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恐竜形類

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恐竜形類
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恐竜形類(きょうりゅうけいるい、学名: Dinosauromorpha[2]は、鳥頸類に属する爬虫類の一群である。恐竜様類(きょうりゅうようるい)や恐竜型類(きょうりゅうけいるい)とも呼ばれる。

概要 恐竜形類 Dinosauromorpha, 分類 ...
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名称

Dinosauromorphaという名は1985年マイケル・ベントンにより名付けられた[1]。1991年には、ポール・セレノによってLagerpeton chanarensisMarasuchus lilloensisPseudolagosuchus majorそして恐竜類(鳥類を含む)の最新の共通祖先とその全ての子孫というノードによるクレードとしての最初の定義がなされた[3]

Dinosauromorphaの日本語における訳語は公式に定められていない。主な訳語としては「恐竜様類」[4][5]と「恐竜形類」[6][7][8]、「恐竜型類」[9][10]がある。恐竜類のクレード名の和訳を提案した冨田ほか (2020)では「恐竜形類」の訳語が推奨されており[2]、本項はこれに倣う。

進化史

2010年10月にポーランドシフィエントクシスキエ山地 (Świętokrzyskie (Holy Cross) Mountains) から報告された前期三畳紀足跡化石は恐竜形類に属するものの可能性がある。もしそうであれば、恐竜形類の起源は2億4900万年前のオレネキアン期初期にまで遡ることができる。ポーランドの小さな四肢動物の最古の足跡化石はプロロトダクティルス英語版と名付けられたが、しかし初期アニシアン期の地層から見つかっている生痕化石属 Sphingopusに属する足跡は2億4600万年前に現れたやや大きい2足歩行の恐竜形類を示している。その痕跡は恐竜の系統がペルム紀末大量絶滅のすぐ後に生まれたことを表している。その期間は恐竜の台頭はゆっくりで、三畳紀のほぼ全期に亘って長く続いたことを示している[11]

中期三畳紀にあたるアニシアン階とラディニアン階からは、南アフリカ共和国やその他の国と地域で動物食性の恐竜形類の体化石が産出しており、遅くともこの頃その他の鳥頸類から小型の恐竜形類が出現したことが確実視されている[12]。こうした基盤的な恐竜形類にはラゴスクスシレサウルスが挙げられる[12]。恐竜形類の中では複数の系統が進化しており、ラゲルペトン科やシレサウルス科などに続いて最後に出現したのが恐竜である。ラゲルペトン科は走行や跳躍に適した構造の骨を持つ全長70センチメートル未満の二足歩行の小型動物、シレサウルス科は最大3メートル程度とより大型の四足歩行動物であった[8]。シレサウルス科の四足歩行は他の恐竜形類と共通する特徴ではなく、独立に獲得されたものであると考えられている[9]。シレサウルス科は植物食性または雑食性であることが歯と顎の形状から示唆されており、また恐竜と近縁であることから、恐竜が植物食または雑食動物から進化した可能性が指摘されている。一方でシレサウルス科が独自に植物食または雑食へ進化した可能性もあり、決着はついていない[8][9]

また、ラゲルペトン科よりも恐竜に近縁でシレサウルス科よりも遠縁な恐竜形類としてマラスクス、シレサウルス科よりも近縁で恐竜そのものの可能性もある属としてニアササウルスがいる[8]

基盤的恐竜形類は後期三畳紀のノーリアン期に絶滅を迎えたが、その1つ前の時代であるカーニアン期には恐竜が登場し、ヘレラサウルスに代表されるヘレラサウルス科が出現した。またノーリアン期にはより派生的な獣脚類(アベポッド類)や古竜脚類が姿を現した[12]

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特徴

初期の恐竜形類は概して小型かつ軽量の動物であった[8]。ただし多様性に乏しかったわけではなく、四足歩行に進化したシレサウルス科など多くのグループが属していた。20世紀中にはアルゼンチンの中部三畳系であるチャナレス累層でのみ化石が産出していたため分布域も狭く見積もられていたが、2000年代以降の発見により世界中に広く分布していたことが分っている[9]

基盤的恐竜形類は後肢と骨盤の形状から、全ての属種で脚が体の真下に伸びていたことが判明しており、恐竜と同様に効率的かつ素早い動作が可能であったことが示唆されている。恐竜形類を除く主竜類にも同様の特徴が広く見られたため、恐竜の走行能力が他の爬虫類と比較して抜きんでていたために中生代で支配的な存在になったという説は説得力を失うことになった[8]。恐竜とその他の恐竜形類を区別する解剖学的特徴には寛骨臼があり、恐竜では大きく開口する一方、他の恐竜形類では小さな窪み程度に留まっている[4]

分類と系統

要約
視点

基部群はサルトプス[13][14]マラスクス、それと同一かもしれないラゴスクスラゲルペトン科に属しアルゼンチンラディニアン階から見つかっているラゲルペトン英語版アリゾナ州ニューメキシコ州テキサス州ノリアン階から見つかっているドロモメロン英語版、そしてポーランドカーニアン階に産するシレサウルスを含むシレサウルス科、 ニューメキシコ州のカーニアン階・ノリアン階で見つかっているエウコエロフィシスレウィスクス英語版とその同一属とも考えられるアルゼンチンのラディニアン階に産するシュードラゴスクス英語版[15][16]ブラジルのノリアン階から見つかったサキサウルス英語版[17]、テキサス州のカーニアン階のテクノサウルス英語版[18]タンザニアのアニシアン階に産するアジリサウルス[19]、そしてモロッコのカーニアン期からノリアン期にいたディオドルス英語版[20]が含まれる。

以下の分岐図は Nesbitt (2011) を簡略化したものである。†は絶滅を表す。

 恐竜形類 Dinosauromorpha 

ラゲルペトン科 Lagerpetidae

 恐竜型類 Dinosauriformes 

マラスクス Marasuchus

 竜団類 Dracohors 

シレサウルス科 Silesauridae

 恐竜類 Dinosauria 

鳥盤類 Ornithischia

 竜盤類 Saurischia 

竜脚類 Sauropodomorpha

獣脚類 Theropoda

以下の分岐図は Kammerer et al. (2020)[21] に基づく。

鳥中足骨類

Aphanosauria

鳥頸類
翼竜様類

スクレロモクルス

翼竜類

ラゲルペトン科

コンゴナフォン

PVSJ 883

イクサレルペトン

ラゲルペトン

ドロモメロン

恐竜形類=恐竜型類
竜団類

シレサウルス科

恐竜類

ラゴスクス

Dinosauromorpha(恐竜形類)、Dinosauriformes(恐竜型類)、Dracohors(竜団類、ドラコホール)についての諸説

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脚注

関連項目

外部リンク

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