トップQs
タイムライン
チャット
視点
日本国に対する領空侵犯
日本国の領空に対する侵犯 ウィキペディアから
Remove ads
本項目では、日本国に対する領空侵犯(にほんこくにたいするりょうくうしんぱん、英語: Violations of Japanese airspace)について概説する。一覧を含む。
→「領空侵犯」も参照
日本国に対する領空侵犯と対応
要約
視点



一覧
1958年から現在まで以下の通り日本国に対する領空侵犯が報告されている。これら不法行為に対し航空自衛隊が対応している。
尖閣諸島周辺で領海領空を主張し、防空識別圏を設定(尖閣諸島防空識別圏問題)している中華人民共和国に対するスクランブル発進が、2010年代以降増加傾向にある[1]。
対応手順
航空自衛隊では2機編成でスクランブルを行う
日本においては自衛隊法第84条[注釈 1]に基づき、領空侵犯に対しては航空自衛隊が対応している[注釈 2][9]。この対応は自衛権ではなく、あくまでも警察権の行使の一環として行われる[注釈 3]。
防空識別圏における識別不明機に対する対応手順は以下の順となっている。[要出典]
- 空中早期警戒機・レーダーサイト等が、防空識別圏に接近している識別不明機を探知する。
- 提出されている飛行計画と照合する。
- レーダーサイトが当該機に航空無線機の国際緊急周波数121.5MHzおよび243MHzで日本国航空自衛隊であることを名乗り、英語または当該国の言語で領空接近の通告を実施する。
- 戦闘機をスクランブル発進させて目視で識別する。
- 戦闘機からの無線通告をする。
- 「貴機は日本領空に接近しつつある。速やかに針路を変更せよ。」
- 領空侵犯の無線警告と、当該機に向けて自機の翼を振る「我に続け」の警告を見せる。
- 「警告。貴機は日本領空を侵犯している。速やかに領空から退去せよ。」
- 「警告。貴機は日本領空を侵犯している。我の指示に従え。」
- 「You are approaching Japanese airspace territory. Follow my guidance.」
- 当該対象航空機の母国語での警告[要検証]
- 信号弾又はフレアを発射するなどして警告を実施する。ただし、政府の見解によれば、信号弾やフレアの使用は「武器の使用」[10][11]には当たらないとされている。
- 領空侵犯機を日本国内の空港に強制的に着陸させることを試みる。
- 自機、僚機が攻撃された場合、国土や船舶が攻撃された場合は、自衛戦闘を行う[12]。
ただし、自衛隊法第84条には「着陸させる」か「領空外へ退去させる」の二つしかなく、軍用機による侵犯行為であっても、それに対する攻撃について明確な記述はない[13]。自機や国土に対する正当防衛・緊急避難に該当するような場合[12]、例えばスクランブルの際に2機編成で対処中に1機が攻撃を受けたような場合、もう1機が目標に対して攻撃を加えることは自衛隊法第84条の規定から可能であると解されている[14][15][注釈 4]。過去の国会答弁では、爆撃機が我が国上空において飛行した際、爆弾倉を開いてまさに爆撃を行おうとしている際は、これを撃墜することも可能であるとされている[16]。武器の使用など(信号弾・フレアによる警告を含む。)は各方面航空隊司令官の命令に基づいて行われるが、緊急の場合にはパイロットの判断で使用しても問題ないとするのが政府見解である。
近年、アメリカにおけるスパイ気球の問題を受けて対領空侵犯措置に対する内部基準が改訂され、、無人気球などが民間航空機の航路を阻害したり、あるいは墜落の危険性があったりする場合には、武器を使用して撃墜することも可能となった[15]。
スクランブル発進
→詳細は「スクランブル」を参照
冷戦下では一年間に944回スクランブル発進した年もあり、大半はソ連軍機であった。冷戦終結後は、150回前後まで減少したが、そのほとんどがロシア連邦軍機によるものである。その後、中国軍機を原因とするものが増加し2014年度には一年間に943回となった。2006年度には、ロシア軍機を原因としたスクランブル発進が196回、中国軍機を原因としたものが22回、台湾軍機を原因としたものが8回、その他、韓国軍機・米軍機などを原因としたものが13回行われている[17]。 2014年度には、ロシア軍機を原因としたスクランブル発進が473回、中国軍機を原因としたものが464回、台湾軍機を原因としたものが1回、その他を原因としたものが5回行われている[18]。冷戦期には自衛隊・在日米軍の迎撃能力や周波数等の情報収集のために、ソ連機が頻繁に日本領空に接近していたほか、現在では中国軍機とみられる戦闘機が多くなっている。
気球など対処の必要が無いと判断された機体に対してはスクランブル発進を行わないこともある。
なお、スクランブル発進は領空侵犯をされるおそれがある場合に行う[注釈 5]ため、「スクランブルを行った回数 = すなわち領空侵犯の回数」とはならない。
Remove ads
日本国に対する領空侵犯事件
日本国に対する領空侵犯のうち特筆される事例について記す。
ベレンコ中尉亡命事件
→詳細は「ベレンコ中尉亡命事件」を参照
1976年にソビエト連邦軍現役将校ヴィクトル・ベレンコが、MiG-25迎撃戦闘機で日本の函館空港に着陸し、亡命を求めた事件。この事件において自衛隊は、MiG-25を発見できず着陸を許してしまったため、攻撃目的の場合でも同様に航空自衛隊の防空網を簡単に突破されてしまう危険が露呈した。その後早期警戒機E-2Cが導入されるなどし防空網の強化がなされた。
対ソ連軍領空侵犯機警告射撃事件
→詳細は「対ソ連軍領空侵犯機警告射撃事件」を参照
冷戦下のソ連軍機による領空侵犯は20回以上発生しているが、1987年(昭和62年)に発生したこの事例は陸・海・空の自衛隊が創設以来初めて警告射撃[19](信号射撃による警告)を行った事件として有名である。なお、政府見解では信号弾は武器には当たらないので、厳密に言えば「武器の使用」ではない。
中国機尖閣諸島領空侵犯事件
→詳細は「中国機尖閣諸島領空侵犯事件」を参照
2012年12月13日、尖閣諸島上空で領空侵犯した中国国家海洋局所属の航空機(Y-12)を、海上保安庁の巡視船が視認した。航空無線機にて国外退去を要求し、さらに防衛省へ通報した。この事件は、領空侵犯した航空機を海上保安庁の巡視船が国外退去を促した初の事例である。
ロシア軍哨戒機領空侵犯フレア発射事件
2024年9月23日13時から15時にかけて、北海道礼文島沖でロシア軍のIl-38哨戒機1機が日本の領空を3度にわたって侵犯した。これに対し、航空自衛隊のF-15J及びF-35A戦闘機が緊急発進(スクランブル)を行い、3度目の領空侵犯時に北部航空方面隊司令官の判断で、戦闘機がフレアを発射して警告を行なった。対領空侵犯措置でフレアを発射して警告を実施するのは初めてで、無線や機体動作以外の手段で警告を行なったのは、前掲の対ソ連軍領空侵犯機警告射撃事件以来2例目である[20]。
Remove ads
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
Wikiwand - on
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Remove ads