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カワアイサ
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カワアイサ(学名:Mergus merganser)は、カモ目カモ科ウミアイサ属に分類される鳥である。
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形態
カモ類の中では、最も細長く見える(体高と体長の比率)種の一つ。全長はオスで概ね68cm程度。メスはオスよりかなり小さく平均値は60cm程度。オスは、頭部が緑色光沢のある黒色で、冠羽はないが後頭部がふくらんで見える。頸から脇・胸及び下面と背や小雨覆・三列風切等は白い。背の上面は黒い。メスは頭部が茶褐色で、冠羽は短い。胸から体の下面は白色で、背からの体の上面は灰褐色である。雌雄とも嘴と足は赤い。
雄の頭部は黒色で、頭上から後頭にかけて金属光沢がある[2]。
後述のように魚食性のカモであり、草食性のカモと比べて腎臓の形態などに差が出るという[3]。
類似種と識別点
雌雄ともウミアイサによく似ているが、本種の方がやや大型である。また、オスの場合は冠羽がなく胸と脇が白いことで、メスは喉の白斑がはっきりしていること等で識別される。コウライアイサは、本種よりやや小型で脇に鱗状の斑がある。
生態
植物質のものを主体に食べるマガモやカルガモと異なり、肉食性が強いカモで主に魚を捕まえて食べる。潜水も非常にうまい。
黒田(1967)の飼育個体の観察では、カワアイサも慣れれば植物質の餌も食べるようになったという[4]。
ウミアイサ、ミコアイサなどと同じく、本種も一般に夏季に日本よりも寒冷地で繁殖を行い、秋に日本などの南方に渡りを行う。このため、日本では一般に冬鳥として認識されている。日本では北海道から九州北部にかけて観察および捕獲の記録があるが、北日本の方が多い[5]。大多数は国外で繁殖を行うが、北海道では少数の繁殖が確認されている[6]。
越冬時は、和名のとおり湖沼、河川などの淡水域に生息するが、内湾や沿岸部の浅瀬にも生息している。北日本では海水域に多く生息し、西日本では淡水域に多く生息する傾向がある。あまり大きな群れは作らず、1-数羽の小群で生活する。繁殖期は、内陸の湖沼の周辺の草原や湿地に生息する。
繁殖形態は卵生。繁殖期は4-6月で、地上に枯れ草などを用いて皿状の巣を作るが、樹洞を利用することもある。抱卵、育雛は雌が行う。
鳴き声は、カルル、カルル。
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分布
全北区に分布する。ユーラシア大陸中北部と北アメリカ北部で繁殖し、冬季はヨーロッパ、中央アジア、インド東部、中国東部、朝鮮半島、北アメリカ中部などに渡り越冬する。
分類
3亜種が存在する。
- カワアイサ M. m. merganser, (英名:Goosander of Europe)
- コカワアイサ M. m. orientalis, (英名:Central Asian Common Merganser)
- オオカワアイサ M. m. americanus, (英名:American Common Merganser)
人間との関係
食用
食用にはできるようであるが、『大和本草』では味が悪く食不適としており[7]、魚谷(1936)ではキンクロハジロやクロガモ以上に味が悪く、日本産カモ類としては最も不味いと評している[8]。カワアイサの体内からは幾つかの寄生虫が発見されており、生食に近い料理は感染リスクがある[9][10]。
1970年代までは狩猟鳥獣に指定されていたが、現在の「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(平成十四年法律第八十八号、通称:鳥獣保護法)の施行規則第十条に定める狩猟鳥獣の一覧にも入っておらず[11]、日本では狩猟鳥獣ではない。違反すると同法八十三条などにより罰則がある[12]。
種の保全状況
関東以南を中心に都道府県のレッドデータブックに掲載されている府県がある。長崎県で絶滅危惧ⅠA類、茨城県、愛知県、滋賀県、京都府、奈良県、山口県で準絶滅危惧種、岩手県と福井県で県独自のランク指定、秋田県で情報不足とされている[13]。
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名称
標準和名は「カワアイサ」とされ、『日本鳥類目録』(1974)にはその名前で掲載されている[14]。
『大和本草』では「アイサ」の中の「ドウナガアイサ」として掲載され、漢字表記は万葉集に「秋紗」の文字が見えるとしている。同著では「ドウナガアイサ」と「ミコアイサ」は区別しているが、標準和名のカワアイサとウミアイサは区別していない。ただ、嘴先端の形状や頸の色などの違いで、よく似た複数種が混ざっていることは知られていたようである[7]。
地方名はウミアイサとあまり区別されないものが多い。「アイサ」「エサ」などの「アイサ」系のほか、「ドウナガ」などの形態的由来のものも知られる[15]。
種小名 meeganserは「潜水するガン」の意味、属名 Mergusも「潜水する」という意味があり[16]、魚食性でよく潜る本種の生態に基づく命名である。
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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