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エジプト聖刻文字書式制御記号
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エジプト聖刻文字書式制御記号(エジプトせいこくもじしょしきせいぎょきごう、英語: Egyptian Hieroglyph Format Controls)は、Unicodeのブロックの一つ。
解説
要約
視点
古代エジプト文明においてエジプト語の表記に用いられたエジプト聖刻文字(エジプト・ヒエログリフ)は各文字が隙間を埋めるように書かれるため、書字方向通りに書かれないことがある。
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と書かれ、文字列𓎛𓁷𓂋𓀭(転写:ḥ-ḥr-r-<神の名であることを表す決定詞>)のうち𓁷と𓂋の部分は隙間を埋めるように縦方向に文字が並べられる。
また、同じく神の一つであるウプウアウトは
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と書かれ、文字列𓄋𓈐𓏏𓏦𓃧(転写:wp-wꜣ.t-t-<複数形>-<ウプウアウトを表す決定詞>)のうち𓈐と𓏏𓏦が縦方向に並べられ、その下で𓏏と𓏦が横並びに配置されるような複雑な配置方法が取られる。
エジプト聖刻文字がUnicodeに登録された当初はこのような文字の配置方法の情報を保持することができず、一定して左横書き(或いは右横書き[1])で表示することしかできなかったため、実際の碑文の記録を電子化する場合に正確な記録状態を反映することが困難であった[2]。
本ブロックでは、このようなエジプト聖刻文字における、文字の配置の情報をプレーンテキスト上において保持するための制御文字が収録されている。この文字を不可視の制御文字として、実際の配置情報に基づいて適切な位置に文字がレンダーされることが好ましいが、技術的問題により期待通りの配置が描画できない場合であっても、本ブロックに含まれる制御文字を文字として扱うことで、元の記録がどのようなものであったかの復元がプレーンテキスト上で(情報上及び視覚上で)可能となるため、実際の碑文の記録の情報量をより保ったまま電子処理が容易なテキスト情報として保存ができるようになった。
各制御文字は1970年代後半から1980年代前半にエジプト学にコンピューターが導入されて以来開発された、「Manuel de codage」(MdC、パリ:1988年)及び、その後のvan den Berg による改訂版(1997)に示された、ASCII文字を用いてヒエログリフの文字を区切り、空間内でのヒエログリフの配置(つまり、ブロック内でのヒエログリフの位置)を示す方法に基づいている[1]。この手法においては以下のように記号が割り当てられている。
- ハイフン(-)……ヒエログリフのブロックを区切る
- コロン(:)……あるヒエログリフを別のヒエログリフの上に重ねる。
- アスタリスク(*)……2つ以上の象形文字を横並びに並置する。通常、それらの文字グループがコロンを用いて別の象形文字または象形文字のグループの上または下に重ねられている場合に使用される。
- アンパサンド(&)……斜め方向の配置などのより複雑な重複組み合わせに用いられる。
本ブロックに含まれる各文字の仮表示用の代表グリフの一部はこの方法に準拠している。ただし、Unicodeにおいては個別文字の区切り目は自明であるためハイフンは省かれており、また、より正確な記述のためアンパサンド(&)は斜め4方向に分割され、更に正確に配置情報を記述することができようになっている。
つまり、上述のホルスとウプウアウトの名は本ブロックの制御文字を用いてそれぞれ、𓎛𓁷𓂋𓀭、𓄋𓈐𓏏𓏦𓃧と表される。
また、本ブロックに含まれる制御文字は文字列の配置以外にも、文字同士を重ねたり、空白、欠損、或いは破損して可読性が失われていることを含む、元の碑文の空間的情報の保存を担っている[3]。
Unicodeのバージョン12.0において初めて追加された。
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収録文字
要約
視点
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小分類
このブロックの小分類は「接合子」(Joiners)、「記号挿入制御文字」(Sign insertion controls)、「記号積み重ね制御文字」(Sign stacking control)、「被結合要素領域指定子」(Segment scoping delimiters)、「囲み制御文字」(Enclosure controls)、「反転制御文字」(Mirror control)、「空白及び欠損記号」(Blank and lost signs)、「破損修飾子」(Damage modifiers)の8つとなっている[3]。本ブロックでは、Unicodeのバージョン更新時の文字追加が隙間を埋める形で行われた影響で、同一の小分類に属する文字が飛び飛びの符号位置に割り当てられていることがある。
接合子(Joiners)
この小分類にはエジプト聖刻文字を縦または横方向に重ねることを表す制御文字が収録されている。
記号挿入制御文字(Sign insertion controls)
この小分類にはエジプト聖刻文字のうち、斜め方向に文字を配置することを表す制御文字が収録されている。
記号積み重ね制御文字(Sign stacking control)
この小分類にはエジプト聖刻文字のうち、文字を別の文字に重ねて表示することを表す制御文字が収録されている。
被結合要素領域指定子(Segment scoping delimiters)
この小分類にはエジプト聖刻文字のうち、複数の文字を1単位で扱う際に用いられる制御文字が収録されている。制御順序の変更などに用いる。
囲み制御文字(Enclosure controls)
この小分類にはエジプト聖刻文字のうち、カルトゥーシュやセレクなどで文字列を囲むために用いられる制御文字が収録されている。
反転制御文字(Mirror control)
この小分類にはエジプト聖刻文字のうち、文字を左右反転させることを表す制御文字1つのみが収録されている。
空白及び欠損記号(Blank and lost signs)
この小分類にはエジプト聖刻文字のうち、記録元の文献において文字が欠損していることを表す記号が収録されている。
破損修飾子(Damage modifiers)
この小分類にはエジプト聖刻文字のうち、文字が部分的に破損しており可読性が欠けていることを表す記号が収録されている。
文字コード
エジプト聖刻文字書式制御記号(Egyptian Hieroglyph Format Controls)[1] Official Unicode Consortium code chart (PDF) | ||||||||||||||||
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | A | B | C | D | E | F | |
U+1343x | | | | | | | | | | | | | | | | |
U+1344x | 𓑀 | 𓑁 | 𓑂 | 𓑃 | 𓑄 | 𓑅 | 𓑆 | 𓑇 | 𓑈 | 𓑉 | 𓑊 | 𓑋 | 𓑌 | 𓑍 | 𓑎 | 𓑏 |
U+1345x | 𓑐 | 𓑑 | 𓑒 | 𓑓 | 𓑔 | 𓑕 | ||||||||||
注釈
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履歴
要約
視点
以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。
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出典
関連項目
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