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木構造 (建築)
建築の構造のひとつ ウィキペディアから
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木構造(もくこうぞう)は、木造ともいい、建築の構造の一つで、構造耐力上主要な部分に木材を用いる構造である。また、近年は木質材料を用いる建築が増えたので、これを木質構造と呼ぶことがある。

木構造の構造形式による分類
伝統的な構法

木造軸組構法
木造枠組壁構法
丸太組構法
→詳細は「ログハウス」を参照
木質ラーメン構法
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部材の性質
接合部の性質
- 木材同士の接合部は、せん断力が働く方向に効くように作る。引張り力が働く部材を接合する場合は、添え板などを使用してせん断接合に変換する。
- 木材同士の接合には、主に次の方法がある。
- それぞれの接合方法は、抵抗のメカニズムが異なるため、異なる接合方法を併用しても耐力を加算することはできない。
火災への対処
木構造は、構造耐力上主要な部分に可燃材料を使っているため、他構造に比べ火災が拡大しやすい性質をもつ。そのため、原則として、規模・用途・地域によっては、外壁・屋根・軒裏などは不燃材料で仕上げなければならない。また、以下のような防火措置を講じる。 防火性能を組み合わせることで、基準の厳しいガソリンスタンドの事務棟や屋根を建設した例も見られる[3][4]。
- 木部を石膏ボードなどの防火性能の高い材料で覆い、木部が直接火炎にさらされるのを防ぐ。
- 部屋ごとに室内壁・天井を石膏ボードなど防火性能の高い材料で覆い、隣室や上下階への拡大を遅らせる。また、内装は極力不燃材料で仕上げる。
- 主要構造部に木材を現しで使用する場合であっても、燃焼すると表面に炭化層を形成するため、内部まで燃え進むのには時間がかかる。そのため、燃えしろを除いた部分だけでも構造が持つように構造計算を行い、太い断面の木材を使う手法がある。(燃えしろ設計)
- 壁内中空部および壁と天井などの取り合い部には、ファイヤーストップ材を設ける。
- 地震時に防火材料が脱落するのを防ぐため、各階の剛性を高くする(層間変形角1/150以下)。
その他、火災保険や地震保険において、耐火性の低い(耐火建築物・準耐火建築物・省令準耐火構造建物でない)木造住宅は保険料が高額となる傾向がある。
木造住宅密集地域
大都市圏で古い木造住宅が密集し、大規模地震時などに火災や倒壊で深刻な被害が予想される地域を、地方自治体は「木造住宅密集地域(木密)」と呼んでいる[5](国土交通省の表現は「地震時等に著しく危険な密集市街地」[6])。東京都や都内特別区が首都直下地震に備えて「不燃化特区」で建て替えを促す[7]など、各自治体と国が解消を目指した対策を進めている。
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シロアリ・腐朽への対処
木構造は、構造耐力上主要な部分にシロアリ、腐朽に弱い材料を使っているため、他構造に比べ耐久性が低くなりがちである。そのため、原則として地面から1m以内の木部には防腐・防蟻の措置をしなければならない。また、以下のような対策を講じる。
- 建物下部の地面を全面的に鉄筋コンクリートで覆い、地面からの湿気やシロアリの進入を防ぐ。べた基礎の採用が望ましいが、布基礎の場合でも防湿・防蟻のための鉄筋コンクリートを敷く。
- 構造耐力上主要な部分の木材は、乾燥したものを用いる(含水率25%以下が望ましい)。
- 構造耐力上主要な部分の木材は、辺材より心材の方が望ましい。
- 構造耐力上主要な部分の木材の樹種は、使用箇所に応じて、耐腐朽性・耐蟻性の大きいものを採用する。
- 屋根の形状は単純なものとし、ひさしの出はできるだけ大きくすることが望ましい。
- 外壁の室内側には防湿層を正しく施工し、壁内に室内で発生した湿気が入り込むのを防ぐ(外壁のすべてが通気性のある材料で構成されている場合は除く)。
- 室内で発生した湿気は、窓や換気設備などを用いて、積極的に屋外に排出する。
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木構造の環境への負荷
木構造は、他構造に比べ環境への負荷が少ない構造形式である。
日本における木構造建設の動き
2010年、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が成立。国が関与する公共建築物において木材利用を積極的に取り組むとともに、地方公共団体や民間事業者にも木材利用の取組を促がすこととなった[8]。2018年度に国が整備した低層公共建築の木造化率は、78.6%(98棟うち78棟)に達している[9]。 2021年、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が、脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律として改正された。目的の見直しや、対象となる建築物を公共建築物から民間を含む建築物一般へ拡大するなどが行われた[10]。
2024年(令和6年)、三井不動産は東京都日本橋に国内最大、最高層の木造ビル建設に着手した。地上18階建て、高さ84メートル、延べ床面積は28,000平方メートル。一般的な鉄骨造りのオフィスビルと比較して躯体部分で二酸化炭素の排出量を約30%削減できるとしている[11]。
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脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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