四元数
i²=j²=k²=−1と(ij,jk,ki)=(−ji,−kj,−ik)=(k,i,j)で定義される複素数の非可換拡張 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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数学における四元数(しげんすう、英: quaternion)とは、複素数を拡張した数体系であり、虚数単位 i, j, k を用いて
- a + bi + cj + dk
× | 1 | i | j | k |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | i | j | k |
i | i | −1 | k | −j |
j | j | −k | −1 | i |
k | k | j | −i | −1 |
と表せる数のことである。ここで、a, b, c, d は実数であり、虚数単位 i, j, k は以下の関係を満たす。
四元数は純粋数学のみならず応用数学、特に3Dグラフィクスやコンピュータビジョンにおいて三次元での回転の計算(英語版)でも用いられる。これはオイラー角や回転行列あるいはそれらに代わる道具などとともに、必要に応じて利用される。
四元数についての最初の記述は、1843年にアイルランドの数学者ウィリアム・ローワン・ハミルトンによってなされ[1][2]、3次元空間の力学に応用された。
四元数の特徴は、積について非可換であることである。ハミルトンは、四元数を三次元空間内の二つの有向直線の商として定義した[3]。これは二つのベクトルの商と言っても同じである[4]。四元数をスカラーと三次元のベクトルとの和として表すこともできる。
なお、虚数単位i,j,kについても非可換であることが知られている。
現代数学の観点からは、四元数全体からなる集合は、実数体上の4次元結合的ノルム多元体であり、またそれゆえに非可換整域となる。歴史的には四元数の体系は、最初に発見された非可換多元体である[5]。四元数全体の成すこの代数は、ハミルトンに因んで H(あるいは黒板太文字で ℍ)と書かれる。またこの代数を、クリフォード代数 Cℓ0,2(R) ≅ Cℓ03,0(R) として定義することもできる。
この代数 H は解析学において特別な位置を占めている。というのも、フロベニウスの定理に従えば H は実数全体 ℝ を真の部分環として含む有限次元可除環の2種類しかないうちの一つ(もう一つは複素数全体 ℂ)だからである。
従って、単位四元数は三次元球面 S3 上の群構造を選んだものとして考えることができて、群 Spin(3) を与える。これは 2次特殊ユニタリ群 SU(2) に同型、あるいはまた SO(3)(英語版)の普遍被覆に同型である。