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自動車事故対策機構

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自動車事故対策機構
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独立行政法人自動車事故対策機構(じどうしゃじこたいさくきこう、英語: National Agency for Automotive Safety & Victims' Aid)は、自動車事故の発生防止およびその被害者への援護を主な目的とした、国土交通省所管の独立行政法人である。その運営形態、業務範囲などは独立行政法人自動車事故対策機構法によって定められている[7]。略称はNASVA(ナスバ)だが、前身となる法人を含め、主に運輸業界からは事故対(じこたい)とも呼ばれる。本部は東京都墨田区にあり、日本国政府特殊法人自動車事故対策センターの業務を承継して、2003年に設立された。

概要 自動車事故対策機構, 正式名称 ...
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概要

「支える」「守る」「防ぐ」をスローガンに、自動車事故防止と自動車事故被害者支援を業務の柱としている。

支える:自動車事故被害者の支援のために、交通遺児等に対する生活資金の貸付や友の会の実施、重度後遺障害者に対する介護料の支給、および療護施設の設置・運営を行っている。

守る:安全な車選びのため、自動車アセスメント情報を公開している。

防ぐ:自動車事故防止のために、運転者に対する適性診断、管理者等に対する各種講習、経営層に対する安全マネジメント業務を実施している。

前身は、1973年に政府出資の特殊法人として発足した自動車事故対策センターである。1960年代後半から1970年代前半は「交通戦争」とも呼ばれるほどに交通事故と事故による死傷者が急増し、1971年には交通事故による死亡者が1万6000人を超える事態となった。そこで同年、交通安全対策基本法が制定され、対策に取り組むこととなった。

1971年に第1次交通安全基本計画が作成され、1973年第71回国会にて「自動車事故対策センター法」(昭和48年法律第65号)が制定されたことを受けて[8]、自動車事故の発生防止および被害者保護を目的として同センターが設立された。

その後、独立行政法人制度の導入により、2003年に同センターの事業を承継して独立行政法人自動車事故対策機構として発足した。

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略歴

自動車事故対策センター

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千葉療護センター
  • 1973年 - 自動車事故対策センター設立
  • 1983年 - 千葉療護センター設置
  • 1989年 - 東北療護センター業務開始
  • 1994年 - 岡山療護センター業務開始
  • 1996年 - 自動車安全情報提供事業(フルラップ前面衝突試験およびブレーキ性能試験)開始
  • 1999年 - 自動車アセスメント情報提供事業開始
  • 2001年 - 中部療護センター業務開始

自動車事故対策機構

  • 2002年 - 独立行政法人自動車事故対策機構法公布
  • 2003年 - 独立行政法人自動車事故対策機構設立(自動車事故対策センター解散)

組織

本部と9か所の主管支所からなり、9主管支所に属する41か所の支所がある。各都道府県に1か所の主管支所もしくは支所が設置されている(北海道のみ1主管支所と3支所が設置されている)。

組織概要

役員
  • 理事長
  • 理事
  • 監事
本部
  • 内部監査室(理事長直属)
  • 審議役
  • 総務部
  • 企画・広報部
  • 経理部
  • 安全指導部
  • 被害者援護部
  • 自動車アセスメント部
主管支所
  • 札幌主管支所
  • 仙台主管支所
  • 新潟主管支所
  • 東京主管支所
  • 名古屋主管支所
  • 大阪主管支所
  • 広島主管支所
  • 高松主管支所
  • 福岡主管支所

安全な車選び

市販車の安全性能評価試験と市販のチャイルドシートついての安全性能評価試験を行い、その結果を公表している。

自動車に関しては、事故が起きた後の安全性を評価する衝突安全性能評価、事故を予防する性能を評価する予防安全性能評価が行われている。

チャイルドシートに関しては、前面衝突試験(乳児用、幼児用)および使用性評価試験を実施している。

事故の防止

全国50支所で、運転者適性診断を実施しているとともに、適性診断結果票の見方が分からない、適性診断結果票を用いた運転者への効果的な助言指導方法が分からない等という悩みを抱えている管理者等に対して、適性診断活用講座を各支所において開催している。

また、運行管理者等を対象とした指導講習も全国50支所で実施している。

さらに、経営管理部門を主な対象とした国土交通省認定セミナーの実施や安全風土の確立を目的とした講師派遣業務、安全マネジメントコンサルティング業務も実施している。

なお、上記業務のうち、運転者適性診断と指導講習について、バス・ハイタク・トラックといった、いわゆる緑ナンバーの事業者には、関係法令で受診や受講が義務付けられており、緑ナンバーの事業者にとって、認知度の高い業務となっている。

ただし、白ナンバーの自家用事業者も例外ではなく、特に運転者適性診断や活用講座、講師派遣、安全マネジメントコンサルティングについては、自家用事業者からも申し込みがある。

そのほか、令和7年4月に貨物軽自動車運送事業者(バイク便事業者は除く)に対する安全対策が強化されたことに伴い、貨物軽自動車運送事業者向けの講習会をeラーニング方式(eナスバ)で実施している。

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運行管理者等指導講習

基礎講習
  • 運行管理者になろうとする者、補助者に選任されようとする者および運行管理者国家試験の受験資格を得ようとする者が受講する講習会である。
  • 受講料は当日持参である。
  • 対面方式、動画視聴方式、eラーニング方式(eナスバ)の3種類の受講が可能であり、どの方式で受講しても修了に差はない。
一般講習
  • 運行管理者として選任されている者が受講する講習会であり、運行管理者は2年度に1回の受講義務がある。
  • 受講料は当日持参である。
  • 対面方式、動画視聴方式、eラーニング方式(eナスバ)の3種類の受講が可能であり、どの方式で受講しても修了に差はない。
特別講習
  • 重大事故または法令違反により行政処分を受けた営業所の運行管理者が受講する講習会である。さらに、特別講習の受講対象者は、一般講習または基礎講習を特別講習受講義務の属する年度から2年連続で受講する必要がある。
  • 受講料は当日持参である。
  • 特別講習については、グループワークがあることから、現在対面方式のみの実施であり、2日間にかけて行われる[9]
貨物軽自動車安全管理者講習
  • 貨物軽自動車運送事業者が貨物軽自動車安全管理者に選任される要件の一つとなっている講習会である。
  • 受講料は事前決済が必要である。
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事故被害者の支援

  • 交通遺児等生活資金貸付
自動車事故により保護者が死亡あるいは重度の後遺障害となり、経済的困窮に陥った子弟の健全な育成を図るために、ゼロ歳児から中学校在学者までの交通遺児等を対象として無利子の育成資金貸付を行っている。また、この貸付金を利用している交通遺児等とその家族を会員とする「友の会」を設け、「友の会の集い」など様々な行事や活動を通じた精神的支援を行っている。
  • [療護施設の設置・運営
自動車事故により脳損傷によって重度の後遺障害が残り、治療と常時介護が必要となった者のうち、特に症状が重い者を対象に、高度先進医療機器を用いた検査結果をもとに、治療と看護を行う専門病院として全国4か所に療護施設を設置・運営している。また、全国8か所の一般病院に同様の療護施設機能を有する委託病床を設置している。
  • 療護センター
    • 東北療護センター(仙台市)
    • 千葉療護センター(千葉市)
    • 中部療護センター(美濃加茂市)
    • 岡山療護センター(岡山市)

これらの療護施設への入院期間は概ね3年以内とし、入院の承認は、治療及び介護の必要性、脱却の可能性等を総合的に判断して行われる。                     

介護料の支給
自動車事故により脳、脊髄または胸腹部臓器に損傷を受けたために、重度の後遺障害が残り、移動・食事・排泄などの日常生活動作に常時または随時の介護が必要となった者を対象に、介護料の支給および短期入院・短期入所費用の助成を行っている。自動車事故のみが対象とはなっているが、バイクによる事故や自損事故であっても、ナスバの定める症状の要件に該当すれば、介護料支給の対象となることもある。                                                                                                                                               
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ナスバちゃん

  • ナスバちゃんは妖精という設定のナスバのマスコットキャラクターであり、テレパシーの能力を備えている。

脚注

外部リンク

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