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特定ラジオマイク
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特定ラジオマイク(とくていラジオマイク)とは、無線局の免許を要するラジオマイクである。
![]() | この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
特定ラジオマイク運用調整機構(特ラ機構)は「チャンネル」と、電波産業会(略称:ARIB)は「チャネル」と文書に表記しているので、本記事中でもこれに従う。
定義
総務省令無線設備規則(以下、「設備規則」と略す。)第49条の16に、「470MHzを超え714MHz以下又は1,240MHzを超え1,260MHz以下の周波数の電波を使用するラジオマイク(次条に規定するデジタル特定ラジオマイクを除く。) 」また、第49条の16の2に、「デジタル特定ラジオマイク(470MHzを超え714MHz以下又は1,240MHzを超え1,260MHz以下の周波数の電波を使用するラジオマイクであつて、デジタル方式のもの」と規定している。
促音の表記は原文ママ
当初の周波数の範囲は、「470MHzを超え714MHz以下又は1,240MHzを超え1,260MHz以下」が「797MHzを超え806MHz以下」であった。特ラ機構やARIBは、各々の周波数帯をテレビホワイトスペース帯、1200MHz帯、800MHz帯と呼ぶ。
概要
高音質が必要な舞台芸術、放送、録音などに用いる。陸上移動局の免許を要するが無線従事者は不要である。
- 電波法施行規則(以下、施行規則と略す。)第33条第2号および同条第8号に基づく平成2年郵政省告示第240号第3項第5号の規定による。
800MHz帯はFPUと共用する為、特ラ機構に入会して放送事業者と使用場所の調整を図らなければならない。
技術基準適合証明の対象なので技適マークがついた機器(適合表示無線設備という。)のみしか利用できない。
制定の経緯
従前は高音質を要する用途には微弱無線局の規定内のものが使用されていたが、1986年(昭和61年)の施行規則(当時は郵政省令)の改正により、10年間の猶予をもって使用が禁止された。この内、高音質用の代替として特定ラジオマイクが制度化されたものである。なお、一般用としてはラジオマイク用特定小電力無線局として後述するB型とC型が同時期に制度化された。周波数帯は、放送事業者が使用していた400MHz帯は他業務が使用することを予定していた為、使用頻度が低いFPUのCH4(797~806MHz)が割り当てられた。
表示
技適マークには技術基準適合証明番号又は工事設計認証番号も併せて表示することが必須とされ、
- 特定ラジオマイクを表す記号は、技術基準適合証明番号の4字目のB
- デジタル特定ラジオマイクを表す記号は、技術基準適合証明番号の4~5字目のCU
である。 但し、
- 2001年9月10日までは番号の1字目または1~2字目
- 前記以後2003年6月までは番号の3字目または3~4字目
- 2013年4月以降の工事設計認証番号(番号の4字目がハイフン(-)であるもの)に記号表示は無い。
筐体は容易に開けられないように特殊ねじなどが用いられているので、利用者は改造はもちろん保守・修理が目的であっても分解してはならない。 改造すると技術基準適合証明が無効となるので、不法無線局となる。また、改造したものからは技適マークを除去しなければならない。技適マーク#規制事項を参照。
その他
日本独自の制度であるので他国での使用はできない。持込みができたとしてもその国で使用を許可されたということではない。逆に類似していても他国の規格のものは日本では使用できない。
特定の文言はあるが特定無線局ではないので包括免許の対象ではない。また、無線局の免許を要するので特定小電力無線局ではない。
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技術的条件
ARIB(旧称は電波システム開発センター、略称:RCR))は、設備規則及び関連告示の技術基準を含めて標準規格
- RCR STD-22 特定ラジオマイクの陸上移動局の無線設備
を策定している。
空中線(アンテナ)が無線機本体に装着されてなくてはならない。但し、イヤーモニター用はこの限りではない。
基本的な使用法として
- 単向通信方式は、拡声機能を使用することを想定し、単数または少数の受信機を受信相手とする
- 同報通信方式は、個人が直接聴取することを想定し、多数の受信機を受信相手とする
としている。
電波法令に規定するものではないが、A型ラジオマイクと通称される。800MHz帯特定小電力ラジオマイクはB型、300MHz帯特定小電力ラジオマイクはC型、74MHz帯特定小電力ラジオマイクはD型と称する。(B型、C型、D型の名称は「RCR STD-15 特定小電力無線局 ラジオマイク用無線設備」に規定されている。)
グループ、チャネル、周波数帯
要約
視点
特定ラジオマイクの使用にあたり、連絡・周波数調整を容易にする為、RCR-STD-22は次のようにグループとチャネルを呼称することを推奨している。
- チャネル呼称
- (1) FPU該当チャネル番号1~4
- (2) ハイフン(省略可)
- (3) FPU最低周波数に125kHzを足した周波数を01、その後125kHz間隔で02~71
- グループ呼称
- (1) FPU該当チャネル番号1~4
- (2) ハイフン(省略可)
- (3) チャネル02~47はLO、チャネル48~70はHI
呼称はまた、周波数帯の導入時期の相違から、アナログについてはメーカーが独自につけているものがあり、特ラ機構が主要メーカーの呼称を一覧表 [1] にしている。 周波数帯の呼称は下記にまとめる。
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移動局と固定局
特ラ機構では無線局免許状の移動範囲が
- 全国であるものを移動局
- 免許人の業務区域内(劇場、ホールなど限定された施設内)であるものを固定局
と呼んでいる。同一人が移動局と固定局の両者を保有することはできるが、固定局であるラジオマイクを業務区域外に持ち出して使用するのは電波法違反である。この区別は電波法令上の移動局と固定局とは異なるものである。
運用
チャンネルプラン
同一場所で複数のアナログ送信機を用いる場合、同一周波数ではもちろん使用できないが、近接した周波数を使用すると受信機側で三次相互変調歪が生じて受信波と同一になり混信してしまうことがある。そこであらかじめチャンネルプランを作成し、これに基づき使用せねばならない。特ラ機構では多チャンネルで使用するときの表計算プログラム「WLチャンネルプラン」を提供している。
例として、FPU-2CH帯とFPU-4CH帯での最大利用波数は、
- コンパンダ使用で20波+20波
- コンパンダ不使用(リニアと呼ぶ。)で19波+19波
となる。
運用調整距離
特定ラジオマイクを使用するに当たっては、使用周波数が相手に対し混信妨害にならないかを確認することが原則である。特ラ機構では、お互いに混信妨害とならない距離の基準として運用調整距離を設定している。これは理論計算値に過去の実績・経験値・地理的要素など加味したものである。
- 特定ラジオマイクの屋外対屋外は、半径400m
- 特定ラジオマイクの屋外対・屋内は、半径300m
- 特定ラジオマイクの屋内対・屋内は、半径200m
- 特定ラジオマイク対FPUは、半径800m
でこれ以上離れていたら、混信妨害はないと判断している。
連絡表
上記の運用調整距離を超えると混信妨害のおそれがあるので、連絡表を特ラ機構に提出し他事業者との運用調整を図らねばならない。なお、特定ラジオマイクを屋外で使用する際は、FPUとの混信を考慮し必ず連絡表を提出するものとしている。
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周波数再編
800MHz帯の使用期限は、沿革にもあるとおり2019年3月31日である。この周波数帯を携帯電話に割り当てることになったからである。新しい周波数帯への移行を促進する為、携帯電話事業者各社が期限内に取替費用を負担する終了促進措置がとられることとなった。この措置は、各社が共同して設立した700MHz利用推進協会が実施する。
沿革
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脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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