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カタシャジクモ

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カタシャジクモ
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カタシャジクモ(硬車軸藻、学名: Chara globularis)は、シャジクモ目シャジクモ属に分類される藻類の1である。種としての Chara globularis を「カタシャジクモ」とする場合[3][4]と、基変種である Chara globularis var. globularis を「カタシャジクモ」とする場合[5][6]がある。藻体は比較的大きく、主軸と小枝の先端2–3節を除いて皮層に覆われる(図1)。節の托葉冠は2列だが痕跡的。雌雄同株。湖沼で繁茂し、シャジクモ帯を形成していることがある。環境省レッドリストでは絶滅危惧II類に指定されている(2025年現在)。

概要 カタシャジクモ, 分類 ...
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特徴

比較的大型の種であり、長さ 20–100 cm になる[3](図1)。主軸の直径は 0.3–1 mm[6](図2a)。藻体は暗緑色、主軸も小枝も先端の2–3節を除いて皮層に覆われ、藻体全体に透明感がない[3](図2)。皮層細胞はしばしば石灰化し、さわると硬い感じがする(これが和名の由来[4])。主軸の皮層は三列性(1次列の間に2本の2次列がある)であり、一次列と二次列は同程度に発達する[3][6](図2a)。皮層上の棘細胞は退化的で乳頭状突起となる[3][7](図2a)。主軸の節部には、7-8本の小枝が輪生する[4][6](図2a)。小枝の皮層は複列性[6]。小枝基部には、退化的でわずかに細胞が膨らんだ程度の乳頭状の托葉冠が上下2輪にある[3][4][6][7](図2a)。小枝には8-11個の節部があり、各節の苞は痕跡的[3][6]。藻体を水から引き上げると独特な匂いがする[3]

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2a. 節部の拡大: 主軸、小枝、痕跡的な托葉細胞
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2b. 生卵器(上)と造精器(下)

雌雄同株であり、小枝の下部3段の各節部に雄器(造精器)と雌器(生卵器)がそれぞれ1個ずつ生じる (生卵器が上)[4][6](図2b)。造精器の直径は 300–450 μm、成熟すると鮮やかな赤色になる[4](図2b)。生卵器は 800–1,100 × 500–700 µm[6](図2b)。らせんは14〜16本程度見られる[6]。小苞は生卵器とほぼ同長[3][6](図2b)。卵胞子は黒色、壁は顆粒状、長径 550–750 μm、短径 400–550 μm、11–12本のらせん縁がある[6]

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生息環境と分布

南北アメリカヨーロッパアフリカアジアオーストラリアなど世界各地に広く分布しており、タイプ産地はパリ[1]。日本では北海道本州四国九州から報告されている[5]

淡水の湖沼、池、溝などの止水域に生育し、比較的よく見られる種とされる[3]。山地湖では、ヒメフラスコモとともにシャジクモ帯(水草帯よりも深部に形成されるシャジクモ類群落)を構成する主要素となる[6]。生育する湖沼のpHは5.8–8.8の弱酸性から弱アルカリ性[7]。ふつう一年生であり、繁茂期は初夏から秋であるが、深水域に生育するものは多年生[7][1]

保全状況評価

日本では1960年代以降、水質悪化、人為的な管理の減少、農薬の使用などによって減少していると考えられている[5]

環境省レッドリストでは、第4次までは絶滅危惧I類であったが、第5次では絶滅危惧II類に指定されている(2025年時点)[5]

絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト

Status jenv VU.svg
Status jenv VU.svg

2025年時点では、千葉県で最重要・重要保護生物、茨城県栃木県埼玉県神奈川県長野県愛媛県で絶滅危惧I類、秋田県広島県で準絶滅危惧、青森県で要調査野生生物、東京都(本土部)で情報不足に指定されている[5]

分類

類似種にソデマクリシャジクモ(Chara leptospora)があるが、小枝の末端の皮層を欠く部分が長く、卵胞子壁は海綿状で茶褐色から赤褐色である点でカタシャジクモとは異なる[3][8]。ただし、カタシャジクモと同種とされることもある[1]。ソデマクリシャジクモは2009年に記載され、霞ヶ浦小川原湖鷹架沼小豆島室生大池などから報告されている[3]

脚注

外部リンク

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