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倭の五王の一人 ウィキペディアから

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(こう)または倭 興(わ こう、生没年不詳)は、5世紀中頃(古墳時代中期)の[1]。「倭王興」とも[1]

さらに見る 『宋書』倭国伝, 『梁書』倭伝 ...

の子・の兄で、「倭の五王」の1人。第20代安康天皇に比定する説が有力視されるが、市辺押磐皇子 [2]木梨軽皇子[3]に比定する説もある。

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記録

宋書

宋書』列伝
夷蛮伝 倭国の条(宋書倭国伝)では、父のの死後に世子の興はに遣使貢献をしたとする[4][5]
また大明6年(462年)には、孝武帝は興を「安東将軍 倭国王」に任じるよう詔した。その後、興が死んで弟のが王に立ったとする[4][5]
倭王武の上表文には、済と興が高句麗を討とうとしたが、その直前に亡くなったと記されている[注釈 1]
『宋書』本紀
孝武帝紀 大明4年(460年)12月丁未条では、倭国が遣使して方物を献上したとする(済または興の遣使か)[4]
また孝武帝紀 大明6年(462年)3月壬寅条では、倭国王の世子の興を「安東将軍」となしたとする。
さらに順帝昇明元年(477年)11月己酉条では、倭国が遣使して方物(地方名産物)を献上したとする(興または武の遣使か)。

梁書

梁書』列伝
諸夷伝 倭の条(梁書倭伝)では、済の死後に子の興が立ち、その死後には弟の武が立ったとする[6]

南史

南史』夷貊伝 倭国の条(南史倭国伝)では、『宋書』列伝の内容が記述されている。

さらに見る 年, 高句麗 ...
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考証

460年記事について
『宋書』孝武帝紀の大明4年(460年)記事では、倭国の遣使を伝えるが、遣使主体の名前を明らかとしない。これに関して、①済とする説(新王の遣使ならば冊封を受けるのが通例)[8][9]、②興とする説(『宋書』倭国伝の興の遣使記事と対応)[4]、③済でも興でもない名前の漏れた倭王とする説がある。
477年記事について
『宋書』順帝紀の昇明元年(477年)記事では、倭国の遣使を伝えるが、遣使主体の名前を明らかとしない。これも武とするのが通説[4]だが、興とする説(新王の遣使ならば冊封を受けるのが通例)[8][9]や興でも武でもない名前の漏れた倭王とする説もある。
「世子」について
『宋書』では興は「倭王世子」と見え、これは済との続柄を示すものと解するのが通説であるが、462年の段階で王位に就いていなかったことを示すのではないかと見て当時の王位継承の不安定さを指摘する説[10]もある。珍や武と異なり、宋から任命してもらうまでは倭国王を自称しないという態度を示したと思われる。
天皇系譜への比定
日本書紀』・『古事記』の天皇系譜への比定としては、興を安康天皇(第20代)とする説が有力視されるが[1][11]、一方で木梨軽皇子市辺押磐皇子に比定する説もある[11]
安康天皇に比定する説は、「武 = 雄略天皇(第21代)」が有力視されることから、武以前の系譜と天皇系譜とを比較することに基づく[12][13]。記紀では允恭天皇(第19代)・安康天皇が相次いで死去する伝承が記されており、武の上表文に「奄喪父兄(にわかに父兄を失う)」と見える記述はこれとも対応する[12]。ただし記紀に遣使の記述はなく、興の遣使年次も『日本書紀』の安康天皇の年次と合致するものではない[12]。『古事記』分注は安康天皇の没年を記さないが允恭天皇の没年(454年)と雄略天皇の没年(489年)の間には収まる。系譜以外の論証が確かでないことから、音韻・系譜の使い分けによる恣意的な比定を批判する説もある[14]。なお『日本書紀』によると雄略天皇は治世19年に安康天皇の名代として孔王部とも表記される穴穂部を置いており、森浩一は『記紀の考古学』第15章「仁徳天皇の子供たち」で「ぼくは興王部かとみる」と述べ、「興」は「あな」の漢訳「孔」の同音字としている。父と共に高句麗を討って百済を救い興す意図から「興」が選ばれたと考えられる。漢風諡号「安康」も「あな」「コウ」に由来すると考えられる。また木梨軽皇子に比定する説は、有力継承者であった木梨軽皇子と、『宋書』の「世子」とのみある表現が合致することによる[1]
墓の比定
倭の五王の活動時期において、大王墓は百舌鳥古墳群古市古墳群大阪府堺市羽曳野市藤井寺市)で営造されているため、興の墓もそのいずれかの古墳と推測される[15]。これらの古墳は現在では宮内庁により陵墓に治定されているため、考古資料に乏しく年代を詳らかにしないが、一説に興の墓は土師ニサンザイ古墳(現在の東百舌鳥陵墓参考地)に比定される[13]
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脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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