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素性文字
表音文字のうち、母語話者が同じ音素と感じる異音までが表記の単位となる表記体系 ウィキペディアから
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素性文字[1](そせいもじ、英語: featural script)とは、文字体系の分類のひとつ。音素文字のレベルよりさらに細かく、弁別的素性を反映させた表音文字を言う。
ジェフリー・サンプソンが、アイザック・ピットマンの速記[2]、およびハングルの特徴を説明するために、この語をはじめて使用した。
概要
サンプソンは文字に関する著書『Writing Systems』の第6章[3]を素性体系としてのハングルの分析にあて、ハングルに先行する表音文字が音素のレベルまでを対象にしているのに対し、ハングルは子音も母音も弁別素性の分析をもとに文字が設計されているところに特徴があるとした。
サンプソンによれば、表記体系は以下のように分類される[4]。
表記体系 |
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ハングルが弁別的素性をもとに設計された珍しい文字体系であることは、サンプソン以前に趙元任が述べている[5]。
ジョン・デフランシスは素性文字という考えに反対し、ハングルをアルファベットに含めている[6]。
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素性文字の具体例
素性文字の特徴を例示するため、非素性文字であるギリシア文字 (古代ギリシャ語) と素性文字であるハングル (朝鮮語)における破裂音の表記を以下に示す。
例として古代ギリシャ語において Π であらわされる子音 [p] は発声において声帯の振動を伴わない無声音であり、調音位置が両唇音であるといった弁別的素性を持つ。しかし Π という文字にこれらの素性は反映されておらず、例えば同じ両唇音を表す Β や Φ と共通点はない。
これに対して朝鮮語のハングルにおいては調音位置や無気音・有気音・濃音などの素性を同じくする子音を表す字母が共通のパターンを持っており、素性を反映していることがわかる。
また日本語におけるかなは素性文字ではないが、かなにおける濁点記法は有声音という弁別的素性を表しており、素性文字的な要素といえる。そのほか上記のようなIPA表記におけるダイアクリティカルマークについても同様である。
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ハングル以外の素性文字
サンプソンは、通常の文字体系ではハングルと同じ設計のものはほかにないが、アイザック・ピットマンの速記文字がこれに近いとしている[7]。
ピーター・T・ダニエルズは、さまざまな言語によるアラビア文字の借用を論じて、借用されるごとにアラビア語に存在しない音を表す文字を既存の文字の変形によって作るため、より素性文字的になっていくとした[9][10]。
脚注
参考文献
関連項目
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