮内庁に請求すれば誰でも閲覧できる。
旧皇統譜令とは 、現行の皇統譜令の制定前に施行されていた皇統譜令(大正15年皇室令第6号)である。皇室令及附属法令廃止ノ件(昭和22年皇室令第12号)によって廃止されたが、現行の皇統譜令の第1条は、「この政令に定めるものの外、皇統譜に関しては、当分の間、なお従前の例による。」との経過規定を置き、皇統譜の詳細について旧皇統譜令の定めを準用する。
旧皇統譜令と現行の皇統譜令との異同は、以下の通り。
旧皇統譜令の内、現在も準用される主な規定は、以下の通り。なお、旧令の用語のうち、現行令によって修正されたものについては、適宜修正した(例:「宮内大臣」を「宮内庁長官」、「図書頭」を「書陵部長」など。)。
古代の皇統譜として「古事記」「日本書紀」が編纂材料とした『帝紀』が存在していた。「帝紀」は「帝皇日嗣(すめろきのひつぎ」や「皇祖等之騰極次第(すめみおやたちのひつぎのついで)」とも呼ばれた(「日本書紀」持統二年十一月条)。
武田祐吉は帝紀の内容を比較研究から、以下の6項目を挙げた(「古事記研究一帝紀攷」)[2]
以上の通り、天皇および皇族の身分関係に関する事項は、皇統譜令に基づく皇統譜に記載される。よって、天皇及び皇族は、戸籍法の適用を受けない。
なお、公職選挙法附則第2項及び地方自治法附則抄第20条に「戸籍法の適用を受けない者の選挙権及び被選挙権は、当分の間、停止する。」と定められているため、天皇及び皇族の選挙権及び被選挙権は当分の間、停止されているとする見解がある。
一方、「戸籍法の適用を受けない者」とは、本島人ノ戸籍ニ関スル件(昭和8年1月20日台湾総督府令第8号)や朝鮮戸籍令(大正11年12月18日朝鮮総督府令第154号)の適用を受ける者、つまり法施行時に日本国籍を有していた台湾籍や朝鮮籍のみを対象としたのであって(内務次官指示では「土人戸口規則」(大正10年樺太庁35号)の適用を受ける樺太人(アイヌを除く樺太先住民)も対象となっている)、天皇や皇族を対象としていない、とする見解もある[3]。1992年(平成4年)4月7日、宮内庁次長の宮尾盤は、参議院内閣委員会において、天皇及び皇族の選挙権・被選挙権は、象徴的な立場にある天皇とその一家として「政治的な立場も中立でなければならない」という要請や、天皇は「国政に関する権能を有しない」(憲法4条1項)という規定の趣旨などを根拠として、有していないとされているのであり、公職選挙法の規定が根拠になるわけではない、とする旨を答弁した。なお、1946年に制定された参議院議員選挙法は附則第一条で「皇族は、当分、この法律の規定にかかわらず、選挙権を有する」と規定されており、戸籍法の適用を受けない皇族に参院選の選挙権が存在した(1950年の公職選挙法制定で同様の文言は削除された)。
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