トップQs
タイムライン
チャット
視点

ダンコウバイ

ウィキペディアから

ダンコウバイ
Remove ads

ダンコウバイ(檀香梅、学名: Lindera obtusiloba)は、クスノキ科クロモジ属に分類される落葉低木から小高木の1種である。別名でウコンバナ、シロヂシャなどともよばれる。は広卵形でふつう先端が浅く三裂し(図1下)、秋に黄葉する。雌雄異株(雄花と雌花が別の個体につく)であり、花期は早春、葉の展開前に、芳香がある黄色い小さなからなる花序がつく(図1上)。日本を含む東アジアに広く分布する。ときに観賞用に植栽され、また木材精油などが利用されることがある。

概要 ダンコウバイ, 保全状況評価 ...
Remove ads

特徴

要約
視点

落葉広葉樹低木から小高木であり、幹は叢生し、高さ2–7メートル (m)、幹の胸高直径15–20センチメートル (cm) になる[15][7][6][16][17][18](図2a)。樹皮は暗灰色から茶褐色、平滑であるが、皮目が多く少しざらつく感じになる[15][16](図2b)。新枝は最初は軟毛を密生するがのちに無毛、黄緑色から黄褐色、日当たりのよい面は赤味を帯びる[16][17][19][10]。2年枝は灰褐色で皮目が多い[17][19]。枝を折ると芳香がある[6][16]

Thumb
2a. 樹形
Thumb
2b. 樹皮

頂芽はない[19][10]冬芽は互生し、葉芽は長楕円形で鈍頭、花芽はほぼ球形で直径4–6ミリメートル (mm)[16][17]芽鱗は赤茶色で花芽には2–3枚、葉芽には4–5枚ある[16]。落葉のころには来春の花芽が葉腋にでき、目立つ[6][19]。葉痕は半円形、維管束痕が1または3個つく[16][17]

互生し、等間隔につき、葉柄は長さ 5–30 mm[17][19]葉身は広卵形から扁卵形、長さは5–15 cm、幅は4–13 cm、全縁、基部は切形から浅心形、先端はふつう浅く3裂し裂片は鈍頭であるが、枝の基部などにはときに切れ込みがない葉もある[15][7][20][17][19][18](図1, 3a)。葉脈は基部で3主脈に分かれる[18]。葉質はやや厚く、表面はつやのない緑色、はじめは黄褐色の軟毛があるが、のちに無毛、裏面は白色を帯び、はじめは淡褐色の長毛が密生するが、のちに脈上にのみ残る[17][19]。葉も揉むとわずかに芳香がある。秋になると葉は黄葉して鮮やかな黄色に染まり、やがて落葉する[7](図3b)。ダンコウバイの葉のように浅く3つに切れ込む葉は他にみられず、葉の形で簡単に見分けられる[21]。同属のシロモジの葉はやや似るが、先端はやや深く裂け、裂片は鋭尖頭であること、主脈の分岐点が葉身基部よりやや上である点で異なる[19][22]カクレミノウコギ科)の葉もやや似ているが、常緑樹であり、葉の表面に光沢があり、表裏面とも無毛である[21][23]

Thumb
3a. 葉
Thumb
3b. 黄葉

花期は3–4月、葉の展開前に咲く[15][17][19](図1, 4a)。花には芳香があり、小型で黄色、前年枝に腋生する散形花序を形成し、花序はほぼ無柄、花柄は長さ 12–15 mm で淡褐色の毛が密生する[15][6][24][20][17][19](図1, 4a)。総苞片は薄くて幅が広い[19]雌雄異株であり、雄株のほうが花序が大きく花数が多く、花も大きい[6][17][19]。雄花と雌花ともに花被片は6個、楕円形、雄花では長さ約 3.5 mm、雌花では約 2.5 mm、花の後に脱落する[6][20][17]。雄花は雄蕊(雄しべ)を9個もち、3個ずつ3輪、は内向で2室、最内輪の雄しべの花糸に1対の腺体(蜜腺)があり、中心に狭卵形で長さ 1 mm ほどの退化した雌蕊(雌しべ)がある[24][17][10]。雌花は仮雄蕊(仮雄しべ)を3個3輪もち、最内輪の花糸には1対の腺体があり、中央に雌しべが1個、長さ 3 mm、柱頭は盤状[17]

Thumb
4a. 雄花序
Thumb
4b. 未熟果

果期は9–10月[15][17]。果実は液果クスノキの実を少し大きくしたような光沢のある球形で、直径は 7–8 mm ほどあり、赤熟し、さらに黒紫色に変わる[15][16][7][6][17][19](図4b)。果柄は長さ 1.5–2 cm、先端がやや太くなる[17][19]種子は1個、球形で基部がやや突出し、淡褐色から褐色[17]染色体数は 2n = 24[10]

Remove ads

分布

ヒマラヤ、アッサムミャンマー中国朝鮮半島日本に分布する[3][15]。日本では本州新潟県関東地方以西)、四国九州に自生する[15][20]山地落葉樹林内や林縁の明るい場所に生育する[21][25][7][17]

保全状況評価

日本では以下の都道府県において、レッドリストの指定を受けている[26]

人間との関わり

や黄葉が美しいため、茶庭などに植栽されるが、多くはない[21][6][20][17]。いけばなの材料などにも用いられる[17]

には芳香があり、楊枝や細工物に使われる[15][17][27]

種子には香りのよい油があり、朝鮮半島では高級な髪油とされ(冬柏油とよばれる[28])、中国では薬用や工業用に用いられることがある[29][27]

名称

「檀香梅(ダンコウバイ)」の名は、もともとロウバイロウバイ科)の1品種(または栽培品種)であるトウロウバイの名であったが、明治時代に博物学者である田中芳男がこのの名前に転用した[17]に「檀香(ビャクダン)」のように芳香があり、が「」に似ていることに由来する[7][10][30]小野蘭山牧野富太郎は「ウコンバナ(鬱金花)」の名を用いたが、この名は同属別種のシロモジに使われることのあり、混乱があった[10]

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.

Remove ads