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自維連立政権

2025年から日本国の行政を担っている政権 ウィキペディアから

自維連立政権
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自維連立政権(じいれんりつせいけん)とは、自由民主党日本維新の会閣外協力)による連立政権である。自維政権(じいせいけん)や、単に両党を指して自維(じい)とも呼ばれる。2025年令和7年)10月21日から日本の政権を担っている。

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自由民主党と日本維新の会による初の連立政権である高市内閣
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遠藤敬高市早苗

概説

2025年令和7年)10月20日、自由民主党の高市早苗総裁と日本維新の会の吉村洋文代表が党首会談を行い、両党による連立政権の樹立に正式に合意した[1]。翌10月21日に召集された臨時国会第219回国会)の首相指名選挙で、第29代自由民主党総裁の高市早苗が第104代内閣総理大臣に選出され、皇居での今上天皇による親任式及び認証式を経て高市内閣が発足。自維連立政権が正式に成立した[2]

高市内閣の発足当時は維新からは閣外協力の形で閣僚には起用せず、両党の連絡調整要員として維新の国会対策委員長である遠藤敬内閣総理大臣補佐官(連立合意政策推進担当)に就任している[3]

歴史

要約
視点

自公連立政権の終焉

2025年10月4日に開票された2025年自由民主党総裁選挙では、得票数1位の高市早苗と2位の小泉進次郎による決選投票の末、高市が自由民主党総裁に選出され、同党初の女性総裁となった[4]。これを受け自公連立政権を構成する公明党斉藤鉄夫代表は当日、高市と会談。高市の主張のうち「靖国神社参拝問題歴史認識」「外国人排斥問題」「政治とカネ」の3点に懸念を示した[5][6]。会談後、斉藤は「政策協議を行い、一致すれば連立政権ということになるが、まだ今の段階では何とも申し上げることができない」とコメント。連立離脱を示唆し、タカ派の高市を念頭に、自民党の右傾化をけん制した[7]

自公両党は7日に会談を行った結果、上記の3点のうち2点については合意したが、「政治とカネ」について、公明党が企業・団体献金の受け手を政党本部や都道府県組織に限定する案を提示したのに対し、自民党は同意せず、連立合意は持ち越しとなった[8][9][10][11]。連立合意が行われない中、公明党内では創価学会の意向を踏まえ連立離脱を求める強硬論が出される事態となり[12]、8日に斉藤はインターネット番組の中で「連立しないということは(首相指名で)『高市早苗』と書かないということだ」と明言した[13]。9日、公明党は全国県代表協議会を行い、連立離脱に対し賛否両論が噴出。その後行われた中央幹事会で、対応を斉藤と幹事長の西田実仁に一任することを決定した[14][15][16]

10日、自民党から高市と幹事長の鈴木俊一、公明党から斉藤と西田が出て国会内で政策協議を行い、1時間30分を超える議論の末、斉藤は「政治とカネ」など政治改革に関する十分な回答を自民党から得られなかったことを受け、「一旦白紙。これまでの関係に区切りをつける」と述べ、連立離脱の方針を高市に通告。26年間に渡る自公連立は幕を閉じることとなった[17]

会談後、高市は「一方的に連立離脱を伝えられた」と述べたのに対し[18]、斉藤は、1年前から与野党含めて企業・団体献金の規制について協議をし続けてきたが、自民党は「検討する」というばかりで、いつまでたっても結論が出ないと考え、このような決断をしたとし、高市の「一方的」という言い分については「それは言葉の使い方としておかしいんではないでしょうか」と指摘した[19]

自由民主党と日本維新の会の連立政権樹立

10月15日、維新共同代表の藤田文武が、立憲民主党代表の野田佳彦国民民主党代表の玉木雄一郎と野党党首会談し、公明党の連立離脱を受け野党側の首相候補の一本化に向け協議した[20]。一方、自民党総裁の高市早苗は野田、玉木、維新代表の吉村洋文・共同代表の藤田とそれぞれ党首会談[21]。自民と維新は連立に向け政策協議を翌16日から開始することで合意。吉村は副首都構想などの実現で自民と一致できれば首相指名選挙で高市に投票すると表明[22]

10月16日、維新は両院議員総会で、自民との連立政権樹立に向けた政策協議を巡り、執行部に対応を一任すると決定[23]。同日午後、維新と自民は連立政権樹立に向けた協議を開始。維新は「副首都構想の実現」「食料品の消費税の2年間ゼロ」「企業・団体献金の廃止」など12項目の政策の実現を要求[24]。一方、自民側は維新から閣僚を出す形での閣内協力(フルスペック型の連立)を提案した[25]。会談後、藤田はテレビ東京のインタビューに「(高市から)維新から2人以上入閣を打診された」と明かしている[26]。また吉村はフジテレビの番組で、国会議員の定数の大幅な削減が受け入れられなければ連立を組むことはできないとの考えを示した[27]

10月17日、自民と維新の2回目の会談後、藤田は立憲・国民との野党連携協議から離脱すると表明した[28]

10月18日、自民党は維新の国会対策委員長の遠藤敬内閣総理大臣補佐官に起用する方針を固めた。また維新は当面閣外協力とする方向で調整[29]。自民は維新が求める食料品の消費税率0%への引き下げと企業・団体献金の廃止について実現に向け努力する方針を示すことや、維新が主張する議員定数の1割削減について衆議院比例区を対象とする方向で両党が水面下で合意、同月20日に連立政権合意書に署名する見通しとなった[30]。一方、玉木を野党側の統一首相候補とする計画は雲散霧消[31]。野党各党はそれぞれ自党の候補への投票が濃厚となり、高市の首相選出がほぼ確実な情勢となった[32][33]

10月19日、維新は常任役員会を開き、連立に向けた政策協議の対応を吉村と藤田に一任すると決定[34]

10月20日、吉村と高市が電話会談。吉村は「連立政権樹立に合意した」と表明[35]。同日、維新は両院議員総会で自民党との連立樹立に合意することと首相指名選挙で高市に投票する方針を決定[36]。高市と吉村・藤田は連立政権を締結する文書に調印し、正式合意した[37][38]

10月21日、石破内閣は総辞職[39]第219回国会が召集され、衆参両院の本会議で内閣総理大臣指名選挙が行われた。衆議院では1回目の投票で[40]、参議院では2位の野田佳彦との決選投票の後に、高市が内閣総理大臣に指名され[41]、同日に高市内閣が発足した[42]国務大臣副大臣大臣政務官の政務三役にはいずれも自民所属の国会議員が就いた。特に国土交通大臣は2012年の政権奪回以降、公明党に譲ってきており、自民党が国交相ポストを得るのは2009年の下野による民主党への政権交代以来で約16年ぶり[43]

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連立合意文書

要約
視点

2025年10月20日に自民党と維新の会が交わした「連立政権合意書」の要旨は次の通り[44]

前文

自民党および日本維新の会は、国家観を共有し、立場を乗り越えて安定した政権を作り上げ、国難を突破し、「日本再起」を図ることが何よりも重要であるという判断に立ち、「日本の底力」を信じ、全面的に協力し合うことを決断した。

わが国は、「自立する国家」として、日米同盟を基軸に、極東の戦略的安定を支え、世界の安全保障に貢献する。安全保障環境の変化に即応し、「国民をどう守るか」「わが国の平和と独立をどう守るか」というリアリズムに立った視座が不可欠である。両党は、このリアリズムに基づく国際政治観および安全保障観を共有する。

また、両党は、国民の生活が経済成長によって向上されることの認識を共有する。そのために、責任ある積極財政に基づく効果的な官民の投資拡大を進めつつ、肥大化する非効率な政府の在り方の見直しを通じた歳出改革を徹底することによって、社会の課題を解決することを目指す。

一:経済財政関連施策

  • ガソリン税の暫定税率廃止法案を25年臨時国会中に成立させる。
  • 電気ガス料金補助をはじめとする物価対策を早急に取りまとめ、25年臨時国会において補正予算を成立させる。
  • インフレ対応型の必要な総合的対策を、早急に取りまとめ、実行に移す。とりわけ、所得税の基礎控除などをインフレの進展に応じて見直す制度設計については、25年内をめどに取りまとめる。給付付き税額控除の導入につき、早急に制度設計を進め、その実現を図る。
  • 租税特別措置および高額補助金について総点検を行い、政策効果の低いものは廃止する事務主体として政府効率化局(仮称)を設置する。
  • 飲食料品については、2年間に限り消費税の対象としないことも視野に、法制化につき検討を行う。
  • 子どもや住民税非課税世帯の大人には一人4万円、その他の人たちには一人2万円を給付するという政策は行わないものとする。

二:社会保障政策

  • 「OTC類似薬」を含む薬剤自己負担の見直し、金融所得の反映などの応能負担の徹底など、25年通常国会で締結したいわゆる「医療法に関する(自民、公明、維新の)3党合意書」および「骨太方針に関する3党合意書」に記載されている医療制度改革の具体的な制度設計を25年度中に実現しつつ、社会保障全体の改革を推進することで、現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指す。
  • 社会保障関係費の急激な増加に対する危機感と、現役世代を中心とした過度な負担上昇に対する問題意識を共有し、この現状を打破するための抜本的な改革を目指して、25年通常国会より実施されている社会保障改革に関する合意を引き継ぎ、社会保障改革に関する両党の協議体を定期開催するものとする。

三:皇室・憲法改正・家族制度など

  • 古来例外なく男系継承が維持されてきたことの重みを踏まえ、現状の継承順位を変更しないことを前提とし、安定的な皇位継承のため、皇室の歴史に整合的かつ現実的である「皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする」案を第一優先として、26年通常国会における皇室典範の改正を目指す。
  • 日本維新の会の提言「21世紀の国防構想と憲法改正」を踏まえ、憲法9条改正に関する両党の条文起草協議会を設置する。設置時期は、25年臨時国会中とする。
  • 緊急事態条項(国会機能維持および緊急政令)について憲法改正を実現すべく、25年臨時国会中に両党の条文起草協議会を設置し、26年度中に条文案の国会提出を目指す。
  • 戸籍制度および同一戸籍・同一氏の原則を維持しながら、社会生活のあらゆる場面で旧姓使用に法的効力を与える制度を創設する。そのために、旧姓の通称使用の法制化法案を26年通常国会に提出し、成立を目指す。
  • 26年通常国会において、「日本国国章損壊罪」を制定し、「外国国章損壊罪」のみ存在する矛盾を是正する。

四:外交安全保障

  • 戦後最も厳しく複雑な戦略環境の変化に伴い、戦略3文書を前倒しで改定する。
  • 国際社会における平和を構築する新たな外交手段を涵養(かんよう)する観点から、25年度中に、外務省に和平調停にかかる部署を創設する
  • 防衛生産・技術基盤を強化する観点から、26年通常国会において「防衛装備移転三原則の運用指針」の5類型を撤廃し、防衛産業にかかる国営工廠および国有施設民間操業に関する施策を推進する。
  • 自衛官の採用状況に関する深刻な情勢に対する危機感と、処遇改善を含む人的基盤の抜本的強化、自衛官の自衛官たる矜持(きょうじ)を向上するための施策の必要性を共有し、現下の状況を打破するための抜本的な改革を目指して、自衛官の恩給制度の創設を検討する。また、現在の自衛隊の「階級」「服制」および「職種」などの国際標準化を26年度中に実行する。

五:インテリジェンス政策

  • わが国のインテリジェンス機能が脆弱(ぜいじゃく)であり、インテリジェンスに関する国家機能の強化が急務であるという認識を共有し、総合的なインテリジェンス改革について協議し、合意した施策について実行する。
  • 26年通常国会において、内閣情報調査室および内閣情報官を格上げし、「国家情報局」および「国家情報局長」を創設する。安全保障領域における政策部門および情報部門を同列とするため、「国家情報局」および「国家情報局長」は、「国家安全保障局」および「国家安全保障局長」と同格とする。
  • 現在の「内閣情報会議」(閣議決定事項)を発展的に解消し、26年通常国会において、「国家情報会議」を設置する法律を制定する。
  • 27年度末までに独立した対外情報庁(仮称)を創設する。
  • 情報要員を組織的に養成するため、27年度末までに、インテリジェンス・コミュニティー横断的(省庁横断的)な情報要員(インテリジェンス・オフィサー)養成機関を創設する。
  • インテリジェンス・スパイ防止関連法制(基本法、外国代理人登録法およびロビー活動公開法など)について25年に検討を開始し、速やかに法案を策定し成立させる。

六:エネルギー政策

  • 電力需要の増大を踏まえ、安全性確保を大前提に原子力発電所の再稼働を進める。また、次世代革新炉および核融合炉の開発を加速化する。地熱などわが国に優位性のある再生可能エネルギーの開発を推進する。
  • 国産海洋資源開発(エネルギー資源および鉱物資源)を加速化する。

七:食料安全保障・国土政策

  • 食料の安定供給確保が、国民の生存に不可欠であることの認識を共有し、全ての田畑を有効活用する環境を整え、厳しい気候に耐え得る施設型食料生産設備(いわゆる植物工場および陸上養殖など)への大型投資を実現する。
  • わが国が古来より育んできた美しい国土を保全する重要性を確認し、森林伐採や不適切な開発による環境破壊および災害リスクを抑制し、適切な土地利用および維持管理を行う観点から、26年通常国会において、大規模太陽光発電所(メガソーラー)を法的に規制する施策を実行する。

八:経済安全保障政策

  • 南西諸島における海底ケーブルの強靱(きょうじん)性を強化するための施策を推進する。

九:人口政策および外国人政策

  • わが国最大の問題は人口減少という認識に立ち、25年臨時国会中に、政府に人口減少対策本部(仮称)を立ち上げ、子ども子育て政策を含む抜本的かつ強力な人口減少対策を検討、実行する。
  • ルールや法律を守れない外国人に対しては厳しく対応することが、日本社会になじみ貢献している外国人にとっても重要という考えに基づき、以下の対策を講じる。
    • (1)内閣における司令塔を強化し、担当大臣を置く。
    • (2)外国人比率が高くなった場合の社会との摩擦の観点からの在留外国人に関する量的マネジメントを含め、外国人の受け入れに関する数値目標や基本方針を明記した「人口戦略」を26年度中に策定する。
    • (3)外国人に関する違法行為への対応と制度基盤を強化する。
    • (4)外国人に関する制度の誤用・濫用・悪用への対応を強化する。
  • 26年通常国会で、対日外国投資委員会(日本版CFIUS)の創設を目指す。また、26年通常国会で、外国人および外国資本による土地取得規制を強化する法案を策定する。

十:教育政策

  • いわゆる高校無償化を26年4月から実施するため、残る課題について、25年10月中に合意し、制度設計を確定させる。
  • 小学校給食無償化を26年4月から実施するため、残る課題について整理し、制度設計を確定させる。
  • 25年通常国会で締結した「3党合意」における保育料負担軽減をはじめ、子育て支援施策の大幅な拡充を実現する
  • 25年通常国会で締結した「3党合意」の通り、高校教育改革のグランドデザインを策定し、全国での教育機会確保と教育の質の向上を実現する。
  • 人口減少に伴い、大学数および規模の適正化を図ることを目指す。
  • 科学技術創造立国の礎となる基礎研究について、十分な研究費を確保するため、科研費を大幅に拡充する。

十一:統治機構改革

  • 首都の危機管理機能のバックアップ体制を構築し、首都機能分散および多極分散型経済圏を形成する観点から、25年臨時国会中に、両党による協議体を設置し、首都および副首都の責務および機能を整理した上で、早急に検討を行い、26年通常国会で法案を成立させる。

十二:政治改革

  • 企業団体献金の取り扱いについては、自由民主党は「禁止より公開」、日本維新の会は「完全廃止」を主張してきた。特定の企業団体による多額の献金が政策の意思決定をゆがめるのではないかという懸念を払拭し、国民に信頼される政治資金の在り方を追求し、そのための制度改革が必要であるとの課題意識は共有しつつも、現時点で最終結論を得るまでに至っていない。そこで、両党で、企業団体からの献金、政治団体からの献金、受け手の規制、金額上限規制、機関誌などによる政党の事業収益および公開の在り方などを含め、政党の資金調達の在り方について議論する協議体を25年臨時国会中に設置するとともに、第三者委員会において検討を加え、高市総裁の任期中に結論を得る。
  • 政党におけるガバナンスを明確化するため、政党法について検討を進める。
  • 1割を目標に衆議院議員定数を削減するため、25年臨時国会において議員立法案を提出し、成立を目指す。
  • 時代に合った選挙制度を確立するため、両党は衆議院議院運営委員会に設置された「衆議院選挙制度に関する協議会」などあらゆる場で議論を主導し、小選挙区比例代表並立制の廃止や中選挙区制の導入なども含め検討する。そのため、25年度中に、両党による協議体を設置する。

補足

  • その他の政策については、両党間で誠心誠意協議するものとする。
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与党間の関係

自由民主党

自維連立政権は少数与党であるが、自由民主党は連立政権内では主導的立場にある。

自維連立政権では、内閣総理大臣には自由民主党総裁が就任し、国務大臣副大臣大臣政務官の全てが自民党所属の議員である。

日本維新の会

日本維新の会は当面の間は閣外協力としており、調整要員として国会対策委員長の遠藤敬が内閣総理大臣補佐官に起用されている。

自維連立政権の内閣

自維連立政権により組閣された内閣は以下のとおり。

さらに見る 内閣, 内閣総理大臣 ...

自維連立政権への批判や懸念

要約
視点

憲法改正の方針に対する批判 

公明党斉藤鉄夫代表は2025年10月23日の党会合で、自由民主党日本維新の会が連立政権合意書に憲法9条改正に関する条文起草協議会設置を明記したことへ懸念を示し「国の在り方を大きく変える方向性で、深く危惧する。国会論戦を通じて私たちの考えをしっかり提示していきたい」と述べた。防衛装備移転三原則の運用指針を巡り、輸出を認める5類型の撤廃方針を示したことに対しては「自公連立政権下で本当に長い時間をかけて積み上げてきたものだ」と牽制した[45]

議員定数削減の方針に対する批判

公明党の斉藤代表は10月20日、比例代表を念頭に、衆院議員の定数1割削減を模索する自民党と維新の会に対し「(仮に)50議席削減するならば、小選挙区30、比例区20とするのが妥当だ」「小選挙区だけではすくいきれない民意の反映を目的とするのが比例区だ」と強調。小選挙区3、比例区2の配分が基本理念だとして「特定の政党間だけで決めるのは極めて乱暴だ」と主張した[46]

日本共産党田村智子委員長は10月17日の記者会見で、比例代表は多様な民意を反映するもので、それを削ることは多様化している状況に逆行するものだと指摘。選挙制度のあり方は民主主義の土台であり、全ての政党で協議すべきものだとして「定数削減を臨時国会で数の多数で押し通す事は議会制民主主義のイロハをわきまえない暴論だ」と強く批判した[47]。同党は「議員定数の約1割=50人の年間予算は約37億円だが、政党助成金の総額は年約320億円。『身を切る』と言うなら、政党助成金を削減すべきだ」と主張している[48]

れいわ新選組山本太郎代表は、10月21日の記者会見で比例代表の定数削減について「権力の固定化ですよってことです。これまでこの国を食いつぶしてきたような盤石な組織体制であったり、応援体制を持つような者たちが、さらに確実に権力を得ることができる。この国を壊してきた者たちの権力を強化、よりする方向性にいってしまうってことに、一番国民にこれは危機感を持ってほしいということです」「大阪府議会の議員定数削減というのをやってたんですよね、彼らは。身を切る改革と称して109人いた府議会を79人にしました。だからどんどんどんどん1人区にしていくという作業ですかね。当然、力ある政党というのはそこで必ず勝ち抜けると。他が勝ちづらくするための方法ですよね。1人区が増えれば死票が増えて少数意見というものが反映されなくなるという当たり前のこと。結果、維新が圧倒的単独過半数によって独裁政治っていうものも可能になった」と主張した[49]

参政党神谷宗幣代表は10月22日の記者会見で「『今国会内で』というのは拙速すぎる。選挙制度の見直しと合わせて定数削減を考えるならまだしも、今ある制度の中で一部の定数だけ減らすというのは暴論だ。とても今国会内で成立するものではないし、させてはいけないと強く思う」「ただ単に予算がないから数を減らすということではなく、立法能力を高めるために、予算がないんだったらその分は数を減らすしかない」「維新さんがおっしゃる身を切る改革と我々がやっている議員定数削減は全く目的が違う。今、経済の税収が上がってきているから無理して減らさなくてもスタッフだけ増強するというところも選択肢に入るので、その点に関しては改めて新しいメンバーと公約含めて議論していきたい」と主張した[50]

チームみらい安野貴博代表は10月18日にXで「『ロクに仕事をしない議員なんか減らすべき!』と思われる方がいらっしゃることは理解できます。しかし私は議員定数削減は政治の新陳代謝を悪化させ、むしろ議会への信頼度を落とす可能性があると考え、反対の立場です」「『チームみらい』のようなスタートアップ政党・ベンチャー政党はもう二度と生まれなくなるかもしれません」と主張した[51]

朝日新聞は10月23日の社説で「比例区の定数削減は、国会に多様な国民の声を届ける回路を狭め、少数派の声が黙殺される懸念がある」「そもそも日本の議員定数は人口に比して、それほど多くないというデータもある。6年前の調査になるが、経済協力開発機構(OECD)によると、日本は人口100万人あたり5・65人で、加盟38カ国中36番目に少ない」と主張した[52]

呼称に対する批判

閣外協力は政治学的には「連立」に含まれないという指摘がある[53]

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脚注

関連項目

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