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ブチハイエナ

食肉目ハイエナ科の動物 ウィキペディアから

ブチハイエナ
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ブチハイエナ(斑鬣犬[4]学名: Crocuta crocuta)は、哺乳綱食肉目ハイエナ科ブチハイエナ属に分類される食肉類。現生種では本種のみでブチハイエナ属を構成する[5]

概要 ブチハイエナ, 保全状況評価 ...
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分布

アフリカ大陸(サハラ砂漠、コンゴ盆地、アフリカ大陸最南部を除く)[6][7]

更新世後期にはユーラシア大陸にも分布していた[7]

形態

体長95-165センチメートル[7]。尾長25-36センチメートル[7]。体高70-90センチメートル[6][7]体重40-86キログラムとハイエナ科最大種[7]。オスよりもメスの方が大型になる[6][7]。全身は短い体毛で粗く被われる[7]。尾の先端には房状の体毛が伸長する[7]。毛衣は黄褐色で、濃褐色や黒の不規則な斑紋が入る[6][7]

小臼歯は頑丈で、顎の力が強いことも相まって獲物の骨も噛み砕くことができる[6]

乳頭の数は2(まれに4)[7]

ハイエナというと腐肉を漁ったり、他の動物の獲物を横取りしたりするイメージが強いが、ブチハイエナは俊足と並外れた体力を併せ持つ優秀なハンターで、その食べ物の6割以上は自分たちで捕らえた獲物である[8]

生態

要約
視点
ブチハイエナとセグロジャッカルの餌の取り合い(カラハリ・トランスフロンティア公園)

草原などに生息する[6]夜行性[7]。単独かペアで生活する個体群(セレンゲティ、トランスバール)もあれば、何十頭からなる群れ(クラン)を形成し複数のクランを渡り歩いたり新しくクランを作ったりする個体群(ンゴロンゴロ)もいる[6][7]。他個体と遭遇すると頭部と尾が互い違いになるように並び片足を上げて、性器の臭いをかいだり舐めたりする[6][7]。よく鳴き声をあげ、12種類の鳴き声を使い分けていると考えられている[7]。英名のlaughingは「笑い」の意で、その鳴き声のうち1つが笑い声のように聞こえることに由来する[6][7]

食性は動物食で、主に体重20キログラム以上の哺乳類を食べるが鳥類爬虫類魚類昆虫、動物の死骸なども食べる[6][7]。主に狩りを行って獲物を食べるが[7]、他の動物が倒した獲物も奪う[6]。倒した獲物の一部を後で食べたり、水中や泥中に貯蔵するために運搬することもある[6]

繁殖形態は胎生。妊娠期間は約110日[6][7]。1回に1-4頭の幼獣を産む。同じクランのメスが同じ巣穴で子育てを行う[6][7]。巣穴の中にはオスの成獣も含む捕食者を避けるために、細い通路がある[6][7]。授乳期間は最高18か月[6]。野生下の寿命は33年だが、飼育下では40年以上生きた個体もいる[6][7]

12種類の鳴き声

さらに見る 名称, 説明 ...

人間との関係

学名のcrocutaはギリシア語のkrokúttas・krokottasをラテン語化したものであり、キンイロジャッカルのメスを指すサンスクリット語に由来する[2]。古くは肉食性のハイエナ類はジャッカル類と混同されていた[2]

アフリカの神話では、ブチハイエナと他のハイエナ科の動物を分けて考えているかどうか不明であるが、一般にブチハイエナは野蛮で危険な動物と考えられている。しかし、一方で、強靭な体力などから、神聖視されることもあるなど、多面性を持って語られる。

西アフリカ、特にイスラム教の影響の強い地域では、ブチハイエナは不道徳の象徴として描かれ、イスラム教を冒涜する動物と考えられている。一方で、東アフリカの部族の中には、太陽を生み出した動物としてブチハイエナが登場する神話を持つものがいる。

エチオピア世界遺産の町でもあるハラールではハイエナへの餌付けの伝統が観光事業にもなっており、ハイエナに餌付けをする通称「ハイエナ・マン英語版」がいる。

ブチハイエナは、毛皮が美しくないため、一般的なスポーツハンティングの獲物としては人気がない。しかし、マラウイタンザニアでは、生殖器、鼻、尾が、伝統的な薬として用いられるため、需要がある。そのため、狩猟の対象となっている。

ブチハイエナは、その印象や外見などから、動物園では不人気であり、結果として飼育している動物園は少なく、また展示している動物園でも高価な設備はイヌ科の動物に優先して与えられ、ブチハイエナは比較的、劣悪な環境下で育てられることが少なくない。繁殖に熱心な動物園も少なく、そのために動物園のブチハイエナは、継続して子孫を得ることが難しい状態にある。

19世紀、ブチハイエナはサーカスの見世物としてヨーロッパで飼われるようになった。アルフレート・ブレームは、著書の中で「ブチハイエナはシマハイエナより飼育が難しい」と記している。ブチハイエナは、時に凶暴になり、暴れることがある。

なお、日本ではブチハイエナを含むハイエナ科全般が、特定動物に指定されている。2020年の法改正により、愛玩動物としての飼育が禁止された。[9]

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両性具有の神話

雌の個体は陰核陰茎状に肥大している。尿道が陰核を貫通して合流しており、排尿や交尾時の、出産時の産道を兼ねる。勃起も可能。さらに陰唇が癒着しており、陰嚢状となった袋をもつ(内部には脂肪の塊が入っている)。このため雄の外性器と区別しづらい。

発達した肛門腺が女性器と見間違えられ、永らく両性具有と信じられてきた。古代ローマの博物学者プリニウス博物誌にて、ハイエナは交尾をしなくても出産できると記した。

胎内において高いアンドロゲン濃度が維持されるために起こる現象とわかっている。

こうした形状が出産を困難にし、正常な出生率は極めて低い。第一子の60%は死産、もしくはまもなく死亡し、母親も20%の確率で命を落とす。

画像

関連項目

参考文献

外部リンク

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