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アストンマーティン・ヴァルキリー (ル・マン・ハイパーカー)
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アストンマーティン・ヴァルキリー (Aston Martin Valkyrie) は、アストンマーティン・レーシングとマルチマティックがル・マン・ハイパーカー (LMH)規定に基づき、FIA 世界耐久選手権(WEC)、IMSA スポーツカー選手権(IMSA)への参戦用に開発したプロトタイプ・レーシングカー。
ロードカーのサーキットバージョンであるAMR Proをベースに、ル・マン・ハイパーカー規定に沿って大幅に改造している。
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概要
要約
視点

2016年、アストンマーティンはF1のレッドブル・レーシングと提携し、エイドリアン・ニューウェイが設計に関わる高性能スポーツカー「AM-RB 001」の開発計画を発表した[1](のちに「ヴァルキリー」と命名)。また、アストンマーティンはレッドブルのスポンサーとなり、2018年にはタイトルスポンサーに就任して「アストンマーティン・レッドブル・レーシング」の名でF1に参戦した。
2019年6月、スポーツカーレースのFIA 世界耐久選手権(WEC)において2020-2021シーズンより最高峰クラスにル・マン・ハイパーカー規定が導入されることが発表されると、アストンマーティンとトヨタがワークス参戦を表明した[2](2021年はアストンマーティンのル・マン24時間レース参戦100周年にあたる[3])。トヨタはプロトタイプ(純レーシングカー)の開発を選択したが、アストンマーティンはヴァルキリーのサーキット走行専用モデル「AMR Pro」をベースに開発することを選択し、カスタマーへの供給も視野に入れているとした[4]。
2020年、ローレンス・ストロール率いるコンソーシアムがアストンマーティンを買収したことで状況は変化した。ストロールは所有するレーシング・ポイントを改称し、2021年より「アストンマーティンF1」としてF1にワークス参戦することを決定。レッドブルとのスポンサー契約を2020年一杯で終了するとともに、WECのハイパーカープログラムを再検討し、参戦を保留すると発表した[5]。
2023年10月4日、アストンマーティンは一転して計画の再始動を発表し、2025年よりWECのハイパーカークラスと北米のウェザーテック・スポーツカー選手権 (IMSA) のGTPクラスにダブルエントリーすることを表明した[6]。開発はアストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズ (AMPT) とカナダのマルチマティックが提携して行い、チーム運営はWEC / IMSAでアストンマーティンのグループGT3車両を走らせているアメリカのハート・オブ・レーシング (THOR) をパートナーに迎える。
2024年6月、「ヴァルキリー AMR-LMH」2台体制でのWEC参戦を確認[7]。7月にシルバーストンでシェイクダウンを行い[8]、その後はヨーロッパ・中東・アメリカのサーキットで約15,000 kmのテスト走行を重ねた。
2025年2月、シーズン開幕前に公式ローンチを行い、WEC参戦車はアストンマーティンのイメージである「緑」、IMSA参戦車はハート・オブ・レーシングのイメージである「青」を基調としたカラーリングを採用した[9]。なお、WECのエントリーリストでは車名から「AMR-LMH」が無くなり、単純にアストンマーティン・ヴァルキリーと登録されているが、広報担当者は「この表記の変更は、レースカーと、ベースとなるロードカーをより近づけるために行われたもの」と説明している[10]。
なお、ベースカーを設計したエイドリアン・ニューウェイは2025年3月にレッドブルからアストンマーティンへ移籍したが、2026年の新レギュレーションに向けたF1マシンの開発作業に集中しており、本プロジェクトには関わっていない。
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仕様
ル・マン・ハイパーカー (LMH) 規定の車両は、プロトタイプ(純レーシングカー)を設計するかロードカー(ハイパーカー)をベースにするか選択式であるが、2025年時点でアストンマーティンのみが後者を選択している。また、V6ターボエンジン+モーター(ハイブリッド)というパワートレインが多い中で、自然吸気V12エンジン(モーターなし)という選択も独自性がある。
コスワース製の6.5 L V12エンジンはロードカー仕様で最高回転数11,000 rpm、最高出力1,000馬力を超えるが、LMHのレギュレーションでは最高出力がトータル500 kW(680 PS)に制限される。エンジンへの負荷が軽くなる分、耐久レースに欠かせない燃費性能が開発の中心になった。モータースポーツ責任者アダム・カーターは「トルクカーブを調整し、エンジン回転数を落として摩擦損失を低減、燃費を向上させることが可能になった」と述べている[9]。
ロードカーに搭載されているハイブリッドシステムはパッケージ面や重量の問題があり、レースカーには搭載されていない[11]。ロードカーのモーターは後輪アシスト、LMH規定は前輪アシストという違いもある。
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レース活動
2025年
2024年11月、FIA 世界耐久選手権(WEC)に参戦する最初のドライバーとカーナンバーが発表され、007号車にハリー・ティンクネル、009号車にアレックス・リベラスがそれぞれエントリーされた。IMSA スポーツカー選手権においてはデイトナ24時間レースをスキップし、テストと開発を継続する[12]。2025年2月、残るドライバーラインアップが発表された。WECでは007号車にトム・ギャンブルが、009号車にマルコ・ソレンセンが加入。また、ル・マン24時間レースを含む複数のレースではロス・ガンが007号車に、ロマン・デ・アンジェリスが009号車にそれぞれ合流し、3人目のドライバーとして参戦する。IMSAにおいては、デ・アンジェリスとガンの2名がレギュラードライバーとして23号車をドライブし、セブリングにおいてはリベラスが3人目のドライバーとして参戦した[13]。
戦績
FIA 世界耐久選手権
ウェザーテック・スポーツカー選手権
ル・マン24時間レース
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脚注
関連項目
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