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葉身

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葉身
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葉身(ようしん、lamina, blade)は被子植物が持ち、普通扁平な光合成を行う主要な部分である[1][2]。葉の構成部分は基部から順に、托葉葉柄、葉身の3部に大別され[3][4]、最も遠位にある要素である。葉身の内部構造は葉脈葉肉表皮からなる[2][5]。かつては葉片という訳語もあった[6]

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Piper excelsum の葉。葉身は心臓形をしている。

托葉が発達し、葉身を欠く葉もあり、偽葉(または仮葉)と呼ばれる[7][8]。また、単子葉類が持つ有鞘葉のなかで葉身が発達せず、葉鞘だけの葉を鞘葉と呼ぶ[9]

概形や裂片、鋸歯など、葉身の形質は分類形質となりうる。そのため、これを様々に記述する用語が用いられる。なお、裂片の形状および鋸歯や葉縁の形状に関しては「葉縁」を、内部の構造に関しては「葉#内部形態」参照。

葉身の概形

要約
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以下に示す名称は、単独で用いたり組み合わせて用いたりして葉の概形を示すのに用いられる[10]

左右相称平面図形

Systematics Association Committee for descriptive Biological Terminology (1962a) によって、生物学における左右相称平面図形[11]simple symmetrical plane shapes, SADT)を記述するための基準が定められた[12][13]。これは95種類の平面図形の形状を9種類のグループに分け、その縦横比を表す語と組み合わせて定義し、それを表現する方法である[12]。その中で標準的な形を2:1–3:2の範囲内のものとしている[12][14]。これらはStearn (2004)豊国 (1987)清水 (2001) などでも再録されている[12]

以下、Systematics Association Committee for descriptive Biological Terminology (1962b) に基づいた図表を示し、Systematics Association Committee for descriptive Biological Terminology (1962a) に基づいたラテン語および英語の用語を示す。斜体はラテン語、立体は英語を示す。日本語の訳語は豊国 (1987) および清水 (2001) に基づき、大橋 (2002)による補足を加えた。何れも形容詞であるため、本来の訳語は「~の」である。

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さらに見る 日本語ラテン語 (英語), 12:1 ...

これらで定義された用語と、植物学で用いられてきた語にはずれがあることもある。

上記のうち、「矩形」または「長方形」として示されている oblong は、葉の形状においては「長楕円形」を示すのに用いられ[10][5][11]、「楕円形で両端が鈍形で終わる」とされる[17]

形状を示すのによく用いられる「披針形 lanceolatus」(ひしんけい、lanceolate)の語は、リンネドゥ・カンドールドイツ語圏では狭楕円形 (narrowly elliptic) を意味するが、ベンサムグレイ英語圏では狭卵形 (narrowly ovate) を意味する[12][17]。披針形が狭卵形を意味する場合、上下が非対称となるため、これを逆さにした形である狭倒卵形を「倒披針形 oblanceolatus」(とうひしんけい、oblanceolate)という[16][18]

「線形 linearis (linear)」は一般に縦横比 6:1–3:1 の狭矩形 anguste oblongus を示し、縦横比 12:1 の形状は fasciarius (band-shaped) という[17]イヌコリヤナギのような葉身の形状を「広線形」と表現することもある[19]

また、「円形」を示す語としては、orbicular も用いられる[15][10]。これは完全な円形 (perfectly orbicular) と示す[17]。それに対し、楕円よりの円形は rotundus, rotundatus, subrotundus (roundish) という語が用いられる[20]。倒三角形 (obtriangularis) は「楔形 cuneiformis, cuneate」(くさびがた、wedge-shaped)と呼ばれる[20][10]

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ツルウメモドキ Celastrus orbiculatusニシキギ科)の倒卵円形から楕円形の葉。
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ビワ Eriobotrya japonicaバラ科)の狭倒卵形の葉。

葉の概形を表す用語

相称的な平面図形では、上記に定められた語の他に、次のようなものが用いられる。

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葉身の端ではないところに葉柄が垂直につき、の握り手のように見える葉を楯状葉(盾状葉、じゅんじょうよう、peltate leaf)という[29]。その形は楯形(盾形、たてがた、peltate)と表現される[10] [30]チドメグサなど[10]

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オオカメノキ Viburnum furcatumガマズミ科)の円心形の葉[19]
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先端の形

要約
視点

葉の先端は葉先(葉尖、ようせん[32])または葉頂(ようちょう、leaf apex)という[33][5]

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Vandasina retusaマメ科)の葉。先端に円形の彎入がある。
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Eriotheca obcordataアオイ科)の葉先。先端は倒心臓形。
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Banksia praemorsaヤマモガシ科)の葉。先端が咬歯状である。
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基部の形

要約
視点

葉身基部のことを葉脚(ようきゃく、leaf base)という[33]葉底(ようてい)ともいう[33]。それに対し、葉全体の基部は「葉基 leaf base」という[33]。極端に発達した左右の葉脚が癒着すると楯状葉や漏斗葉になる[33]

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イタドリ Fallopia japonicaタデ科)の葉。基部が切形[39]
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ウナギツカミ Persicaria sagittataタデ科)の葉。披針形で、基部が矢形[39]
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ミゾソバ Persicaria thunbergiiタデ科)の葉。卵状矛形[39]

脚注

参考文献

関連項目

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