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コンクリート破砕器

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コンクリート破砕器(コンクリートはさいき)は、建築物の基礎の撤去や宅地造成などで使用するために開発された火薬を用いた火工品であり、爆薬による発破と比較した場合に騒音、振動、飛石などが少なく安全性が高いのが特徴である。

概要 コンクリート破砕器, 産業 ...

概要

火薬をプラスチック製容器に充填した構造であり、専用の点火具で起爆させることで用いる。

実際に現場で使用するには「コンクリート破砕器作業主任者」の資格が必須であり、発破技士火薬類取扱保安責任者の資格で使用することはできない[1](ただし、発破技士火薬類取扱保安責任者等の有資格者はコンクリート破砕器作業主任者資格取得講習の科目の一部免除がなされる[2])。

概史

  • 市街地など、安全性の面で爆薬による発破が難しい場所での使用を想定して1968年(昭和43年)に開発された。
  • 1974年(昭和49年)に法令改正により火薬類(火工品)に指定された。
  • 近年は重機類の発達と普及を主な理由として、使用される機会が激減している。

今後の動向

  • 2010年(平成22年)7月、コンクリート破砕器のメーカーは新規製造を中止する旨を発表しており[3]、在庫の終了とともに使用される状況が無くなることはほぼ確実である。またコンクリート破砕器作業主任者の資格も使途が無くなり、資格取得のための講習自体も2011年(平成23年)1月13日で終了となる予定である[4]
  • なお、東京消防庁消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)では災害現場などでの障害物除去のための装備としてコンクリート破砕器を正式に採用し、使用しているが[5][6]、前述の事情から今後の動向は未定である。

原理

装薬(多くは推進薬系)は爆轟ではなく爆燃(高速燃焼)によって高温高圧ガスを発生する。孔内での閉塞条件により圧力立上りが支配され、対象物の引張強度・既存ひび割れ・鉄筋配置などの条件と相まって割裂が進展する。製品によっては筐体・キャップ・発生ガス量(cm3/g)などの仕様が提示されている。

構成

代表的な製品は、(1)装薬を封入したカートリッジ(筒)、(2)電気点火具(脚線付)または対応する点火装置、からなる。薬量別に複数サイズ(例:60 g級・180 g級等)が用意され、外径・全長・脚線長などの型式差がある。

用途

  • 鉄筋コンクリート部材・基礎・擁壁の部分的な破砕や二次破砕
  • 都市部・施設近接部での低振動・低飛散が求められる撤去作業
  • 岩盤の割裂(道路・宅地造成の小規模部位 など)

これらの用途では、一般爆薬発破の制約が大きい現場での代替・補完手段として位置づけられる。

規制・安全

日本国内
火薬類取締法に基づく貯蔵・運搬・消費の管理が必要となる。また、関連する作業の安全管理については労働安全衛生法・同規則により作業主任者制度等が設けられており、所要の技能講習を修了した者から選任される[7]。講習の実施・案内は各都道府県の火薬類保安協会等が担う[8]
国際輸送
製品性状に応じて、UN 0432(1.4S)またはUN 0323(1.4S)等の分類で輸送要件が定められる。

類似・関連技術

  • 油圧ブレーカ圧砕機:機械式の破砕機器。
  • 静的破砕剤:膨張圧で割裂させる化学薬剤(非火工品)。
  • 粉末駆動工具:推進薬カートリッジでピン等を打ち込む工具(用途・構造が異なる)。

代表的な製品例

  • CCR(Kayaku Japan)— 技術用火工品としてコンクリート構造物や岩盤の破砕用途を想定したカートリッジ群。
  • Nxburst — 岩盤・コンクリートの低振動破砕用カートリッジ。UN 0432/UN 0323 の分類事例が公表されている。

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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