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アオウキクサ属

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アオウキクサ属
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アオウキクサ属 (学名: Lemna) はサトイモ科ウキクサ亜科に属する水草の1である。池や水路など淡水域に分布し、多くは水面に生育する。ふつう葉状体からは1本のが伸びている (右図)。また葉状体基部側面から新たな葉状体を形成し、出芽状に増殖する (右図)。世界中に分布し、15種ほどが知られる。日本からはアオウキクサコウキクサイボウキクサヒンジモなど約9種が報告されている。

概要 アオウキクサ属, 分類 ...
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特徴

小さな水生植物であり、多くは水面に浮かんでいるが、水中に生育する種もいる (ヒンジモ)[1][4]。植物体は葉状体 (フロンド[5] frond; の区別がない) とからなる[1][4] (下図1)。葉状体表面は緑色、裏面は緑色または紫色を帯びる[4] (下図1b)。葉状体裏面が大きく膨潤している種もいる[4] (イボウキクサ; 下図1b)。葉状体には1–5脈があり、基部から掌状に伸びている[4][6]。色素細胞 (pigment cell) を欠く[4]。基本的に1個の葉状体の裏面から1本の根が生じているが (下図1)、根を欠くこともある[1][4][6][7]。根の基部は根鞘に囲まれ、根毛を欠き、先端は根嚢 (根帽) で覆われている[4][8]。葉状体基部側面から新たな葉状体を形成して出芽状に増殖する[4] (下図1c)。ふつう複数の葉状体が連結した状態でいる[1][4][6] (下図1c)。

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1a. Lemna aequinoctialis: 葉状体から1本の根が伸びている
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1b. イボウキクサ: 葉状体裏面が膨潤している
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1c. コウキクサ: 複数の葉状体がつながった群体
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2. コウキクサの全体像 (1)、をつけた葉状体 (2)、花の拡大図 (3)

葉状体基部側面につく[4] (左図2)。花は2個の雄しべと1個の雌しべからなり、1枚の葉的器官で覆われている[1][4] (2個の雄花と1個の雌花とされることもある[1][6]) (左図2)。雄しべのは4花粉嚢からなる[1][4] (左図2)。果実は1–6個の種子を含む[1][4]。種子にはふつう縦の肋がある[4][6]

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分布・生態

世界中 (南北アメリカアフリカヨーロッパ西アジア南アジア東アジア東南アジアオーストラリアなど) に広く分布している[1][6]

池沼や水路、水田など、淡水止水域または緩やかな流水域の水面に生育する (右図3a)。例外的に、ヒンジモは水中を浮遊して生育する (右図3b)。比較的きびしい冬期がある地域では、休眠芽 (越冬芽、殖芽) を形成、または種子の形で越冬する[7]

人間との関わり

ウキクサ亜科の他のと同様、アオウキクサ属の種も一般的に増殖が極めて速いため、さまざまな応用研究に用いられている。例として、有用動物の餌[9][10][11]バイオマス燃料[12]有機物分解の効率化[13]栄養塩 (窒素リン) 除去[14]、有毒物質の除去 (バイオレメディエーション)[15][16]、毒性試験[17]などがある。

系統と分類

要約
視点

アオウキクサ属にはおよそ14種が知られており[1][4] (下表)、一般的に4節に分類される[18]。属内の系統関係については、分子系統解析から下記のような仮説が示されている[19]。日本からは、アオウキクサ属のとしてアオウキクサナンゴクアオウキクサヒナウキクサチリウキクサイボウキクサコウキクサムラサキコウキクサキタグニコウキクサヒンジモが報告されている (帰化種を含む)[6][注 1]。日本からはチビウキクサ (Lemna perpusilla) も報告されているが、これはヒナウキクサの誤認ともされる[20]。いずれの種も形態が単純であり、また生育環境による変異が大きいため分類は難しく、生態的情報 (葉状体越冬の有無など) を必要とする場合もある[7]

ウキクサ亜科

ウキクサ属 (Spirodela)

ヒメウキクサ属 (Landoltia)

ミジンコウキクサ属 + Wolffiella

アオウキクサ属
Biformes 

Lemna tenera

Alatae 

チビウキクサ (Lemna perpusilla)

Lemna aequinoctialis (アオウキクサを含む)

Uninerves 

ヒナウキクサ (Lemna minuta)

チリウキクサ (Lemna valdiviana)

Lemna 

イボウキクサ (Lemna gibba)

Lemna disperma

コウキクサ (Lemna minor)

ムラサキコウキクサ (Lemna japonica)

ヒンジモ (Lemna trisulca)

キタグニコウキクサ (Lemna turionifera)

Lemna obscura

Lemna ecuadoriensis

ウキクサ亜科 (特にアオウキクサ属) の系統仮説[19]

アオウキクサ属の種までの分類体系[1][21]
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脚注

関連項目

外部リンク

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