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数理物理学

数学と物理学の境界を成す科学の一分野 ウィキペディアから

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数理物理学(すうりぶつりがく、英語: mathematical physics)は、数学物理学の境界を成す科学の一分野である。数理物理学が何から構成されるかについては、いろいろな考え方がある。典型的な定義は、Journal of Mathematical Physicsで与えているように、「物理学における問題への数学の応用と、そのような応用と物理学の定式化に適した数学的手法の構築」である[1]

数理物理には、関数解析学量子力学幾何学一般相対性理論組み合わせ論確率論統計力学可積分系などが含まれる。最近では弦理論が、代数幾何学トポロジー複素幾何学などの数学の重要分野と交流を持つようになってきている。

研究領域

数理物理学にはいくつか独立した領域があり、特定の時代とおおよそ対応する。偏微分方程式論およびび変分法フーリエ解析ポテンシャル理論、ベクトル解析などは、数理物理学に最も関連の深い領域であるといえる。これらは、ジャン・ル・ロン・ダランベールレオンハルト・オイラージョゼフ=ルイ・ラグランジュなどによって、18世紀後半から1930年代までに集中して構築された。これらの物理的応用には、流体力学天体力学弾性理論振動理論熱力学電磁気学空気力学などが含まれる。

原子スペクトルの理論、およびび後の量子力学は、線型代数学、作用素のスペクトル理論、さらには関数解析学などの数学的分野とほとんど同時に発展した。これらは数理物理学の別な領域を構成している。

特殊相対性理論一般相対性理論は、若干異なった種類の数学を必要とする。群論場の量子論微分幾何学において重要な役割を果たしたが、しだいに宇宙論場の量子論の数学的表現としてのトポロジーによって置き換えられた。

統計力学は、より数学的なエルゴード理論確率論の一部と深く関連している。

用語としての'数理物理学'の使い方は、人によって異なることがある。物理学の発展から生まれた数学は、他の関連領域と異なり、数理物理学の一部とはみなされないこともある。例えば、力学系解析力学は数理物理学に属するのに対して、常微分方程式シンプレクティック幾何学は純粋に数学的な領域と考えられている。

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著名な数理物理学者

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数学的に厳密な物理学としての数理物理学

'数理' 物理学の用語は、物理学上の問題を数学的に厳密な枠組みによって研究し、解決する仕事を指して用いられることもある。この意味での数理物理学には、純粋数学と物理学に共通する広範な領域が含まれる。理論物理学にも関連するものの、この意味での数理物理学は、数学において見られる厳密さと同等に厳密であることを重視する。一方理論物理学は、観測や、理論物理学者(や、より一般的な意味での数理物理学者)による発見直観、近似的な議論の助けを必要とする実験物理学とのつながりを重視する。議論の余地はあるが、厳密な数理物理学はより数学に近く、理論物理学はより物理学に近いといえる。

このような数理物理学は、物理学の理論を拡張し、解明することを目的とする。厳密さが要求されることから、これらの研究者は、理論物理学者が既に解決済みと考えるような問題に取り組むことも多い。しかしながら、(簡単ではないが)このような研究によって、以前に得られた結論に誤りが発見されることもある。

この領域は、(1)場の量子論の厳密な定式化、(2)相転移の理論をはじめとする統計力学、(3)原子・分子物理学との関連を含む非相対論的量子力学(シュレーディンガー作用素)に大別される。

数学的に厳密な物理理論の構築に向けた努力は、さまざまな数学的発展の基礎となった。例えば、量子力学と関数解析学の一部は、相互に影響を与えつつ発展している。量子統計力学の数学的研究は、作用素環論における成果を生んだ。幾何学トポロジーの利用は、弦理論において重要な役割を果たした。これらはほんの一部である。現在の研究に関する文献を調べれば、同様な事例を多数見つけることができる。

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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