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キンミズヒキ
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キンミズヒキ(金水引、学名:Agrimonia pilosa var. japonica )は、バラ科キンミズヒキ属の多年草[4][5][6]。道端や山野で見られ、夏から秋に小さくて黄色い花が総状に集まって咲く。果実にはとげがあって、動物などにくっついて散布される。
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名称
「Agrimony」は、ギリシャ語で棘の多い植物の意味[7]。和名のキンミズヒキの由来は、「金水引」の意で、細長い黄色の花穂を「金色のミズヒキ(タデ科)」にたとえたものである[8][9]。なおミズヒキは、その花穂を水引にたとえたものであり[5]、バラ科のキンミズヒキとは異なる仲間の植物である[10]。地方により、ヌストグサ、サシグサとも呼ばれる[8]。
中国植物名は、黄龍尾(おうりゅうび)、龍牙草(りゅうげそう)という[7][8]。中国植物名の「龍牙草」の語源は、葉縁のギザギザした切れ込みから、竜の牙を連想したものと考えられている[9]。
分布と生育環境
日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、低山、山地の道ばたや原野、草地にふつうにみられる[8][12]。国外では、南千島、サハリン、ウスリー、朝鮮半島、中国大陸、インドシナ半島に分布する[6][13]。
種子は良く発芽し、丈夫で、容易に栽培もできる[12]。
基本種(基準変種)のシベリアキンミズヒキ(var. pilosa)は、ヨーロッパ東部からシベリア、中国大陸(北部)に分布する[6]。日本の本州の山地草原には、小型のヒメキンミズヒキがある[12]。
特徴
秋に野原や草地などを歩くと、衣服にパラシュート形の果実がつくのでよく知られた多年草[9]。
地下の根茎は肥厚する。全体に粗毛が密生しており、茎は直立して、草丈は30 - 150センチメートル (cm) になる[12][14][15]。よく分枝し、葉は等間隔に互生する[12]。葉は奇数羽状複葉で、3・5・7・9個の大小不ぞろいの小葉からなる[9][13]。小葉は菱状長楕円形から菱状倒卵形で長さ3 - 6 cm、幅2 cmほどになり、先端がとがり、葉の縁には粗い歯牙状の鋸歯がある[9][12]。葉の裏面には白色または帯黄色の腺点が多数ある。葉柄の基部にある托葉は、合着した葉のようなひれがあり[9]、ふつう半卵形で内側に曲がり、縁に粗くとがった鋸歯がある[4][5][6]。
花期は夏から秋(7 - 10月)ころ[15]、分枝した茎先に総状花序を作り、黄色く小さな5弁花が穂状に列を作って、やや密につける[9][12]。花柄が短いので穂状にみえる。1個の苞と2個の小苞がある。花床筒は倒円錐形で、萼片は5個。花の径は6 - 11ミリメートル (mm)[13]。花弁は黄色で5個あり、倒卵形から狭倒卵形で、長さ3 - 6 mm、幅1.5 - 2 mmになる。雄蕊は12本あり、花弁より短い[15]。
果実の花床筒は長さ5 - 6 mm、径4 - 5 mmで、細長い花序に果実が多数つく[16]。果実は痩果で俵形、径3 mmほどの大きさがあり、永存性の萼筒に包まれたまま成熟する[16]。萼筒の上縁に副萼片が変化したものといわれる長さ3 mmのかぎ状の刺があり、衣服や動物の毛に付着して運ばれ、種子が散布される[4][5][6][15]。
利用
花期の地上部の茎葉には、精油とタンニンを含んでおり、そのうちの主成分となるタンニンは、細胞組織を引き締める収斂作用がある[9]。また、水で煮出した水性エキスには、胆嚢の働きを助ける利胆作用があるといわれている[9]。根には、タンニンのほか、フェノール性配糖体、アグリモノリド、フィトステロール、バニル酸、タキシフォリンなどが含まれるが、根の部分はあまり利用されていない[9]。
8 - 9月ころに、花が咲きはじめたときに地上部の茎葉を刈り取って1 - 2日ほど天日干ししたあと、粗く刻んで陰干ししたものが生薬となり、竜牙草(りゅうげそう)[9][12]、または仙鶴草(せんかくそう)[8]と呼んでいる。出血、下痢止め、のどの痛み、口内炎、腫れ、あせも、ただれ、かぶれ、湿疹、倦怠疲労に効果があるとされ、竜牙草(仙鶴草)1日量15グラムを約600 ccの水で半量になるまで煎じた汁が利用される。鼻血や血便[8]、下痢などには煎じ汁を1日3回に分けて服用し、扁桃炎、のどの痛みや口内炎には、うがいに使われる方法が知られている[9][12]。また、皮膚の湿疹・かぶれには、冷ました煎じ汁で冷湿布することにより、タンニンの消炎作用を活用する方法が知られる[9]。
また、春先は山菜として食用にされており、4 - 5月ころに摘み取った若芽や若葉を軽く茹でて水にさらし、お浸しや汁の実、和え物などに調理されている[9]。
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近縁種
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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