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マルバトウキ

セリ科の亜種 ウィキペディアから

マルバトウキ
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マルバトウキ(丸葉当帰、学名: Ligusticum scothicum subsp. hultenii)は、セリ科マルバトウキ属多年草。海岸に生育する[6][7][8]。別名、ハマトウキ[1]

概要 マルバトウキ, 分類(APG IV) ...
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特徴

ゴボウ状に太い直根になる。は直立し、上部でまばらに分枝して、高さは30-100cmになる。茎は円く、中空で植物体全体に毛はない。は2回3出複葉で小葉は9個、小葉は卵形から円形で、長さ4-9cm、幅2-9cm、先は鋭頭または鈍頭になり、基部は広いくさび形、縁に鋸歯があり、葉質は厚く表面に光沢がある。葉柄は長さ3-25cmになり、紫色をおび、茎の上部のものは短い。側小葉の葉柄はほとんどない[6][7][8][9]

花期は7-9月。枝先に径3-8cmになる複散形花序をつけ、白色のを多数密につける。歯片は5個で長さ0.5mmになるが不明瞭。花弁は5個で内側に曲がる。複散形花序の下の総苞片は数個あり、線形で、花柄は15-20個あり、長さ1-2cm。小花序の下の小総苞片は数個あり、線形で、小花柄は15-20個あり、長さ約3mmになる。雄蕊は5個あり、花柱は2個ある。果実は褐色に熟し、つやがあり、長さ8-11mmの長楕円形、2個の分果からなり、分果に5個の背隆条があり、脈状または翼状になる[6][7][8][9]。油管は多数あり、分果の表面側の各背溝下に2-3個、分果が接しあう合生面に6個ある[8]

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分布と生育環境

日本では、本州北部と北海道に分布し、海岸に生育する[6][7][8]。世界では、朝鮮半島樺太千島列島カムチャツカ半島、ウスリー、オホーツク海沿岸、アラスカに分布する[7]

名前の由来

和名マルバトウキは、「丸葉当帰」の意で、葉が円みをおびるセリ科植物で[7]、漢名の「zh:当帰」をあてたが、当帰(トウキ)はシシウド属に属するため系統的には無関係である[6]

種小名(種形容語)scothicum は、「スコットランドの」の意味[10]。亜種名 hultenii は、亜種の命名者であるスウェーデンの植物学者エリク・フルテンへの献名の形になるが、これは、Ligusticum hultenii Fernald (1930)[4]と種小名が自分に献名されていたを、エリク・フルテン自身が種から亜種 Ligusticum scothicum L. subsp. hultenii (Fernald) Hultén (1958) [1]へと階級移動させた結果である。

利用

アイヌ人は食用とし、若い茎を生食したり、茎を刻んでご飯に炊き込んだ。または冬季の保存用食用として乾燥保存した[11]アリューシャン列島でも食用とされる[9]

また、葉を半日ほど蔭干したものを2-3月ほど3-4倍に希釈したホワイトリカーに漬けて、黄緑色のリキュールをつくることができる。漬けた葉は40-50日ほどで容器から取り上げる[11]

ギャラリー

マルバトウキ属

マルバトウキ属(マルバトウキぞく、学名:Ligusticum L.)は、セリ科で、北半球に分布し、約60種あり、日本にはマルバトウキのみ1種が分布する。多年草で、葉は3出複葉または3出羽状複葉になる。花は複散形花序をなし、その基部に総苞片が、小花序の基部に小総苞片がある。ふつう萼歯片はなく、花弁は5個で白色。雄蕊は5個、花柱は2個あり、花柱の基部に隆起する柱下体は平たい円錐形になる。果実は分果の側面、ときに背面から圧扁を受け、油管は平たく途中で消える種がある。成熟した果実は、種子と果皮が分離する[6]。属名、Ligusticum は、ラテン語で古代イタリアの Liguria 地方(リグーリア州)の形容語 Ligusticos に由来する。Liguria 地方では栽培品の薬用のセリ科植物が多かったという[9][12]

山崎敬 (2001) は、セリ科シラネニンジン属 Tilingia Regel について、「果実の稜の張り出す程度の違いで,マルバトウキ属 Ligusticum から区別されているが,大きな差異は見いだせないので,中国での処置と同様にマルバトウキ属として扱った」として、本属に含める見解を採る[13]

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脚注

参考文献

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