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ダンコウバイ
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ダンコウバイ(檀香梅、学名: Lindera obtusiloba)は、クスノキ科クロモジ属に分類される落葉低木から小高木の1種である。別名でウコンバナ、シロヂシャなどともよばれる。葉は広卵形でふつう先端が浅く三裂し(図1下)、秋に黄葉する。雌雄異株(雄花と雌花が別の個体につく)であり、花期は早春、葉の展開前に、芳香がある黄色い小さな花からなる花序がつく(図1上)。日本を含む東アジアに広く分布する。ときに観賞用に植栽され、また木材や精油などが利用されることがある。
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特徴
要約
視点
落葉広葉樹の低木から小高木であり、幹は叢生し、高さ2–7メートル (m)、幹の胸高直径15–20センチメートル (cm) になる[15][7][6][16][17][18](図2a)。樹皮は暗灰色から茶褐色、平滑であるが、皮目が多く少しざらつく感じになる[15][16](図2b)。新枝は最初は軟毛を密生するがのちに無毛、黄緑色から黄褐色、日当たりのよい面は赤味を帯びる[16][17][19][10]。2年枝は灰褐色で皮目が多い[17][19]。枝を折ると芳香がある[6][16]。
2a. 樹形
2b. 樹皮
頂芽はない[19][10]。冬芽は互生し、葉芽は長楕円形で鈍頭、花芽はほぼ球形で直径4–6ミリメートル (mm)[16][17]。芽鱗は赤茶色で花芽には2–3枚、葉芽には4–5枚ある[16]。落葉のころには来春の花芽が葉腋にでき、目立つ[6][19]。葉痕は半円形、維管束痕が1または3個つく[16][17]。
葉は互生し、等間隔につき、葉柄は長さ 5–30 mm[17][19]。葉身は広卵形から扁卵形、長さは5–15 cm、幅は4–13 cm、全縁、基部は切形から浅心形、先端はふつう浅く3裂し裂片は鈍頭であるが、枝の基部などにはときに切れ込みがない葉もある[15][7][20][17][19][18](図1, 3a)。葉脈は基部で3主脈に分かれる[18]。葉質はやや厚く、表面はつやのない緑色、はじめは黄褐色の軟毛があるが、のちに無毛、裏面は白色を帯び、はじめは淡褐色の長毛が密生するが、のちに脈上にのみ残る[17][19]。葉も揉むとわずかに芳香がある。秋になると葉は黄葉して鮮やかな黄色に染まり、やがて落葉する[7](図3b)。ダンコウバイの葉のように浅く3つに切れ込む葉は他にみられず、葉の形で簡単に見分けられる[21]。同属のシロモジの葉はやや似るが、先端はやや深く裂け、裂片は鋭尖頭であること、主脈の分岐点が葉身基部よりやや上である点で異なる[19][22]。カクレミノ(ウコギ科)の葉もやや似ているが、常緑樹であり、葉の表面に光沢があり、表裏面とも無毛である[21][23]。
3a. 葉
3b. 黄葉
花期は3–4月、葉の展開前に咲く[15][17][19](図1, 4a)。花には芳香があり、小型で黄色、前年枝に腋生する散形花序を形成し、花序はほぼ無柄、花柄は長さ 12–15 mm で淡褐色の毛が密生する[15][6][24][20][17][19](図1, 4a)。総苞片は薄くて幅が広い[19]。雌雄異株であり、雄株のほうが花序が大きく花数が多く、花も大きい[6][17][19]。雄花と雌花ともに花被片は6個、楕円形、雄花では長さ約 3.5 mm、雌花では約 2.5 mm、花の後に脱落する[6][20][17]。雄花は雄蕊(雄しべ)を9個もち、3個ずつ3輪、葯は内向で2室、最内輪の雄しべの花糸に1対の腺体(蜜腺)があり、中心に狭卵形で長さ 1 mm ほどの退化した雌蕊(雌しべ)がある[24][17][10]。雌花は仮雄蕊(仮雄しべ)を3個3輪もち、最内輪の花糸には1対の腺体があり、中央に雌しべが1個、長さ 3 mm、柱頭は盤状[17]。
4a. 雄花序
4b. 未熟果
果期は9–10月[15][17]。果実は液果、クスノキの実を少し大きくしたような光沢のある球形で、直径は 7–8 mm ほどあり、赤熟し、さらに黒紫色に変わる[15][16][7][6][17][19](図4b)。果柄は長さ 1.5–2 cm、先端がやや太くなる[17][19]。種子は1個、球形で基部がやや突出し、淡褐色から褐色[17]。染色体数は 2n = 24[10]。
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分布
ヒマラヤ、アッサム、ミャンマー、中国、朝鮮半島、日本に分布する[3][15]。日本では本州(新潟県、関東地方以西)、四国、九州に自生する[15][20]。山地の落葉樹林内や林縁の明るい場所に生育する[21][25][7][17]。
保全状況評価
人間との関わり
花や黄葉が美しいため、茶庭などに植栽されるが、多くはない[21][6][20][17]。いけばなの材料などにも用いられる[17]。
材には芳香があり、楊枝や細工物に使われる[15][17][27]。
種子には香りのよい油があり、朝鮮半島では高級な髪油とされ(冬柏油とよばれる[28])、中国では薬用や工業用に用いられることがある[29][27]。
名称
「檀香梅(ダンコウバイ)」の名は、もともとロウバイ(ロウバイ科)の1品種(または栽培品種)であるトウロウバイの名であったが、明治時代に博物学者である田中芳男がこの種の名前に転用した[17]。材に「檀香(ビャクダン)」のように芳香があり、花が「梅」に似ていることに由来する[7][10][30]。小野蘭山や牧野富太郎は「ウコンバナ(鬱金花)」の名を用いたが、この名は同属別種のシロモジに使われることのあり、混乱があった[10]。
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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