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タマシギ

鳥の種類 ウィキペディアから

タマシギ
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タマシギ(珠鷸、学名:Rostratula benghalensis)とは、チドリ目タマシギ科に分類される鳥類の一種である。ちなみにタマシギ科は1属2種のみ。

概要 タマシギ, 保全状況評価 ...
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形態

体長約23-26cm[2]。メスのほうがやや大きい。オスメスとも目のまわりが勾玉のような模様(アイリング)でふちどられ、胸にきれこむような細い模様があり、腹が白い。くちばしと足は長いが首が太くて短いので、ずんぐりした体格にみえる。

鳥類の中では珍しく、メスのほうが羽色が目立つ。オスはくすんだ灰緑色に黄褐色のまだら模様がある地味な羽色で、勾玉模様と胸の模様も黄褐色だが、メスはのどが赤褐色で、勾玉模様と胸の模様があざやかな白である。

生態

日本では本州中部以南に留鳥として生息する。近年生息数は減少しているが、分布域は拡大傾向にあり、宮城県山形県で繁殖が確認されている。一部の個体は、冬季南方へ渡る。

水田や湿地、河川の岸など、淡水の水辺に生息する。非繁殖期は小さな群れを形成していることが多い。夜行性で、夜になると水辺を歩き回って餌を探す。動きはあまり活発ではなく、危険を察知するとまず身動きを抑えて地面に伏せたり、水中に目と鼻腔以外を沈めたままの体勢で敵の様子をうかがうことが多い。

食性は動物食で、水生昆虫や小型の軟体動物環形動物などを捕食する。嘴を浅瀬に入れて左右に振って獲物を探す。夕暮れや夜明け頃に活発になる。[2]

繁殖形態は卵生。オスが水辺に近い地上に枯れ草を敷いて営巣し、卵数は普通3-4卵。抱卵日数は19-21日である。オスが抱卵・育雛する。[3]

繁殖期に、メスは夜間「コウ・コウ…」と鳴く。

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タマシギの卵

タマシギは、鳥類としては少数派である一妻多夫であることでよく知られている。日本での繁殖期は4-10月で、この時期になるとメスの嘴が赤くなりオスに対して求愛ディスプレイを行うようになる。オスと番いを形成し交尾を行った後しばらくしてから、メスはオスが作った巣の中に普通4卵産む。産卵後はメスは巣を離れ、別のオスを求めてディスプレイを行う。このようにしてメスは複数のオスと番いになりながら産卵する。これはタマシギの生息地が洪水による氾濫の危険が高いため、数が多いオスに分散して子育てさせることにより確実に子孫を残すという戦略と考えられている。

残された雄は抱卵と育雛を1羽で行う。雛は早成性で、生まれるとすぐに親の後を追って歩き出す。孵化後しばらくは、親が雛に口移しで餌を与える。育雛期間は孵化後40-70日程度である。

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分布

インド洋から東南アジア一帯を中心に東は日本列島、西はサハラ砂漠以南のアフリカに広く分布する。

人間との関わり

種の保全状況

国際自然保護連合(IUCN)が定めるレッドリストでは2024年時点で低危険種(Least Concern, LC)と評価されている[1]。日本の環境省が定める環境省レッドリストでも2015年発表2020年最終改訂の第四次レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)のランクとなっている[4]。都道府県が作成するレッドリストでは47都道府県のうち、40以上の都府県で絶滅危惧種として指定されており、特に分布地東端に当たる関東地方や北陸地方では絶滅危惧Ⅰ類での指定が多い[[5]。農地改良による水田の乾田化などの影響が指摘されているが、日本は分布地の東端にあたることもあって特に厳しい判定となっていると見られる。

呼称

標準和名は「タマシギ」とされ、『日本鳥類目録』(1974)[6]、『世界鳥類和名辞典』(1986)[7]などではこの名前で掲載されている。

種小名 benghalensisは「ベンガルの」(今のインド東部からバングラデシュ周辺)という意味で、分布地に因む。属名 Rostratulaは「先端が曲がった嘴の」という意味で形態的な特徴に因む[8]

脚注

参考文献

関連項目

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