VXガス
有毒性の神経ガスのひとつ / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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VXガス(ヴィーエックス・ガス[2][3]、VX、O-エチル-S-(2-ジイソプロピルアミノエチル)メチルホスホノチオラート)とは猛毒の神経剤(V剤)の一種。サリンなどと同様、コリンエステラーゼ阻害剤として作用し、人類が作った化学物質の中で最も毒性の強い物質の一つといわれる。(ノビチョクはその5 − 8倍の強度)1994年のオウム真理教のテロ事件でも使われた。
VXガス | |
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Ethyl {[2-[di(propan- 2-yl) amino] ethylsulfanyl} methylphosphinate; S-[2- (diisopropylamino) ethyl]- O-ethyl methylphosphonothioate (non-IUPAC synonym) | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 50782-69-9 |
特性 | |
化学式 | C11H26NO2PS |
モル質量 | 267.37 g mol−1 |
外観 | 琥珀色をした油状の液体 |
匂い | 無臭 |
密度 | 1.00083 g/cm3 |
融点 |
-50 °C, 223 K, -58 °F |
沸点 |
298 °C, 571 K, 568 °F |
水への溶解度 | 3 |
蒸気圧 | 0.0007 mmHg (0.0933256 Pa) at 25 °C |
危険性 | |
NFPA 704 | |
引火点 | 159 °C[1] |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
琥珀色をした油状の液体で、揮発性は低く、無味無臭である。また、濃度や温度にもよるが、粘着性を持つとされ、エアロゾル(霧)を毒ガスとして使用する。水への溶解度は約3である。
1952年にイギリスで合成された。揮発性(蒸気圧)が低いため残留性が高く、そのうえ、サリンなどと異なり化学的安定性も高いので、温帯の気候においては、散布から1週間程度は効果が残留するとされる。
呼吸器からだけでなく、皮膚からも吸収されて毒性を発揮するため、ガスマスクだけでは防護できない。また、親油性が高く、水で洗浄しただけでは取り除けないため、安全な状態にするためには化学洗浄が必要である。木材や皮、布などに付着した場合には長期間毒性を維持したまま留まるため、VXガスに汚染された物に触れただけでも危険である。例としてオウム真理教が引き起こした会社員VX殺害事件では1ミリリットル程度のVX溶液で死に至った[4]。