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アセト酢酸エチル

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アセト酢酸エチル
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アセト酢酸エチル (ethyl acetoacetate) は、エステルの一種で、アセト酢酸エタノール脱水縮合した構造を持つ有機化合物である。消防法による第4類危険物 第3石油類に該当する[2]

概要 アセト酢酸エチル, 識別情報 ...
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性質

無色で果実のような芳香を持つ液体にもかなり溶解する (2.86 g/100 mL (20 ℃))ほか、多くの有機溶媒とは任意の割合で混ざり合う。

活性メチレン

アセト酢酸エチルの2位のメチレン部位上の水素 (CH3C(=O)CH2COOC2H5) は、炭素上にあるにもかかわらず、比較的高い酸性 (pKa= 10.7 (25 ℃、水中)) を示す。それは、アセト酢酸エチルの共役塩基にあたるカルバニオンが2種類のエノラート構造と共鳴の関係にあることで、負電荷が非局在化し、安定化されているためである。

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このように 2つの電子求引基(例:カルボニル基、シアノ基など)にはさまれることでその場所のプロトンの酸性が強められている状態のメチレン基を、活性メチレン (activated methylene) と呼ぶ。同様の化合物としては、マロン酸エステル、アセチルアセトンシアノ酢酸エステルなどが挙げられる。アセト酢酸エステル合成や、マロン酸エステル合成では、このカルバニオンの安定性を C-C 結合生成のために利用している。

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合成

ジケテンとエタノールの反応によって工業的に大量生産されている。

実験室では、酢酸エチルに、金属ナトリウムあるいはナトリウムエトキシド (C2H5ONa) を加え縮合させて合成する。この反応はクライゼン縮合の一例である。

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クライゼン縮合によるアセト酢酸エチル合成

反応

アセト酢酸エチルは上記で述べたように活性メチレン部位を持ち、塩基を作用させて発生するカルバニオンが比較的安定である。そのカルバニオンを利用したアセト酢酸エステル合成 (acetoacetic ester synthesis) は、有力な C-C 結合生成反応である。活性メチレン化合物はまた、マイケル付加クロスカップリング反応における求核種としても利用される。

または希アルカリの存在で加水分解を行うと、同時に二酸化炭素が脱離してアセトンを生成するが、強アルカリを作用させると酢酸になる。

用途

各種有機化合物の原料として重要な物質であり、アンチピリンアタブリンなどの医薬の原料としても用いられる。頻度は高くないが、アンズなどの果実やウイスキーラム酒香料としても使用されることがある[3]

出典

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