| コード | 文字 | 文字名(英語) | 用例・説明 | ラテン文字転写 | 
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| サーマ・ヴェーダ用の声調記号 |  | 
| U+1CD0 | ᳐ | VEDIC TONE KARSHANA | リグ・ヴェーダを朗唱するための楽譜であるサーマガーナ(英語版)においてテキスト内の行の数字 (二次音調を示す) の上付き文字として使用され、数字によって示される音調の継続的な進行またはスライド (karṣaṇa) を表す[3][4]。 或いは、音節の上付き文字として使用して、屈曲または沈下 (namana) を示す[3]。 主要な第 2 音調から二次的な第 3 音調 (praṇata) への下降を含む音楽の動機を表すこともある[5]。 |  | 
| U+1CD1 | ᳑ | VEDIC TONE SHARA | リグ・ヴェーダを朗唱するための楽譜であるサーマ・ガーナ(英語版)において、特定の部分を飛ばして読むことを意味するアティクラマ(atikrama)を表すために使用され、通常は第七音(kruṣṭa)[6]から第二音(dvitīya)[7]までスキップすることを表す[3]。 |  | 
| U+1CD2 | ᳒ | VEDIC TONE PRENKHA | ビブラートをつけて読むことを表す[3][8]。 |  | 
| サーマ・ヴェーダ用の気息記号 |  | 
| U+1CD3 | ᳓ | VEDIC SIGN NIHSHVASA | 一時停止が許可されないセクションを区切るための記号[8]。 呼吸を都合よく行える場所を演奏者に示すために使用される[3]。 |  | 
| ヤジュル・ヴェーダ用の記号 |  | 
| U+1CD4 | ᳔ | VEDIC SIGN YAJURVEDIC MIDLINE SVARITA | 主にマイトラヤーニー・サンヒター(Maitrayāṇī-Saṁhitā)とヴァジャサネーイ・マディヤンディナ・サンヒター(Vajasaneyi Madhyandina-Saṁhitā)のいくつかの写本で使用されている[8]。 スヴァリタ(下降声調)を表す。 |  | 
| U+1CD5 | ᳕ | VEDIC TONE YAJURVEDIC AGGRAVATED INDEPENDENT SVARITA | シュクラ・ヤジュル・ヴェーダ・マーデャンディナ・サンヒター(Śuklayajurveda Mādhyandina-Saṁhitā)及び、アタルヴァ・ヴェーダ・ パイッパラーダ・サンヒター(Atharvaveda Paippalāda-Saṁhitā)において、アヌーダッタ(低声調)に続く激化(aggravated)していない独立したスヴァリタ(下降声調)を表す[3]。 |  | 
| U+1CD6 | ᳖ | VEDIC TONE YAJURVEDIC INDEPENDENT SVARITA | クリシュナ・ヤジュル・ヴェーダ・カータカ・サンヒター(Kr̥ṣṇayajurveda Kāṭhaka-Saṁhitā)において激化していない独立したスヴァリタ(下降声調)を表す[3]。 |  | 
| U+1CD7 | ᳗ | VEDIC TONE YAJURVEDIC KATHAKA INDEPENDENT SVARITA | シュクラ・ヤジュル・ヴェーダ・マーデャンディナ・サンヒター(Śuklayajurveda Mādhyandina-Saṁhitā)及び、クリシュナ・ヤジュル・ヴェーダ・カータカ・サンヒター(Kr̥ṣṇayajurveda Kāṭhaka-Saṁhitā)において激化した独立したスヴァリタ(下降声調)を表す[3]。 |  | 
| U+1CD8 | ᳘ | VEDIC TONE CANDRA BELOW | クリシュナ・ヤジュル・ヴェーダ・カータカ・サンヒター(Kr̥ṣṇayajurveda Kāṭhaka-Saṁhitā)においては激化していない独立したスヴァリタ(下降声調)を、クリシュナ・ヤジュル・ヴェーダ・マイトラヤーニー・サンヒター(Kr̥ṣṇayajurveda Maitrayāṇī-Saṁhitā)においては激化していない独立したスヴァリタ(下降声調)の後にアヌーダッタ(低声調)またはekaśruti(エカシュルティ、中平調)が続くことを表す[3]。 また、シャタパタ・ブラーフマナ(Śatapathabrāhmaṇa)では低い表面音(low surface tone)を表す際にU+0952 ॒ DEVANAGARI STRESS SIGN ANUDATTAの代わりに用いられる[3]。 |  | 
| U+1CD9 | ᳙ | VEDIC TONE YAJURVEDIC KATHAKA INDEPENDENT SVARITA SCHROEDER | Schröderによる版のクリシュナ・ヤジュル・ヴェーダ・カータカ・サンヒター(Kr̥ṣṇayajurveda Kāṭhaka-Saṁhitā)において激化していない独立したスヴァリタ(下降声調)を表す。 |  | 
| U+1CDA | ᳚ | VEDIC TONE DOUBLE SVARITA | 長い(dīrgha)スヴァリタ(下降声調)を表す[3]。 |  | 
| U+1CDB | ᳛ | VEDIC TONE TRIPLE SVARITA | 従属スヴァリタ(下降声調)及びそれに続くアヌーダッタ(低声調)を表す[3]。 |  | 
| U+1CDC | ᳜ | VEDIC TONE KATHAKA ANUDATTA | ヤジュル・ヴェーダ・カータカ・サンヒター(Yajurveda Kāṭhaka-Saṁhitā)とアタルヴァ・ヴェーダ・ パイッパラーダ・サンヒター(Atharvaveda Paippalāda-Saṁhitā)においてアヌーダッタ(低声調)を表す[3]。 |  | 
| U+1CDD | ᳝ | VEDIC TONE DOT BELOW | ヤジュル・ヴェーダ・カータカ・サンヒター(Yajurveda Kāṭhaka-Saṁhitā)とアタルヴァ・ヴェーダ・ パイッパラーダ・サンヒター(Atharvaveda Paippalāda-Saṁhitā)における従属スヴァリタを示すために使用され、またパイッパラーダ・サンヒターにおいては独立スヴァリタの後の最初のエカシュルティ(中平調)を示すためにも使用される[3]。 |  | 
| シャタパタ・ブラーフマナ用の声調記号 |  | 
| U+1CDE | ᳞ | VEDIC TONE TWO DOTS BELOW | 休止前のウダーッタ(高声調)に対応する表面的な低音、つまり休止の直前に発生するもの、または休止の前に1つの音節が介在し、休止の後にウダーッタ(高声調)または独立したスヴァリタ(下降声調)が続くもの、シャタパタ・ブラーフマナでは休止前のアヌーダッタ(低声調)、休止後の独立したスヴァリタ(下降声調)に対応する表面的な低音を示すために使用される[3]。 |  | 
| U+1CDF | ᳟ | VEDIC TONE THREE DOTS BELOW | 休止前のウダーッタ(高声調)に対応する表面的な低音、つまり、休止の直前に発生するもの、休止の前に1音節で介在するもの、またはWeber版のシャタパタ・ブラーフマナでは休止の後にウダーッタ(高声調)が続くものを示すために使用される[3]。 |  | 
| リグ・ヴェーダ用の声調記号 |  | 
| U+1CE0 | ᳠ | VEDIC TONE RIGVEDIC KASHMIRI INDEPENDENT SVARITA | リグ・ヴェーダの文献の一つである、R̥gveda Vāṣkala-Saṁhitāにおいてスヴァリタ(下降声調)を表す[3]。 |  | 
| アタルヴァ・ヴェーダ用の声調記号 |  | 
| U+1CE1 | ᳡ | VEDIC TONE ATHARVAVEDIC INDEPENDENT SVARITA | アタルヴァ・ヴェーダ・ シャウナキーヤ・サンヒター(Atharvaveda Śaunakīya-Saṁhitā)において激化していない独立したスヴァリタ(下降声調)を表す[3]。 |  | 
| ヴィサルガ用のダイアクリティカルマーク |  | 
| U+1CE2 | ᳢ | VEDIC SIGN VISARGA SVARITA | スヴァリタ(下降声調)を持つヴィサルガ([h]を末尾に伴う音節)を表す[3]。 |  | 
| U+1CE3 | ᳣ | VEDIC SIGN VISARGA UDATTA | ウダーッタ(高声調)を持つヴィサルガを表す[3]。 |  | 
| U+1CE4 | ᳤ | VEDIC SIGN REVERSED VISARGA UDATTA |  |  | 
| U+1CE5 | ᳥ | VEDIC SIGN VISARGA ANUDATTA | アヌーダッタ(低声調)を持つヴィサルガ表す[3]。 |  | 
| U+1CE6 | ᳦ | VEDIC SIGN REVERSED VISARGA ANUDATTA |  |  | 
| U+1CE7 | ᳧ | VEDIC SIGN VISARGA UDATTA WITH TAIL |  |  | 
| U+1CE8 | ᳨ | VEDIC SIGN VISARGA ANUDATTA WITH TAIL |  |  | 
| 鼻音化記号 |  | 
| U+1CE9 | ᳩ | VEDIC SIGN ANUSVARA ANTARGOMUKHA | 上にビンドゥ(デーヴァナーガリーにおけるU+0902 ं DEVANAGARI SIGN ANUSVARA)を追加して、長母音の後の短い アヌスヴァーラ(鼻音、日本語における「ん」)を表すために使用される[3]。 |  | 
| U+1CEA | ᳪ | VEDIC SIGN ANUSVARA BAHIRGOMUKHA | 上にビンドゥまたはチャンドラビンドゥ(デーヴァナーガリーにおけるU+0901 ँ DEVANAGARI SIGN CANDRABINDU)を加えて、アヌスヴァーラまたは鼻音化を表すために使用される[3]。 |  | 
| U+1CEB | ᳫ | VEDIC SIGN ANUSVARA VAMAGOMUKHA |  |  | 
| U+1CEC | ᳬ | VEDIC SIGN ANUSVARA VAMAGOMUKHA WITH TAIL | 上にビンドゥまたはチャンドラビンドゥ(デーヴァナーガリーにおけるU+0901 ँ DEVANAGARI SIGN CANDRABINDU)を加えて、アヌスヴァーラまたは鼻音化を表すために使用される[3]。 |  | 
| U+1CED | ᳭ | VEDIC SIGN TIRYAK |  |  | 
| U+1CEE | ᳮ | VEDIC SIGN HEXIFORM LONG ANUSVARA |  |  | 
| U+1CEF | ᳯ | VEDIC SIGN LONG ANUSVARA | 短母音の後の長いアヌスヴァーラを表すために使用される[3]。 |  | 
| U+1CF0 | ᳰ | VEDIC SIGN RTHANG LONG ANUSVARA |  |  | 
| U+1CF1 | ᳱ | VEDIC SIGN ANUSVARA UBHAYATO MUKHA |  |  | 
| アルダヴィサルガ |  | 
| U+1CF2 | ᳲ | VEDIC SIGN ARDHAVISARGA | サンスクリット語でジフヴァムリヤ音(jihvamuliya)(軟口蓋摩擦音、IPA:[x])とウパドマニヤ音(upadhmaniya)(両唇摩擦音、IPA:[ɸ])を指す。その使用はヴェーダに限定されない[8]。 後に軟口蓋音が続く場合は[x]、両唇音が続く場合は[ɸ]で読まれる[9]。 U+1CF3 ᳳ VEDIC SIGN ROTATED ARDHAVISARGAは両者を区別する際にどちらか一方を表すために用いられるが、文献によってどちらがどちらを表すかは異なる。 なお、小分類名アルダヴィサルガの「アルダ」とはサンスクリット語で「半分の」を意味する単語である。 | ḫ[9] | 
| U+1CF3 | ᳳ | VEDIC SIGN ROTATED ARDHAVISARGA | ẖ[9] | 
| ヤジュル・ヴェーダ用の記号 |  | 
| U+1CF4 | ᳴ | VEDIC TONE CANDRA ABOVE | グランタ文字及びデーヴァナーガリーで書かれたヤジュル・ヴェーダで用いられ、スヴァリタ(下降声調)を表す[5]。 |  | 
| 記号 |  | 
| U+1CF5 | ᳵ | VEDIC SIGN JIHVAMULIYA | 無声軟口蓋破裂音(IPA:[k])の前にのみ発生する軟口蓋摩擦音(IPA:[x])を表す[8][10]。 |  | 
| U+1CF6 | ᳶ | VEDIC SIGN UPADHMANIYA | 無声両唇破裂音(IPA:[p])の前でのみ発生する両唇摩擦音(IPA:[ɸ])を示す[8][10]。 |  | 
| U+1CF7 | ᳷ | VEDIC SIGN ATIKRAMA | スヴァラ(英語版)(音節)を無視することを表す[8]。 サーマ・ヴェーダのうちカウトゥマ(Kauthuma)派の文献に用いられ、サマ・ガーナ(Sāma Gāna)のスヴァラのスキップ、特に第 3 から第 5 への直系の第 4 のスキップを表す[11]。 |  | 
| ジャイミニーヤ・サーマ・ヴェーダ用の記号 |  | 
| U+1CF8 | ᳸ | VEDIC TONE RING ABOVE | バラモン教の聖典の一つであるサーマ・ヴェーダのうち、主にタミル・ナードゥ州やケーララ州で主流となっている[12]ジャイミニーヤ(Jaiminīya)派と呼ばれる流派の一つにおいて用いられる記号。 正確な用途が分かっていないため、機能ではなく字形に基づいた文字名が付けられている[12]。 |  | 
| U+1CF9 | ᳹ | VEDIC TONE DOUBLE RING ABOVE |  | 
| 鼻音化記号 |  | 
| U+1CFA | ᳺ | VEDIC SIGN DOUBLE ANUSVARA ANTARGOMUKHA | 結合する鼻音化記号の基字として使用される[8]。 ナンディーナーガリー文字(英語版)の文献で用いられ、"𑧎ᳺ𑧞"(ham)という音節で使用される[1]。 |  |