長野県
日本の都道府県 ウィキペディアから
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長野県(ながのけん)は、日本の中部地方に位置する県。県庁所在地は長野市。
ながのけん 長野県 | |||||
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国 | 日本 | ||||
地方 | 中部地方(甲信越地方) | ||||
団体コード | 20000-0 | ||||
ISO 3166-2:JP | JP-20 | ||||
面積 |
13,561.56km2 (境界未定部分あり) | ||||
総人口 |
1,987,638人[編集] (推計人口、2024年11月1日) | ||||
人口密度 | 147人/km2 | ||||
隣接都道府県 |
埼玉県 群馬県 新潟県 富山県 岐阜県 愛知県 静岡県 山梨県 | ||||
県の木 | 白樺 | ||||
県の花 | リンドウ | ||||
県の鳥 | 雷鳥 | ||||
他のシンボル |
県歌:信濃の国 県獣:ニホンカモシカ 長野冬季五輪開催記念日:2月7日 | ||||
長野県庁 | |||||
知事 | 阿部守一 | ||||
法人番号 | 1000020200000 | ||||
所在地 |
〒380-8570 長野県長野市大字南長野字幅下692番地2 北緯36度39分05秒 東経138度10分51秒 長野県庁 本館棟 | ||||
外部リンク | 長野県公式ホームページ | ||||
特記事項 | 県庁位置の標高:371.3 m[1] | ||||
ウィキポータル | 日本の都道府県/長野県 | ||||
ウィキプロジェクト |
令制国名の信濃国にちなみ、信州とも呼ばれている。海に面していない内陸県であり、日本アルプスを始め大規模な山岳地があるため可住地面積率は低い。
関東甲信越(広域関東圏)の一つであり、北陸新幹線(長野新幹線)や中央本線、中央自動車道などで結ばれている首都圏(特に東京)との繋がりが深い[2][3]。そのため、山梨県や静岡県とともに長野県知事は関東地方知事会に参加している。また、愛知県と隣接する県中南部は名古屋を中心とした中京圏からのアクセスも良好である[3]。
キャッチフレーズはしあわせ信州[4]。
現在の長野県の県域は、令制国の信濃国にほぼ相当する[注釈 1]。そのため現在の長野県も「信州」(しんしゅう)と呼ばれることが多く、特に観光ガイドでは「信州」と呼ぶ。古代では科野(しなの)と書いた[5]。
古くから東山道、中山道が横断し、東日本と西日本を繋ぐ交通の要所であったことから、信州へ通ずる道や旅路のことを信濃路・木曽路と呼んだ。現在でも風光明媚な古道や山間の宿場町の遺構などが各地に残存している。丘陵や山脈がそびえ立ち旅行者の通行を困難にさせたことから、旅行者の安全を守る道祖神の遺跡も多く点在する。
前述のように丘陵や山脈が多く自然条件の厳しい地域であった一方で、明治以後は鉄道などの開通により首都圏や中京圏からのアクセスが良好になったことから、近代以降は軽井沢や上高地を筆頭とした高原リゾート・山岳リゾートが多いことでも知られる。「日本三大外国人避暑地」に数えられた軽井沢と野尻湖を筆頭に、日本アルプス、菅平高原、白馬村など、在留欧米人に余暇活動の拠点として見出された歴史を持つ場所は多い。また諏訪盆地(東洋のスイス)、下栗の里(日本のチロル)、国道299号(メルヘン街道)など欧米に関連した別名を持つ地域も多数あり、長野県の山岳は他面では欧米の山岳風景を思わせ異国情緒を感じさせる地域にもなっている。
日本の都道府県のなかでトップクラスの長寿の県として知られ、2020年現在、都道府県別健康寿命では男女共に1位であった[報 1]。
長野県は本州の中部に位置しており、周囲8県に隣接し、東西約128キロメートル、南北約220キロメートルと、東西に短く南北に長い県域である。県内の南半分は太平洋側に近く、南信州地域の多くは東京よりも南であり、県の最北端は那須塩原市やいわき市とほぼ同緯度である。長野県の面積は13,562.23平方キロメートルであり、これは南関東1都3県の面積の合計に近く、日本の都道府県では、北海道、岩手県、福島県に次いで4位の面積を持っている。
本県は群馬県・埼玉県・山梨県・静岡県・愛知県・岐阜県・富山県・新潟県と8つの県と隣接し、隣接都道府県数8は、47都道府県で最多である[注釈 2]。ただし、これらの県とは陸続きでありながら、その間の交通によっては往来が必ずしも簡単ではない場合がある。例えば、埼玉県と県境が接している長さは10キロメートル程度しかなく、川上村道192号梓山線[注釈 3]のみでしか直接的な行き来ができない。また、富山県とは陸続きで接しているものの、3,000メートル級の北アルプスが立ちふさがっており、地形的に険しく、また非常に山奥であるため空路か関電トンネル電気バスでしか往来ができず、一般人は自家用車両による往来は不可能である。これ以外に車両が往来できない県境として群馬県と福島県との県境が挙げられる[注釈 4]。また、地形的な問題などで飯田市と静岡県静岡市、松本市と下諏訪町、王滝村と大桑村など陸続きでありながら往来できない市町村が多数ある。
県境を越える事が地形的に難しい理由として、長野県は中央部を高地が占める山地型の地形ではなく、むしろ北西の県境の飛騨山脈、南東の県境の赤石山脈の標高が高く、間の幾つかの盆地(伊那谷、松本盆地、佐久盆地、長野盆地など)を中心とした地域である点が挙げられる。県境付近の山々は「日本の屋根」とも呼ばれ、標高2,000メートルから3,000メートル級の高山が連なっている。ただ、長野県の中央部も平坦というわけではなく、内部にも山岳が多数見られる、急峻で複雑な地形である。これは日本列島が新期造山帯であること以外に、長野県付近が、北アメリカプレートとユーラシアプレートとのプレート境界に近い事と無関係ではない。なお、本州を縦断する糸魚川静岡構造線(糸静線)が県下を南北に走り、糸静線の東側は第三紀層が分布している。糸静線沿線の諏訪湖からは中央構造線が南に走っている。このようなこともあり、善光寺地震を始め、多数の地震を経験してきた。また、長野県内には活火山も複数存在する。
自然地理学の分野では、長野県付近は中部地方の中央高地として分類される。内陸県で本州の中では降水量の少ない地域もあるものの、本州が日本海と太平洋とに挟まれており、さらに、長野県の急峻な地形と相まって河川を維持するのに充分な降水はあり、県内には数多の水源を擁する。県内には大小多数の河川が見られ、それぞれの河川が山々を侵食した地形も多数見られる。長野県に流域を持つ一級河川としては、信濃川水系・天竜川水系・木曽川水系・姫川水系・矢作川水系・富士川水系・関川水系・利根川水系がある。なお、県内には太平洋と日本海の分水嶺が存在している。例えば、天竜川(南信、諏訪湖を水源とし伊那谷を通る)、木曽川(中信)は南下して太平洋へ注ぐ。また例えば、千曲川(東信、北信)、犀川(中信)は長野市で合流して北上し、県境を越えて信濃川と名称を変えて日本海へ注ぐ。姫川(中信)も日本海へと流れている。
なお、県下の最大人口を誇る都市は長野市の38万7146人であり[6]、最大面積の自治体は松本市の978.77平方キロメートル[7]、最大人口密度の自治体は岡谷市の620.27(人/平方キロメートル)[8]、最大昼間人口比は軽井沢町の117.8%であった[9]。
土地利用としては、長野市、須坂市および上高井郡小布施町、松本市、塩尻市の4都市計画区域で区域区分による市街化調整区域が設定されている。
盆地・谷
山地
山
峠
川
湖沼
長野県は内陸に位置するため、おおむね内陸性気候で、標高の高い地域もあるため中央高地式気候と言われる。ただし、北信地方の大半と、中信地方・東信地方の一部は日本海側気候の特色を併せ持つ。逆に、中信地方の一部と南信地方は太平洋側気候の特色を併せ持つ。また、長野県の各都市は標高が異なり、さらに山脈や盆地の形状などの影響で、気候に修飾を受けるため、気候に違いが見られる。
ただ、全体的に冬の冷え込みは日本の同緯度付近の内陸県と比べると厳しい。中でも、軽井沢、信濃町、志賀高原、菅平高原、八ヶ岳山麓、開田高原、野辺山高原、上高地などの標高が高い地域は、ケッペンの気候区分では亜寒帯湿潤気候(Df)であり、通年で北海道並みの気候である。また特に標高の高い場所では北極圏並みの寒さの地域もある。
夏は、長野市や松本市などの盆地部においては日中の気温は東京とほとんど変わらず、時には猛暑日も観測されるものの、朝晩は涼しく、熱帯夜が観測される日はほぼ皆無に等しい。
降水量も地域差が大きく、東信地方から北信地方にかけては年間900ミリメートル前後と少ないが、中信地方から南信地方にかけては年間1,500ミリメートルに達する。
降雪に関しては、北信地方、中信地方、東信地方の一部地域は、豪雪地帯または特別豪雪地帯である。県の南北で降雪条件が異なる。長野県には「上雪(かみゆき)」「下雪(しもゆき)」と言われる雪の降り方がある。「上雪(かみゆき)」は、普段ならば雨の降るはずが、南岸低気圧が通過することによって、気温が低下して雪となる現象で、低気圧に近い中・南信や東信で降雪量が多くなる[報 2]。「下雪(しもゆき)」は冬の強い季節風の吹き出しによって降る雪のことで、長野県の北部の雪の降り方で、西高東低の日本付近における冬型の気圧配置の場合に降雪し易い、いわゆる日本海型の降雪である[報 3]。なお、南信地方の伊那谷は、飯田市の旧南信濃村地域を除き雪は少ないものの、寒暖の差が激しい。
平年値 (月単位) |
北信地方 | 東信地方 | 中信地方 | |||||||||||||
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野沢温泉 | 飯山 | 信濃 | 長野 | 長野市 信州新町 | 白馬 | 上田市 菅平 | 上田 | 東御 | 軽井沢 | 佐久 | 立科 | 南牧村 野辺山 | 大町 | 安曇野市 穂高 | ||
平均 気温 (°C) |
最暖月 | 23.6 (8月) | 24.4 (8月) |
21.9 (8月) | 24.9 (8月) |
23.9 (8月) | 22.5 (8月) | 19.3 (8月) | 24.9 (8月) |
21.6 (8月) | 20.3 (8月) | 23.2 (8月) |
22.6 (8月) | 19.0 (8月) |
22.0 (8月) | 24.2 (8月) |
最寒月 | −1.4 (1月) | −2.0 (1月) |
−3.2 (1月) | −0.7 (1月) |
−1.1 (1月) | −2.9 (1月) | −6.1 (1、2月) | −0.5 (1月) |
−2.5 (1、2月) | −3.6 (1月) | −1.8 (1月) |
−2.1 (1月) | −5.2 (1、2月) |
−2.8 (1、2月) | −1.0 (1月) | |
降水量 (mm) |
最多月 | 296.7 (1月) | 188.7 (1月) |
182.2 (7月) | 137.1 (7月) |
161.0 (7月) | 295.8 (7月) | 147.1 (7月) | 144.1 (9月) |
159.5 (9月) | 185.5 (7月) | 165.5 (9月) |
170.0 (9月) | 227.6 (9月) |
187.3 (7月) | 52.5 (8月) |
最少月 | 76.7 (4月) | 62.5 (4月) |
65.8 (4月) | 38.2 (12月) |
41.5 (12月) | 112.4 (11月) | 63.8 (11月) | 17.5 (12月) |
18.8 (12月) | 20.8 (12月) | 15.4 (12月) |
19.3 (1月) | 29.5 (12月) |
58.5 (12月) | 24.8 (12月) | |
平年値 (月単位) |
中信地方 | 南信地方 | ||||||||||||||
松本 | 松本市 松本今井 | 松本市 奈川 | 塩尻 木曽平沢 | 木曽町 開田高原 | 木曽町 木曽福島 | 南木曽 | 諏訪 | 原村 | 辰野 | 伊那 | 飯島 | 飯田 | 飯田市 南信濃 | 阿智村 浪合 | ||
平均 気温 (°C) |
最暖月 | 24.3 (8月) | 20.3 (8月) | 22.3 (8月) |
19.8 (8月) | 22.6 (8月) |
23.2 (8月) | 23.5 (8月) |
21.4 (8月) | 23.2 (8月) |
23.1 (8月) | 22.9 (8月) |
24.7 (8月) | 24.2 (8月) |
20.9 (8月) | |
最寒月 | −0.6 (1月) | −3.5 (1、2月) | −2.1 (1月) |
−4.8 (1月) | −1.7 (1月) |
−0.6 (1月) | −1.5 (1月) |
−3.1 (1月) | −1.3 (1月) |
−0.8 (1月) |
0.6 (1月) | 0.9 (1月) |
−2.4 (1月) | |||
降水量 (mm) |
最多月 | 155.9 (9月) | 275.9 (9月) | 260.7 (7月) |
293.4 (9月) | 273.0 (9月) |
385.3 (7月) | 203.8 (9月) |
208.8 (7月) | 151.1 (9月) |
280.5 (9月) |
232.9 (9月) | 267.8 (9月) |
378.6 (9月) | ||
最少月 | 23.3 (12月) | 71.8 (12月) | 62.5 (12月) |
63.7 (12月) | 53.7 (12月) |
87.1 (12月) | 33.8 (12月) |
31.6 (12月) | 34.0 (12月) |
55.0 (12月) |
47.7 (12月) | 49.7 (12月) |
83.3 (12月) |
地方気象台による警報・注意報は、原則として各市町村ごとに発表される。ただし、松本市は「松本」および「乗鞍上高地」、塩尻市は「塩尻」および「楢川」に別けて発表される[10]。
長野県は、日本のほぼ中央に位置しているが、東西の分類では中部電力など一部の企業や団体で西日本に分類されることもあり、文化的[注釈 5]・歴史的・人口の比率・面積の比率からして東日本に分類されることもある。地方の分類では中部地方、甲信地方、信越地方、甲信越地方、北信越地方などがある。