トップQs
タイムライン
チャット
視点
クコ
ナス科クコ属の植物 ウィキペディアから
Remove ads
クコ(枸杞[3]、学名: Lycium chinense)は、東アジア原産のナス科クコ属の落葉低木。荒れ地などに見られ、夏から秋にかけて薄紫色の花を咲かせて、秋に赤い果実をつける。有用植物で、食用や薬用に利用される。北アメリカなどにも移入され、分布を広げている。別名、ウルフベリー、ゴジベリー。中国植物名は枸杞(拼音: )。
Remove ads
名称
和名クコは、漢名に由来する[3]。漢名(中国名)で「枸杞」と書き[4]、中国の古書に「枸橘(カラタチ)のようなとげがあり、杞柳(コリヤナギ)のように枝がしなやかに伸びるので、枸杞と名付けられた」との記述がある[5][6]。
日本の地方により、アマトウガラシ[7]、オニクコ[7]、カラスナンバン[4]、カワラホウズキ[4]、キホウズキ[7]、シコウメ[7]、ノナンバン[4]などの方言名でも呼ばれている。
英名のゴジベリーの名が逆輸入され、日本の園芸店でもゴジベリーの名で流通することも多い。
分布・生育地
日本全域(北海道・本州・四国・九州・沖縄)、朝鮮半島、中国、台湾に分布する[8]。平地に分布し、山地には見られない[9]。
日当たりのよい原野、河川堤防、土手、海岸、市街地や農耕地帯の道ばたなどのやぶに自生しており[9][10]、人の手が加わりやすく、高木が生えきれない環境によく生える。ある程度湿り気のある水辺の砂地を好む[5]。庭などで栽培もされる[3]。日本では、土手や道ばたのやぶでよく見られるが[11]、かつて一時の漢方薬ブームで頻繁に採取され、見かける数が少なくなった[12]。
形態・生態
高さ1 - 2メートル (m) の落葉広葉樹の低木[3]。暖地では半常緑化している[7]。株元から茎が何本も立ち上がり、弓状に垂れ下がってやぶ状になる[9][13]。茎は細長く伸びて直立せず[10]、枝は長さ1 m以上、太さは数ミリメートル (mm) - 1センチメートル (cm) ほどで、よく分枝して細くしなやかである。3 - 4月ころに芽吹き[6]、枝には葉と[9]、葉の付け根に1 - 2 cm程度の棘が互生する[7]。葉身は、長さ2 - 4 cm程度のやや先が尖った楕円形から倒披針形で、革質で縁がなめらかで、数枚ずつ集まるように枝から出る[9][14]。垂直方向以外に地上にも匍匐茎を伸ばし、枝先が地に接すると発根して[10]、同様の株を次々と作って繁茂する[5]。
葉は、長さ2 - 4 cmの倒披針形か長楕円形の全縁で、束生して数個が集まり、葉質は厚く、軟らかで無毛である[3][10]。葉の付け根には、しばしばとげ状の小枝が生える[8]。
開花期は晩夏から秋(7 - 11月)で[6][8]、葉腋から1 - 4個の細い花柄を出し、直径1 cmほどの小さな薄紫色の花が咲く[10]。花は鐘形で[9]、花冠は5裂する[3]。花から5本の長い雄しべが出て、目立つ[11]。
果実は液果で[11]、花が終わると9月ころに結実し[6]、長径1 - 2.5 cmほどの楕円形で、晩秋に橙紅色に熟す[3][10][7]。果実の中に種子が20個ほど入り、一つの種子の大きさは2ミリメートル (mm) 弱ほどで、腎円形や楕円形で平たく、種皮は淡褐色で浅い網目模様があり、ざらつき感がある[11]。
性質は丈夫であり、5月ころに、しばしばハムシの一種トホシクビボソハムシ(Lema decempunctata)の成虫や幼虫が葉を強く食害したり、何種類かのフシダニ(クコフシダニ)が葉裏に寄生して虫癭だらけになったりするが[5][6]、それでもよく耐えて成長し、乾燥にも比較的強い。また、アブラムシがついたり、うどんこ病にかかることも多い[7]。
利用
要約
視点

非常に有用な植物で、葉や果実が食用、茶料、果実酒、薬用などに、また根は漢方薬に用いられる[15]。萌芽力が強くて剪定にも耐えるため、庭園樹や生け垣に利用されることがある[15]。挿し木や株分けで、容易に繁殖することができる[15]。
食用
赤く熟した果実には、ベタイン、ゼアキサンチン、フィサリンなどが含まれ[5]、強壮作用があり、乾燥させたクコの実をホワイトリカーに漬けこんで健康酒としてクコ酒にするほか[8][10][7]、生食やドライフルーツでも利用される[6]。薬膳として粥の具や杏仁豆腐のトッピングにもされる[16]。
また、柔らかい若葉も食用にされ、軽く茹でて水にとってアクを抜き、お浸し、和え物、油炒め、クコ飯、ポタージュ、佃煮や、生のまま汁の実、天ぷらに調理されたり[5][10][7]、サラダや料理のトッピングに利用される[6]。若葉の採取時期は、暖地が4 - 5月ごろ、寒冷地は5 - 6月ごろが適期とされる[7]。アク抜きの際に、水にさらす時間が短いと、葉の色が茶褐色に変色する[7]。若芽は茹でるとよい香りがして、コクのある味わいが楽しめる[7]。成葉は天日で干してお茶代わりにする[7]。
薬用
クコの果実は枸杞子(くこし)、根皮は地骨皮(じこっぴ)、葉は枸杞葉(くこよう)という生薬である[4][10]。ナガバクコ(学名: Lycium barbarum)も同様に生薬にされる。採取部により、三者三様の生薬名があるが、強壮薬としての効用は同じで、組み合わせで利用されている[10]。葉は6 - 8月ころ、果実と根皮は秋に採取して、水洗いしたものを天日で乾燥させる[4][10]。葉には、ベタイン、ベータ・シトステロールグルコシド、ルチンなどが含まれ、毛細血管を丈夫にする作用があるといわれる[5]。根皮には、ベタイン、シトステソル、リノール酸などが含まれ、果実とともに滋養強壮の目的で漢方薬に配剤されている[5]。
民間では、果実、根皮、葉それぞれ1日量5 - 10グラムを600 ccの水で半量になるまで煎じ、3回に分けて服用する用法が知られている[4]。果実は、食欲がなく下痢しやすい人に合わないことが多く、根皮・葉は冷え症の人に対して禁忌とされている[4]。
ワルファリンとの相互作用が報告されている[17]。食品素材として利用する場合のヒトでの安全性・有効性については、信頼できるデータが見当たらない[18]。

食用
若芽、葉茎、果実のいずれも食用や果実酒とする[9][12]。春(4 - 6月)の若芽は、先端の10 cmを摘み取って、茹でて水にさらし、和え物やお浸しにしたり、生のものをよく洗って天ぷらや炒め物、汁の実として調理される[9]。夏から秋にかけての葉も食用にでき、茹でてお浸しや和え物、生のまま天ぷらにしたり、煮付けて炊いた飯に混ぜて、クコ飯にできる[9]。9 - 11月ころのよく熟れた果実は、よく洗ってホワイトリカーに漬け込み、果実酒にする[9][12][19]。葉や根は細かく刻んで乾燥させ、クコ茶として飲用する[12]。
Remove ads
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
Wikiwand - on
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Remove ads